劇場公開日 2025年1月31日

「イタイやつ」リアル・ペイン 心の旅 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5イタイやつ

2025年6月2日
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鑑賞方法:映画館

予告を見た時、
ベンジー(キーラン・カルキン)は
なんて身勝手なやつだろう、と思った。
身勝手な人間からは、なるべく遠ざかっていたい。
だからこの映画は、観たくないと思ってた。

それから、痛いのも苦手(身も心も)。
だから真っ正面から「ペイン」なんて掲げてるこの映画は、
観たくないと思ってた。

でも、観てしまったw

冒頭から
デヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ――ちなみに監督・脚本もこの方)が
兄弟のように育った従兄弟のベンジーに
振り回されて可哀想。
笑えるんだけど、苦笑い。

2人は、
ユダヤ人の心の痛みを感じるための
ポーランド・ツアーに参加。

ツアー客は2人を入れて6人。ガイドが1人。
ベンジーは、皆とひととおり悶着を起こしていって。

デヴィッドは気が気じゃないんだけれど、思いは複雑。
というのも、結局皆だいたいは、
自分とは違って突拍子もないベンジーを好きになる
っていうわけで。

たしかにベンジーは、
いつどこで何を言い出すか
わかったもんじゃない。
(このあたり、脚本が上手い)

要するに、
荒立てないだけがコミュニケーションじゃない
ってことかな。それには同意。

それと同時にデヴィッドは、
ベンジーの心の状態が心配でもあって。

最終的にワタクシもまた、
すっかりデヴィッドと同じ心持ちになって、
少なくともベンジーを嫌いじゃなくなったし、
2人とも元気でやってくれ
と願ったのでありました。

うん、観てよかった。

* * *

ちなみに real pain には
「苦痛の種」「不愉快な奴」「うんざり」
(イタイやつ?)という意味があるらしい。
ここではおそらく
「リアルな(心の)痛み」と掛けてるんだろう。

島田庵