「イシグロらしく観る人に解釈を委ねた構成が良かった。」遠い山なみの光 HIROKICHI2さんの映画レビュー(感想・評価)
イシグロらしく観る人に解釈を委ねた構成が良かった。
クリックして本文を読む
広瀬すずの透明感と二階堂ふみのミステリアスな存在感は、この物語に完璧にピッタリ!
二人が立つだけで物語は儚くも妖しい輝きを帯び、観る者を引き込む。息をのむ美しさだった。
【ネタバレ】
私は佐知子を緒方悦子の幻想=もう一人の自分と捉え、団地での夫の緒方二郎との整った生活は戦後何も無かったかのように繁栄し、被爆の爪痕を残した自分だけが取り残されて行く不安と絶望の象徴としての幻想で、その部屋から俯瞰する河原のボロ屋で娘・万里子との生活こそが現実だったのではないかと感じた。
万里子=恵子(長女)悦子の記憶や幻想の中で重なり合う存在。
そうなると、夫 緒方二郎の父 緒方誠二の存在は?
という事になるがこの二人の親子関係がどこか取ってつけたような空々しさ… 父、誠二は二郎の存在にリアリティをもたせるためのイシグロの戦争を誇張した小道具で、悦子の教員時代の校長に過ぎないのではと言う気がしました。
幻想と現実、過去と未来が交錯する構造が、イシグロ作品らしい不確かさと余白を映し出している。
軒並みレビューに【⚠️ネタバレ注意】があるようにw
最後に観た人と語り合うことでさらに深まる作品。
それぞれ観る人が自分の「答え」を探し出す
まさにイシグロの真骨頂を味わえる映画だった。
コメントする
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。