「NG大賞だよね」Broken Rage イシノイシカワさんの映画レビュー(感想・評価)
NG大賞だよね
北野武が作れば全て素晴らしくなると思っていた。
本人が記者会見で言っていた。「もっとちゃんと作れば良かった」
まさにこれを感じた。
作りが荒い。それが至る所で感じられた。
作品のコンセプトである実験的映像。
今までのパロディは過去の作品から持ってくる、しかし同じ作品中、前半部分に元ネタを持ってきて後半にそれをパロディにする。これなら元ネタを知らない事もないだろう。
このコンセプトのみで走った作品なのだろうか。
北野武的にはどんな作品も同じように作っていて今回の作品はとびきり手を抜いたということではないと思う。
もっとここから、もしくは撮影に入る前段階の造り込みが足りていないのだと思う。
納期等を優先したのだろうか、かつての北野武だったらもっと作り込んだ作品になったと思う。
そのくらい力や時間を掛けていれば名作と言われるような作品を作ってくれたと思う。
ただ、今回の作品は前半がOKテイク、後半がNGテイクなNG大賞というテレビ番組みたいな作品になってしまったように感じる。
しかし、僕はそこを否定するつもりは全くない。
なぜならこれは実験だから。
こっちへ行ったら誰も行ったことがない景色が観れるんではないか、そう思って藪を掻き分けて進む、パッと開けたところに出た。しかしそれは自分がよく知っている自分家の裏庭だった。
実験なんてそんなもんだろう。
パロディ部分の最後、結局警察はねずみをも裏切り全員捕まえるという毒は面白かっただけにとても残念だ。
主演を演じているビートたけしを見て感じた、もうおじいちゃん過ぎる。なぜ主演するのか、あんな階段登るのもしんどそうなおじいちゃんが殺し屋という設定がもう飲み込めない。
体を張ったギャグも笑えない、大丈夫か。骨折しちゃうんじゃないかと思ってしまう。現場の人間は笑っているのか?ヒヤヒヤしてんじゃないのか?
本人は笑ってほしいのかも知れないが、なんだか笑えないよ。
小さい子供が虐待されている、例え演技であっても胸に来る、それと似たものを感じるよ。
宮崎駿も北野武にも感じるが老いというものがとても怖くなり、訳もわからず焦る自分がいる。