遠い山なみの光のレビュー・感想・評価
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小説らしい謎解きミステリー
長崎を舞台にした長編小説を映画化したヒューマンミステリー。50年代と80年代が交錯しながら進んでいく展開で如何にも小説らしい謎解きミステリーです。主演の広瀬すずを中心に日本を代表する豪華キャストによる演技合戦も見どころです。
2025-133
説明不足の絶妙を買う。
( ゚д゚)ポカーン
解釈は難しいが、最後まで観れた
公開2日目に観させていただきました。
カズオ・イシグロ氏がノーベル賞を受賞された年に遠い山並みの光の本を購入して読んでましたが、どういった内容だったかは断片的にしか思い出せないままに映画館に足を運びました。
映像でストーリーが進むと、いくつかのシーンで原作で記憶に残るところとつながったので少しずつセリフやストーリーが見えてきた気がしました。
舞台挨拶で石川監督が話されてたように、カズオ・イシグロ氏から、「これは歴史の語り直しの話なんだ、あなたの言葉、解釈で語り直してください」。と伝えられ、いろいろな解釈があると思うが、皆さんがどう捉えたがが正解と話された通り、解釈するのにいろんな思いが交錯する映画であった。
原爆、差別、戦前戦後のイデオロギーの変化、女性達のこころの思い、長崎の復興、当時のサラリーマンの姿などなど。
原作を映像化するのは大変な作業だっただろうと感じる作品でした。
当時の街の様子、店の看板などリアルに再現されていたので、当時はこういう雰囲気だったのかとタイムスリップしたような気がしました。
戦争を知る世代が少なくなっているので、当時を再現した映像や社会の雰囲気をリアルに表現した作品をこれからもたくさん作って後世に伝えていただけるとありがたいです。
広瀬すずに★★★★★😍😍😍😍😍ただそれだけ
文学に縁がなく頭も悪い自分には正直言ってよく分からなかった。
それでも広瀬すずの美しい姿をスクリーンで堪能できたので
観て良かった。
撮影班は広瀬すずの出演場面だけは絶対に綺麗に撮る!と気合が
入っていたに違いない。どのカットも完璧な絵柄だった。
「ゆきてかへらぬ」では大正時代の、そして今作では1950年代の
ヒロインを好演。その時代の衣装を着こなしメイクも完璧。
スクリーンに映える彼女を見ているだけで眼福。
共演の二階堂ふみもそうだけど、姿だけではなく話し方も現代劇とは
変えてあって、まるで当時こんな女優さんがいてこんな演技をしていた
のではないかと錯覚するような雰囲気を醸していた。
一方、80年代のイギリスでの話は意図的なのかどうかはわからないが
映像が平凡(個人の感想)。撮影班の気合が全然違っていたりして。
また登場人物の会話は原作の会話を朗読しているように聞こえるだけで、
心に響いてこなかった(個人の感想)。
戦争・原爆・被曝・偏見・孤独・女性の自立・戦前と戦後の教育の違い
その他様々な要素があって物語はミステリー仕立てになっている。
分かる人には刺さる映画なのかもしれないが、冒頭に書いたように
自分はよく分からず置いてきぼりにされた気分。
理解を深めるためというよりも広瀬すずをスクリーンで愛でるために
もう一度観たい。
わたしはあなた、あなたはわたし
イギリスの片田舎に住む『悦子(吉田羊)』の元を
ロンドンに住む次女の『ニキ(カミラ・アイコ)』が訪れる。
目的は、嘗て母親が住んでいた長崎での暮らしと、
渡英することになった経緯を聴き、
それを記事に仕立てること。
母娘の対話を通して、
戦後直ぐの長崎の世相が甦る。
共感と対立、女と男の、
二つの軸で物語りは展開する。
長崎に居た頃の『悦子(広瀬すず)』は
帰還兵の夫と結婚、
新築のアパートに住み、
妊娠数ヶ月の体を抱え日々の家事に勤しんでいる。
そんな彼女が川岸のバラックに住む
幼い娘『万里子(鈴木碧桜)』を連れた
『佐知子(二階堂ふみ)』と知り合う。
『佐知子』は『フランク』と言う名のアメリカ兵と
アメリカに行くことを目論んでいる。
渡米が二人の幸福に直結するか懐疑的な『悦子』だが、
陰に日向に母娘を援助する。
しかしここで観ている側にはむくむくと疑念が湧き起こる。
住んでいた場所、被爆の実態、子供の存在と、
二人の履歴はあまりにも似ている。
『佐知子』は実際には『悦子』であり、
友人に仮託した話としているのではないか。
提示される年代から逆算しても、
子供の年齢には乖離がある。
実の娘にも真実を話していないのでは、と。
家族には長女の『景子』が居たものの、
彼女は自死をしており、ただ
その経緯は詳らかにはされない。
『悦子』はいまだに悪夢にうなされる。
長女を連れてイギリスに来なければ、
彼女は死なずにすんだのではないかとの後悔の念に苛まれ。
本年1月公開の〔TOUCH/タッチ〕でも
被爆者の地元での生き辛さと、
逃れた先の海外でも異邦人としての差別に苦しむ姿は描かれた。
表立ってはいないものも、
同様の事態に直面し味わった苦難は、
本作の裏側でも起きていたのは容易に想像できる。
ここまでは、女たちの共感の物語り。
そこに、長崎に住んでいた当時、
義父の『誠二(三浦友和)』が訪ねて来たエピソードが挟まれる。
実の息子も彼の軍国主義には辟易しており、
父子の関係はぎくしゃく。
加えて嘗ての教え子が、
その軍国教育を糾弾する論文を学会誌に寄稿したことで、
『誠二』は激憤する。
二つの世代の溝は埋まることがない。
もう片方の、男たちの対立が露わになる。
『広瀬すず』を観に行ったわけだが、
彼女の演技にも、本編にも十分に満足し劇場を出る。
エグゼクティブプロデューサーとして参加した
原作者の『カズオ・イシグロ』も同じ思いではないか。
美しい台詞回しと美しい俳優陣を堪能
年々邦画では薄れている洋画風説明過小輪郭系映画
2025年劇場鑑賞65本目 良作 60点
公開2日目の109二子玉川にて舞台挨拶
疲れ切っていたのと睡眠不足故ほぼ寝てしまった
当方記録用として、十分に見入れなかった場合☆3.0 60点としている為、平均評価点を下げてしまうのは悪しからず
その日は六本木と二子玉川をはしごし昼から4本続けて登壇されていた広瀬すずさん、二階堂ふみさん、吉田羊さん、監督のお疲れな様子と、mc含め少々流れ作業感が否めなかったが、公開近辺は番宣等あちこち出演して、特にメディアでは疲れを見せれない中、現場には足を運んだ方への安心感からなのか、リラックスしてる用に見えてそれはそれで貴重だ
ストーリーの大枠と何が反響を生んでいるのかは知ることができたので、それを踏まえて万全な日にもう一度映画料金を払って足を運ぶか大変悩ましい限りである
業深き漆黒の闇の中で一筋の光を追い求める
美しい
Ceremony
記憶が書き変えられること
長崎の亡霊
外国映画に描かれた戦後日本のような感じを楽しむ
なかなか渋そうな企画だと思いつつ、俳優陣に興味があって見に行った。
しかしやはり渋い。イギリスに住む長崎出身の日本人女性が家の処分と共に娘からの問いに対して日本に置いてきたものを振り返るのだが、、という感じの回想劇。
劇中の現代の舞台が80年代で振り返るのが戦後。頭の中で何かを変換しつつ観る。当然ながら再現するのにとてもお金が掛かってるだろうことはわかる装置の中で、とてもつつましい秘密が暴かれていくので、そのギャップが、、贅沢なのか地味なのかわからない映画。
そして確か『国宝』も外国人カメラマンであったがこちらも合作で監督が石川慶なので外国人カメラマンであり、ルックもわざとそうしてるのだろうけど、この密やかなエピソードにこのルックが最適解だったかはわからない。逆にこのルックと冒頭とエンディングに流れる音楽くらいが現代映画(つまり過去にはないアプローチ)を示してはいるのだけど、あのカチッとしたクリーンな感じが箱庭過ぎて日本人の戦後の密やかなヒダを描くものにあっているのかどうかはわからない。もっと吐き気がするような裏側があってはじめてイギリスでの回想が生きるような気がするが、とにかくあの女の子も男の子も美術も食べ物もいろんなものが箱庭的でクリーン過ぎで、いわゆる外国映画の中の日本のような感じでう〜ん。。。という感じ。ではあるが、確かに過去の日本映画のルックにないものではある。
しかし毎回個人的に石川慶監督の映画はそんなに乗り切れないので今回も、、、なのだけど。
お芝居の点では二階堂ふみが堂々と昭和の女優っぽいセリフ回しを披露。ただそういう役とは知らず、なるほどね。これ以上は言えない。
なぜ今映画化?
1982年刊行の小説の映画化で、当時はちょうど良かったのかもしれないけど、
そのテーマ(女性開放、戦後教育)が今の空気感と全く合っていない気がしたので、
なぜ今映画化されたのかナゾでした。
お母さんの語る嘘がだんだんわかってくる辺りで、ゾワ〜と怖くなりましたが一過性。
ただ「ハイ、真相はこれ!!」という明示はなく、解釈は観客に委ねられているので、
もう一度見直して考察したくなる作品ではあります。
二階堂ふみは「SHOGUN」の時とだいたい同じ演技で、古い役やるときは全部これ??
朝8時の回だけ、一番でかいスクリーン3での上映なので、早起きして。
割と同じ考えの人が多かったようで、まあまあ人は入ってましたよ。
人の記憶の不確かさ
大学の卒業論文がカズオイシグロだった者です。
カズオイシグロの作品のテーマは「人の記憶」なんです。それも「人の記憶の不確かさ」です。
誰もが現実を受け入れられない時に自分にある種の嘘をついて生きている。その嘘は生きるために必要なものなんです。それが悪いのかというと、視聴者に考えさせるかのように、過去の自分を時代に合わせて捉え直さずに生きようとすると周囲と衝突する事もとある人物を通して描かれています。
前提として、エンターテイメントではないので説明的なカットやセリフは少なく文芸のように読解する必要があります。小説の場合、語り手が一人称なのか二人称なのかに着目して読む必要があります。そうではないと読んでいる方が騙されてしまいます。え?どういうこと??とページを遡りながら読む必要があるんです(これも楽しみなのですが)逆に過去の自分がした事を時代に合わせて捉え直さずに生きようとすると周囲と衝突してしまいます。とある人物と対照的に描かれていますね。
芥川龍之介の藪の中、フォレスト・ガンプのように小説や映画などの物語において、語り手(ナレーター)の信頼性をあえて低くすることによって、読者や観客を惑わせたりミスリードしたりする技法です。この語り手は、たとえば精神疾患や記憶の欠落、強い偏見、悪意によって意図的に事実を歪める、あるいは自覚なく誤った情報を伝える場合があります。
こういう作家が現れるからノーベル賞に文学がある理由です。人類を進歩させた、言い換えると「人は何をする生き物なのか」にまた一歩近づいたと言っても過言ではないと思います。
映像化されると聞いてどうするんだろうとずっと思っていました。広瀬すずの演技無しに決して成り立たない作品だったと思います。
アメリカなのにイギリス?
予備知識が全くない状態で鑑賞したため、ラストで頭が大混乱した。ただ、イギリスにいる女性が誰であるかをそのまま受け取ってしまったとしても作品としては、とても見応えがある。
長崎に落とされた原爆がもたらした壊滅的な被害は、原爆後遺症だけでなく、被曝者を差別するという社会的な分断を生む。
戦後社会の影の部分が、食堂でのシーンなどで語られる。また、悦子の義理の父親が戦争に積極的に関わった教育者として、教え子から糾弾を受けることも描かれるが、思想の面裏がひっくり返ったことに気がつかないというか、理解したくないであろう。
わからないことが多すぎるので、ChatGPTに6ターンくらい解説をしてもらって全容が理解できた。
世界線が複数あることについては、自分が感じた通りだったが、その他については脳内で再生してようやく腑に落ちた。
理解できないとしても、聞かずにはいられないストーリーテリングで物語が語られるし、ショットが惚れ惚れするくらい美しい。
ざます言葉が出てきそうなくらい二階堂ふみの際立つ上品さに圧倒される。娘を愚弄する男への啖呵の切れ味もすごい。
難解だけどオススメでございます。
ネタバレ厳禁
体と心の共有
広瀬すずファンと言う事で鑑賞。
正直冒頭から一時間半は実に眠かった。
これどうやってラストを迎えるのか?と興味が出きて、あぁそう来るのね、と中々複雑なラスト。
終わってから色々と考えさせられて中々腑に落ちない。
これは考察と言うより、それぞれが感じた事で終わらせて良いんじゃ無いかと。
あの戦争の混乱の中食べて行くのもやっとの時代を生き抜いていた時代、ましてや当時弱者の女性、子供がいかに虐げられていたか。
悦子、佐知子、万里子、誰が実在し、誰が空想とかでは無く登場人物全員が存在し、みんなで意識を共有してると私は感じました。
二郎を旦那に持ち、子を授かり、周りから見れば幸せそうに見える悦子ですら、あの時代は女性は下に見られ旦那に尽くすように言われる。
当時、子供を捨てたり、我が子に手をかけたり、子供を取り違えたり、子供をさらったりと、とんでもない時代に生きた人達を描き、復唱になるが、誰が誰と言う話じゃなくて、みんなの意識と体を共有してると私なりに解釈しました。
あと原爆の差別の事を思い出した。
私事なんですが、当時広島の方と知り合いお付き合いする事になった。
付き合い間もない頃、彼女から私の家族は被爆して無いと言われた。
そうなんや、と特に気にする事も無かった。
数ヶ月過ぎ、彼女の実家まで行く用事があり、親御さんと初めてお会いし挨拶して話していると、私共家族祖父母は被爆してませんと伝えられ、そこで気づいた。
その頃すでに戦後60年以上経っているのにもかかわらず、私がそこを気にしてるんじゃ無いかと親御さんが伝えてくれたんだと。
親御さんにそう思わせてしまう自体、まだ暗黙の被爆差別がずっと今も続いてるんだなぁと。
静かな映画だったが、一生忘れる事のない作品でしょう。
全107件中、41~60件目を表示
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