「教えは多いけれど」遠い山なみの光 やあやあさんの映画レビュー(感想・評価)
教えは多いけれど
原作未読。
混乱した、というレビューをいくつか読んで、肝のネタバレ一文「悦子=佐知子」のみ仕入れて鑑賞。
肝さえ押さえておけば楽勝だろうと思いましたが、いや逆に混乱したような。
えっ、じゃあ娘の父親って誰なの?その父親はいまいずこ?おなかの子供はまた別?
その他いろいろ分からないことだらけで「???」となり、そのことばかりに意識がいきがちになりました。
が、次第に、訴えたいテーマはおそらくそこじゃなさそうだ、と思えてきます。
(ちなみに「???」の謎は今も解けていない。原作を読めば分かるのか?)
平和を生きる私から見て、佐知子はなかなかの毒親に見える。
実際、長女の自死のいくばくかは責任あると思うし現代ならそう捉えられると思う。
けれどニキは、違うと言う。お母さんのせいじゃない、時代のせいだと。
そこで私は、認識の甘さを知りました。
生きることに必死じゃなくてもいい現代の幸せな価値観を。
また、この映画には、時代に合わせた変化を相手に促すセリフが何度も出てきます。
三浦友和は生徒に罵倒されていたし→「あれは教育じゃない、洗脳だった。時代は変わった」
ニキも母悦子に言う。→「結婚や子育てが全ての時代じゃない。変わらなきゃ」
このへん、時代に応じたアップデートを求められがちな世代の私は耳が痛い。
正直、昨今のネットニュースでセクハラ(orパワハラorモラハラ)問題を見ていて内心感じることがあるのだ。
「私が若い頃はこの程度はたいした問題にはならなかった」と。
映画のテーマに比べて些末な置き換えですけれど・・・。
などなど、教えも多かったです。
ただ、いかんせんストーリーをちゃんと把握できていないので☆3.5で。
あとは見る側に委ねます系もそれがごく一部ならアリだと思うけれど、あっちもこっちも委ねられちゃうと消化不良が先に来てしまいます。
それと、私は戦争モノは苦手ですがコレは戦後復興からだから大丈夫だろう、と見る前は予想していました。
が、根底に流れるものはとても重く、ヒタヒタと暗い何かが迫ってくる感じ。
そか、カズオイシグロですものね。
ちょっとクスッとしたところもあって、二階堂ふみさんから「跳んで埼玉」を彷彿をさせるセリフが聞けたこと。→「あんたたちに食べさせるうどんはないよ!」(これって狙ってないよね?偶然よね?)
そして広瀬すずさんはどんな髪型でもかわいらしかったです。
ノーキッキングさん
コメント、ありがとうございます。
そうですね。終盤になって広瀬すずが通訳に扮したり万里子を景子と呼んだりでつじつまが合うこともありました。
相手が娘だからこそ、いきなり聞かれたからといって過去をなんでも話せるわけでもないのでしょうね。
私は下記のように解釈しました。
実はバラック住まいで、うどん屋と通訳掛け持ちのシングルマザー悦子は、プライドと憧れが昂じて架空の存在、佐知子を生み出し、都合のいい妄想を繰り返す。通訳の仕事で知り合った英国人と情緒不安定で原爆症かもしれない前夫との間の娘、景子をつれて渡英。現地で次女ニキが産まれる……
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