「なんか怖いような怖くないようなこわ・・・」ミッシング・チャイルド・ビデオテープ somebukiさんの映画レビュー(感想・評価)
なんか怖いような怖くないようなこわ・・・
「イシナガキクエを探しています」の近藤亮太監督の初長編作品。
「イシナガキクエを探しています」とはテレ東の地上波で深夜に放送されたドキュメンタリー風のフィクション番組のモキュメンタリーで、内容は「1969年にに失踪した女性「イシナガキクエ」を探し続けている高齢男性の米原実次(よねはら・さねつぐ)の遺志を継いで制作された公開捜査番組という設定の話。
ホラーといえばの演出である「ジャンプスケア」はほとんどなく、古いビデオカメラの映像や、よく見ると怖い不気味な演出など、過度な演出がないまっすぐなホラー作品だった。
非常に興味深かったので、近藤亮太さんの映画は見たいと思っていたが劇場では間に合わず、Amazonプライムで配信されていたので視聴。
あらすじは・・・
弟が山で失踪してから失踪者を探すボランティアをする兄、ある日母から届いたあるビデオテープをきっかけに弟が失踪した山へ向かう話。
全てにおいて過度な演出が無いのが良かった部分でもあり、物足りない部分もあった。
本作は完全な作品として出来上がっているため、「イシナガキクエ」を期待しているとちょっと違う形となっている。
イシナガキクエ同様に、ジャンプスケアによる過度なホラー演出が無いため、「うわ!」っと驚くシーンはほとんどなかった。
どちらかといえば、「あー何か起こりそう、怖そう、怖そう」っていう映画。
怖いホラー映画ではなく、怖そうなホラー映画。
これほど怖そうな映画にはもちろん没入感が必要になる、この作品は映画館でこそ見るべき映画だったと配信で見たことを後悔。
地上波のイシナガキクエを探していますの場合は、放送日の期間が離れていたため、フィクションといえど「前回の放送日から今までの間に、何か進展があった、何か悪いことがあったのか?」と想像させる怖さもあった。
薄ーく、いやだなーって思う怖さが、放送日を重ねるにつれて徐々に増していく一方、本作『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』では同様に説明されない怖さの要素は散りばめられているのだが、104分にイッキ見のため、こちらで怖さを想像する余裕がない。
しかも、ジャンプスケアが起こらず、微妙に怖そうな雰囲気で進むため、失礼ながらどこかテンポが悪く見える。
映画館で見ていれば、この微妙に怖そうな雰囲気に没入し、楽しめるのかもしれないけど、家の配信で見ていると、どこか退屈さを感じてしまった。
あと、キャスト陣のどこか奇妙さを匂わせる演技はよかったし、藤井隆の嫌な感じがかなり良かった。
長編映画となると、この演出を上手く見せるのが難しいのかもしれないけど、今後の近藤亮太さんの作品に期待していきたいと思います。