リアル・ペイン 心の旅のレビュー・感想・評価
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心に痛いでも良い映画
個人的な感想ではあるけれど、人は家族といる時の自分、仕事場というコミュニティにいる自分、旅行に参加している自分、等いろんな自分を使い分ける社会性を持つ。この使い分けができず常にひとつの世界だけしか持たないとバランスが取れず気が狂うかもしれない。とくに孤独でどこにもいけないという辛さを抱えていると。ラストシーン、ベンジーの表情にはそういった表情が浮かんでいたように見え、心が痛くなった。
でもショパンの音楽も含めシンプルで説明しすぎずとても良い映画だったと思う。
鑑賞動機:賞レースでの評判10割
アイゼンバーグ自身で脚本も書いたようで。彼自身が折り合いをつける意味もあったのかな。そういう話だったのね。一人一人は少しずつ違った考え方をするし、幅を持たせて一緒くたにしているわけではないところには好感。いやでもベンジーは(遠くから見ているだけならともかく)
苦手かも。それだけキーランが上手いってことか。
サーチライトピクチャーズはこういうのでいいんですよ。
重くなるテーマを軽やかに笑いをまぶして結果を閉じない構成。凄い
アイゼンバーグの俳優、脚本家、監督としての才能とセンスと思考に感動し、a real pain「めんどっちい奴」であるベンジー役のカルキンに魅入られた。笑って笑って涙が出て笑って泣いてとても忙しかった。アイゼンバーグの台詞には思いと情報が詰まっていたし、ベンジーは人たらしで誰もが好きになってしまう。言いにくいこと、ここではこんなことしてはいけないのでは?という思考回路に慣れている私達(日本人とか?)のほっぺたを気持ちよくひっぱたいてくれた。
映画で流れる曲はほぼ全てショパンのピアノ曲。誰もが知っている曲ばかり。感傷に流されず頭脳は冷静に心臓はドキドキさせながら考える空気を与えてくれた。
ポーランドの町の名前「ウッチ」を聞いた瞬間に映画「家(うち)へ帰ろう」が頭に浮かびウッチへいつか行きたいと思い続けいまだ叶えていないことを思い出した。
心に残る良作です。オススメします
名優ジェシー・アイゼンバーグが監督・脚本・製作・主演 ,
キーラン・カルキンが従兄弟ベンジーを演じ、第82回ゴールデングローブ賞で助演男優賞を受賞。
第97回アカデミー賞でも助演男優賞にノミネートの話題作です。
性格の全く違う兄弟のような従弟同士がポーランドのツアー旅行に参加するロードムービーになります。
予告編では兄貴分のベンジーとのドタバタコメディーの雰囲気もありましたが、実は全体的にドキュメンタリー調のしんみりした友情物で
二人の名演技が光る作品で心打たれました。ドラマチックで泣けるシーンがあるわけではないですが、感受性の強い兄貴分のベンジーと彼を愛しているが憎む気持ちもあるデヴィッド。映画が見終わった後もこの二人の人生を見守りたい気持ちになりました。おススメ度は満点です。
疎ましいあいつ
疎ましいあいつは、兄弟や同僚のような身近な人から、ユダヤ人やツチ族フツ族のような民族のくくりにまで及ぶ。嫌なあいつに対する反感は、究極的には600万人の大量殺戮のような狂気に至る。ネットを見れば、疎ましい中国人や韓国人、クルド人をたくさん見かける。これらは「疎ましい自分」の投影である。
本作では、疎ましいベンジーと、歴史的に嫌われてきたユダヤ人が並列に描かれる。ベンジーはおそらく発達障害を抱えているし、生きづらさから自殺未遂も起こしている。デヴィッドは、帰りの空港で次々と問題を起こすベンジーを抱きしめる。
ここら辺の感情の機微や関係性の繊細さの描写が素晴らしい。
なにげにカメラがとても美しい。
ショパンも印象に残る。
ハラハラするけどいい話
Tzvi Erez演奏のショパンと共にワルシャワの街並みや古い街並みなど自分も旅してる気がして楽しめていたが、ホロコーストに関する場所ではズシンと心が沈んだ
対照的な二人の関係はハラハラさせられるけど、自分の友人を思い出したりして人ごととも思えなかった
「祖母のルーツをたどる」といいつつ実は…
大好きな祖母のルーツをたどる旅、ではあり、その祖母のエピソードは2人から語られるが、祖母の写真も回想シーンもない。
これは「祖母」はキッカケというか2人を旅に連れ出す「言い訳」に過ぎず「目的」は別にあるのだろう。
主人公デイヴの目的は、従兄弟ベンジーを助けたい、一方ベンジーもデイブを助けたい、と。
どうしても「主人公目線」で見てしまい、滅茶苦茶なベンジーに翻弄される主人公という構図、ベンジーを助けようとしてるのに、何だよその態度、と見えるが、
「ベンジー目線」になれば、主人公デイヴの「問題」が見えてくる。
さらにその問題はデイブだけでなく、誰しも抱えていて、社会全体の問題、と監督は言いたいのではなかろうか。
それを本作では説教臭くなく、重くなりすぎず、ホロコーストに軸足を置くこともなく、絶妙な軽さ、優しさで包まれた作品になっている。
そういう意味では「サイドウェイ」に似てるかも。男2人のロードムービーで一方が破天荒で、コメディ色もあって…と。
旅感の
心にじわじわくる、とっても良い作品
好きな俳優さんのジェシー・アイゼンバーグが監督、脚本、製作、主演の作品、観て良かったです。
原題の「リアルペイン」は面倒なやつみたいな意味で、ベンジーがそんな人なのですが、観ていってると直訳の「本当の痛み」のようにも描かれているようでした。
「痛みを抱えた面倒なやつ」って感じかと思いました。
面倒な人だけど、人一倍繊細で痛みにも敏感なベンジー。
そのベンジーを疎ましく思ったりもするけどベンジーが大好きなデヴィッド。
2人の仲の良さがステキでした。
ユダヤ人解放から80年の時に公開の今作、その悲しい過去を改めて突きつけられましたが、同じルーツの人達との交流のシーンで救われた気持ちになれて、実際辛い事も誰かと共有する事によって救われるのかもと思えました。
ラストに近づくにつれて心にじわじわくるものが大きくなっていきました。
泣かせる作りじゃないし、ここが泣きどころってシーンがあったわけじゃないけど、何かが涙腺を刺激してて、でもその何かはこれって表現しにくくて。
デヴィッドと対比されていたベンジーのラストシーンに寂しい気持ちになれましたが、エンドロール後の雑踏の音に空港でのベンジーを想像して、ベンジーの希望が見える未来を願って心地良い余韻で観終われました。
感じる「痛み」は強烈だが、自分の持っている痛みが不思議と和らぐ
人間は一人で生きられないという呪縛
ロードムービーというジャンル?
タイプが違うかも
主人公は3週間違いで生まれた従兄弟のデビットとベンジーの2人。ポーランドを巡るツアーに参加して祖母が住んでいた頃の家を訪ねる。
ツアーを通して徐々に2人の性格や社会性、生活が語られる。
自身のルーツを訪ねる事は自分へのつながりを知り境遇を考える事になると思う。
奇跡的に生き抜いた祖母がいたから今の自分がいる。
旅を通じてポーランドの街並み、地方の風景、歴史的な建物、遺跡を見ることができます。
兵士の像の前での事、列車の中での出来事、墓地での行い、レストランでの態度、バスの中での涙、随所に感情に問いかけてくるシーンがあります。
基本的人権の尊重と多様性は理解している。
当然だと思う。
ひとり一人、それぞれの人生があって同じようでも違ってて、羨んだり妬んだり生き辛さを感じたり。
そうして今を生きて行く。
人生は上手く行かないもの、思うようにはならないものだと思っています。
時代は人に寄り添う優しい社会であれと言う。
でも人の気持ちを慮る事が苦手な私
見終わって正直言って2人の思いが
「う〜ん?解らない」
痛みと向き合う
あらゆる関係性を投影できる
2人のキャラクターが魅力的で、デヴィッドはいわゆる理系オタクっぽい話し方が特徴だが妻子もいて仕事もちゃんもあって"それなり"に人生がうまくいっている。
多くの理系現代人は自分を投影できるはずだ。
対してベンジーは親戚の中でも問題児でドラッグや自殺未遂などデヴィッドのa real pain "面倒な悩みの種"として登場する。
昔は仲良しだったが大人になってから疎遠になった親戚や友達など誰にでもいるだろう。
オープニングの空港の人混みの中からベンジーを見つけるようなカメラワークが良い。そしてタイトル。
これはエンディングと対になっているのも洒落ていた。
どうかあなたのベンジーを見つけて、一緒に旅をして、抱きしめてあげて欲しい。
人間讃歌。
どう向き合うのか?
俳優ジェシー・アイゼンバーグの監督第2作。
ユダヤ系である彼自身のルーツにも向き合う形で、祖母の故郷のポーランドを訪ねるロードムービー。
彼と従兄弟がお祖母ちゃんの遺言でポーランドを訪ね、史跡ツアーに参加する話なんだけど、突拍子もない困った奴(=a real pain)でそれでも誰もに愛される従兄弟を演じたキーラン・カルキン(「ホーム・アローン」のマコーレー・カルキンの弟)が素晴らしい!
困った奴でありながら誰よりも収容所での感情(これもreal pain)に向き合う…そりゃアカデミー助演男優賞だわ…(彼はユダヤ系ではないらしいんだけど…)
そして、収容所シーンの自然にそうなったと思われる厳粛さとベンジーの慟哭がまさにリアル…
ただね、この映画単体としては素晴らしいんだけど、じゃあユダヤ人がパレスチナで虐殺(ジェノサイド)を行っていることにどう向き合うのか?ということは問わざるを得ない。
ユダヤ系の人々も、まさに今真価を問われてると思いますよ…
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