遠い山なみの光のレビュー・感想・評価
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戦争の爪痕は様々な形で現れる
長崎を舞台に過去と現在が入れ替わりながらストーリーが展開する。そこにはわかりにくさはなく,むしろ,戦争が残した爪痕のあまり語られない部分が表現されていたように思う。
戦時下に教育者だった老人が戦後に受ける非難、被爆者がどれだけ肩身の狭い思いだったかなど感じられた。わかりにくいのは最後まで信じていた登場人物が結局想像の産物だったこと。戦時下での自分の行いへの悔恨が別の人物を生み出してその人がしたことにしたのか。ダンボールの猫のシーンが強烈だった。
最後に次女に変わらなきゃと言われて答えた彼女の顔には少し希望が持てたように思う。
そんなにボケるかな?
吉田羊演ずる今の悦子さんと思しき人物と同い年ぐらいですが、
30年ぐらい前のことなら詳細部分は忘れていることがあっても
あんなに記憶が混同するほどぼけていません。
わざと作り話をしてるのかなと思いました。
戦前は音楽を習っていて家でオムレツをつくったりティーセットでお茶を飲むような暮らしをしていたお嬢様の悦子さんが戦争と被ばくで生活が激変。
復員してきたザ昭和男の旦那さんとは離婚し戦後の生活は真知子さん的な生活になった。
戦後は米兵にくっついてアメリカに行く人は多かったから真知子さんがアメリカに行くという話はすんなり理解できたけど、なぜアメリカでなくイギリスにわたったのか説明がほしかった。そこは作者一家が長崎からイギリスにわたってイギリス生活をしているからイギリスにしたと推測。そんな単純な思考かどうかはわからないけど唐突にイギリスが出てくることでこの話を理解するのをややこしくしているような気がしました。
最後の意味がよくわからない。
出てくる女優は皆綺麗。三浦友和も、息子よりかっこいいと思う。
ストーリーは、最後の最後まで事実と思って観ていたが、あれは想像なんだとネタバレを読んで理解できた。
唐突すぎてよくわからなかった。
話のつながりも、いつイギリスに行くのか、吉田羊になるまでのいきさつも、途中は???だった。
だいたいが広瀬すずの想像。
なるほど。
深すぎる。
万人受けはしないと思う
広瀬すずが年数たち、吉田羊になっているのを理解するのに 顔が似てないから時間がかかってしまいました。
難しい映画なので 軽い気持ちで見た方が低評価なのもよく分かります。
個人的には好きです。
最後くらいスッキリ終わって欲しかったけど原作があるなら仕方ないのかなと。
あとから謎とき楽しめる映画
1982年に刊行された,ノーベル賞作家カズオ・イシグロの長編小説デビュー作をもとに石川慶監督で製作された作品です.
晩年の悦子を演じる吉田羊は,撮影前に英国に短期留学しただけあって,流ちょうな英語での演技は見事です.
最近うなされる夢について,友達のはなしという形で,自らの過去の話をしますが,30年前の物語で登場する,若き悦子役の広瀬すずと友達として登場する佐知子役の二階堂ふみが,いかにも昭和の女優という雰囲気を漂わせていて,素晴らしかったです.
なぜ,悦子が二郎と別れることになったのか(たぶん悦子が被爆者であることを知ったため),なぜけいこが自殺したのか(たぶん「猫」のことが尾をひいて英国に馴染めなかったため),なぜ回想シーンで晩年の悦子が若い悦子たちが乗っている電車を見ていたか(たぶん晩年の悦子が自分を客観視できるようになってきたため),など謎が多く,その答えを想像することも楽しめる作品と思います.
役者陣は良いが、それ以外が残念
さっき書いたのが消えたので短めで
不思議な感じ
原作は未読です。
舞台は1980年代のロンドン。
長崎から移り住んだ母悦子と久しぶりに実家に戻った娘ニキ。
この2人の会話と母の過去の回想が繰り返される。
その回想にどこか違和感を覚える娘。
これは原作を読まないと理解し切れないな思った。
ミステリーとも言い切れない不思議な感覚。
終盤での描写は頭が混乱してしまった。
事件ではないので悦子の記憶を正す必要もなく何故悦子の記憶がそうなったのかは誰にも分からない。
レビューを書いてる今も何が本当で何が妄想なのか理解出来てない気がする。
要は消化不良なのだが不思議と不満はない。
人の記憶はその人に都合の良い心地良いものに少しづつ置き換えられていくというのは普通なのかも知れないと思うからだ。
この作品の評価は観る人によって大きく変わるだろうな。
広瀬さん、「すずちゃん」から「すずさん」に変わりましたね。
大人版・思い出のマーニー
二つの時代の雰囲気、空気感が素晴らしい。
少し難解な作品で最後までよく分からなかったところもあるけど、それも含めて不思議な魅力がある作品だと思った。
少し幻想的で怪奇な雰囲気は、思い出のマーニーを連想させた。
「妊娠」「子供」「時代の変わり目」「女性」といったテーマが複層的に、ときに肯定的に、ときに否定的にあらわれ、感情を揺さぶられる。
過去を描く映画では、過去はセピア色に理想化される傾向があるけど、この作品では過去はその時代の嫌な空気も含めて描かれているようで、そこが良かった。
この作品のテーマは正直分からないし、原作もたぶんこれから読むことは無いと思うが、自分なりにこの作品から感じたことは、「どんなにそれが残酷なことであっても、人は過去のために生きてはいけない」ということなんではないかと思う。
人間が生きるということはきれいごとだけではすまないことがある。自分の犯してきた罪や業(ごう)や後悔や過ちなんかで人はまみれている。
それでも人は生きていかなければならないし、進んでいかなければならない。そのことによって人を傷つけたり、間違ったことだと分かっていて進まなければならないこともある。
ミステリーのお手本!違和感で引っ張る巧妙な脚本と演出!
原作未読です。
80年代イギリス。戦後間も無く英国に渡った女性が長崎に居た時代の回顧録をめぐるミステリーです。
人の記憶はそもそも曖昧なもので、当人にとって都合よく美化されたり補完されたり、時に改変されたりすることもあると思います。それらの曖昧さを軸にミステリーは巧妙に組みあげられております。
また印象的だったのは、広瀬すずさん演じる若き日の悦子が活躍する長崎時代の回想ですね。まあ、大変清楚で美しいってのが前提の高評価でございます(笑)。
その中で、本来見えない細部を何度もフォーカスしてみたり、また重要と思われるシーンを意図的にブラインドにして観客に見せなかったりする独特な演出が施されておりました。効果的な背景音楽も手伝って不穏な雰囲気、違和感みたいなものが浮き彫りになる演出は、ミステリー以上、ホラー未満という感じで私は、スクリーンに釘付けになりましたよ。
ただ、回想に出演する男性が小さい子供含めてことごとく「愚か、もしくは粗暴」なのは悦子の偏ったアイデンティティが原因なのでしょうか。なにかそこだけひっかかってます。
中高年の男性の私にとってはそれが一番の違和感で、今も引きずってます(笑)。
では。
忘れたい過去を編集した端正な『或る女の記』
カズオ・イシグロ原作で、50年代の長崎と80年代のイギリスを舞台に、日本人女性の半生をミステリアスに描く作品です。まず、美しく整えられた映像が素晴らしく、過去の長崎は淡くノスタルジー溢れるタッチ、現代のイギリスは暗く冷たいタッチなのは、主人公の心象風景のようです。この映像をバックに主演三人の女優の競演に惹きつけられ、なんか日本映画離れした作品でした。お話しは過去の長崎と現在のイギリスを行き来しながら、観客に語られていた過去が徐々につじつまが合わなくなってきて、最後に一気に難解な結末になります。正直言って作品を理解したとは言えないけど、主人公は、自分の過去と他人の過去のいいとこ取りをする事で忘れたい過去を塗り込めているように感じました。そういう意味では、佐知子は悦子が頭の中で作り出した想像のキャラクターにも思えますし、被爆者である過去、女性は男性に隷属することを課せられる風潮を消し去り、自分で未来を切り拓きたい願望が今日の悦子を創り上げたのかもしれません。久しぶりに映画を観て、あれこれ考えて楽しかったです。役者では、ダントツに広瀬すずの名演が素晴らしかったです。クラシックな雰囲気と美しさに加え、柔らかいトーンの長崎弁のセリフ回しがピタリとはまっていました。二階堂ふみは、こう言う正体不明の役柄をやると本当に上手です。木箱を川に沈めるシーンはおっかなかったです。
この物語に景子の死は必要なのか?
主人公を悦子と佐知子に分離させた意図が今一わからない。最後は悦子は佐知子なのだと言う解が示されたが、そもそも一人の人格を二分化した意図がわからない。マリコが景子だったと言うことも明かされたが、それがどうしたのか、と言うのが率直な感想。悦子の夫や義父は一体なんなんだったの?またマリコの年齢設定が腑に落ちない。昭和27年当時の年齢は8歳くらいか。すると渡英後の1956年に生まれたニキとの年齢差は12歳。12歳もの歳上の姉とあのような葛藤を抱えうるだろうか?思春期を迎える頃は姉は既に二十歳をとっくに過ぎている。完全に別世代で姉妹と言うより親子関係といった方が近いかも知れない。普通に見られるような姉妹の葛藤のようなものはまずあり得ないと考えるのが普通。また、この物語にただの苦労話ではなく非日常的な悲劇性をもたらせているのは景子の自死だ。この事件が縦糸となって物語全体を暗く照らしている。これがあってこそのこの物語だ。フィクションとは言え、人の命を奪ってまで物語を描こうとする作者の利己的な欲望に少々の躊躇いを感じる。
自由に生きることは難しい
分かるのよ、私たちはよく似てるもの。あなたもあの日あそこにいたんでしょ?
昭和の男はダメを痛感。
昭和生まれのおじさんなので、劇中の昭和おじさん2人のいけなさ加減が辛いくらいでした。蛇足ですが。
ロープウェイの展望台のシーンで、万里子の視線に違和感を感じたことで
ヒューマンミステリーである今作の基本の嘘、ミステリーを知ることが
できました。
長崎弁、標準語、英語と話す言葉が違うけど、それは同じ人物が生き方を変えた
ことを示しているのでは?と思いました。
主人公の辛い境遇を乗り越えるための嘘、それは許される嘘なのでしょう。
娘がその嘘に気づくことで、親子の絆が深まったと思います。
観終わって、疑問というか謎が多く残りましたが、それらの伏線回収は本作の
メインではないのでしょう。鑑賞した人の考えにゆだねるのでしょうね。
でも、ちょっとすっきりしない気持ち悪さは正直残りました。
先週、東野圭吾作品を鑑賞した後だからかなぁ~~~。
まとめると、見ごたえあります。見終わった後に、誰かと話したい!と思う作品でした。
反芻すればするほど…
戦後に価値観が変わる中で生き抜いた女性のお話し?
長崎で被爆この世の地獄を経験し、戦後はGHQにより強制的に価値観を変えられ…
今は穏やかにイギリスで暮らす女性の物語。
と、書くとなんだか穏やかな映画だが、終始不穏な空気が流れる。
ジャーナリストになりたい娘のニキは、長崎での母の経験を書き留めるため、母にインタビューを始める。
母は記憶を探りながら日本での思い出を語りだす。
姉の景子の自死を隣人に無いこととして語る母。
そんな様子に憤るニキ。
『景子のことも私のこともあなたにはどうでもいいことでしょ!!』
後半の猫を川に沈める描写…
あの描写は?あの描写は?
もう一度観たくなる映画です。
秘密がわかっても難解
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