劇場公開日 2025年1月17日

「触れにくい部分に触れていく喜劇」サンセット・サンライズ Uchiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0触れにくい部分に触れていく喜劇

2025年2月3日
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笑える

悲しい

幸せ

宮藤官九郎さんの脚本らしくシュールな笑いが多いですが、バカ笑いし過ぎのお客さんもいるので、静かにクスッと見たい方は、なるべく落ち着いた客層のエリアと劇場を選ぶといいです。

東北や地方出身者でなくとも、なかなか笑えないセリフやヒヤッとする辛辣なセリフもありますが、原作者も脚本も東北出身だからこそ創れた言葉の数々なのかなと思いました。

震災については真正面からは描かず、真正面から描くコロナ禍 初期の地方あるあるについては笑いに昇華して描いているのが絶妙でした。

旅行者が軽率に震災のことを聞いたり、都心の大企業が現地を上から見てる驕った嫌な感じなど。また、逆に地元外からすると震災のことをどう触れていいのか分からない戸惑いや、純粋に地元の中で仲良くしたいのに排他的な扱いを受ける田舎のちょっと卑屈な側面など。

そういう一つ一つを菅田さん、井上さんはじめ個性的な演者の皆さんがすごく丁寧に笑いを交えながら伝えてくれて、ジーンとしたり温かい気持ちになりました。

余談ですが、たくさん美味しそうな料理が出てきます。三陸の岩手・宮城は食の宝庫で、海鮮はもちろん、本当に何を食べても美味しいです。作品を見る前はラーメンを食べて帰ろうと思ってましたが、見終えて真っ先に海鮮料理のお店へ直行しました。

Uchi