劇場公開日 2025年2月7日

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「「ただの偶然」なんて本当?人を想うことの尊さ」大きな玉ねぎの下で はまさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 「ただの偶然」なんて本当?人を想うことの尊さ

2025年4月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

笑える

幸せ

良作だった。
ヒット曲をベースにした映画なんて、歌詞をなぞるにせよ着想を得る形にせよ、概ねロクな作品にはならないイメージがある。だから興行成績も振るわなかったのだろうけど、見逃すのは勿体ない。

テーマは原曲の通り「人を想うこと、会いたいと想うことの尊さ切なさ」なんだけど、裏テーマとして「偶然って何なんだろう」ってこともあると思う。

レビューサイトの感想の「イマイチポイント」として「偶然が多すぎる」「その偶然を伏線回収する流れは上手いけど、やりすぎでは?」というのがあった。「そもそも物語なんてそんなもの」と割り切れる人は良いが、気になる人も出るくらいには確かに偶然が多い。主人公の2人が出逢う偶然、その周辺の人物に関する偶然。「ご都合主義作品じゃないか?」と身構える人もいるだろう。

でも、冒頭が主人公の「全ては偶然だよ。『自分の意思で選択』とか思い込み!」くらいの拗ねて斜に構えた薄っぺらな演説から始まるのに対して、作品は最後にキッチリと回答を用意してくる。その点からも製作者が「偶然だけじゃないよ。相手を想うことが何かを呼び寄せるんだ」くらいな「意思での選択」を持って「偶然」を使った物語を描いたんだろうなと思った。

映画内、令和パートと平成パートがあり、それぞれに恋愛模様が展開される。何回か行き来するので、どちらの時代か認識するのが多少難しいが、「2つのパートがある」と理解して見れば何とかなるはず。

上映は早々に終わってしまった様子。さすがに「配信サイトに新規加入してでも見て欲しい」とまでは言えないけど、使ってるサイトで配信開始したら、十分追加料金を払ってでも見る価値はあると思います。ぜひ、お勧め。

はま
はまさんのコメント
2025年4月9日

Mr.C.B.2さん
お返事ありがとうこざいます、今、見返してて、確かに令和5年12月に明日香の実家に手紙が届いてる描写がありました。ってことは虎太郎も東京で働く明日香と連絡を続けてたわけではなく、明日香に届くことを願いつつ、一か八か文通時代の家に手紙を出したんでしょうね。

Doubleは調べた所、ロケ地は町田のようです。ただ町田から自転車はない(笑)と思うので、設定イメージは中野とか早稲田とか神楽坂とかかな。ともあれコンサートに間に合わないのは確定なんだから、顔だけでも見ようと思ったにしても、直接武道館に行けばいいのに…とは思いますね。そこら辺は感情的・突発的に動いてるが故の不合理ということなんでしょうけども。

はま
Mr.C.B.2さんのコメント
2025年4月9日

共感・コメントどうもです。
ご指摘のとおり、丈流は虎太郎の間違いです。私は、明日香のポストに届いた手紙は大樹が出したものだと思っていましたが、虎太郎の方が自然ですね。住所知ってる訳だし。
鎌倉から九段下まで電車で1時間20分位係るので、店が九段下から自転車で行ける距離だとしても病院から行ったらコンサートは終わりますね。山下達郎みたいに3時間やれば別だけど。あ、達郎は武道館はやらないわ。
失礼しました。

Mr.C.B.2
はまさんのコメント
2025年4月9日

■大人4人は疎遠なはずなのに最後どうやって連絡を取って集合したのか
丈流の父の虎太郎と大樹は、大樹が文通を放りだしてアメリカに行くことで疎遠になっていた。今日子-明日香も「大人な明日香に噛みついてしまった」と寂し気に語る今日子が描かれていたので、今日子-明日香も疎遠になっていたはず。
だが虎太郎が妻今日子の死期が近いことを知り、大樹と明日香それぞれに連絡を取って集合をかけた。2人が先に来て待っている所にサプライズで今日子を案内した。
大樹は当然、虎太郎・今日子の住所は知らないし結婚してることすら知らない。虎太郎も大樹へ連絡するのにラジオの番組に手紙を送っているので、本当に疎遠だったのだろう。
今日子-明日香は、今日子が明日香の現在の仕事(救急隊員)を知らなかったので疎遠なんだろうが、住所知ってる程度のつながりはあったのか。でもおそらく、虎太郎が明日香からスクーターを借りたことで、虎太郎-明日香で薄いつながりが続いていたと考える方が自然か。

■なぜ陽キャの大樹と陰キャ真面目な虎太郎が馬が合う?
大樹も親がアメリカ赴任するし「厳しい家」とのことなので、親は大会社の部長クラスとかか。「これから日本は世界のリーダー」的なことも言うので、それなりにお坊ちゃんで育ちが良かったはず。大樹はお調子者の目立ちたがりとは言え、基本的には真面目な二人で馬があった。

■美優は最後、鎌倉から武道館までどう移動したのか
おそらく病院~鎌倉駅はバスがないので走って、鎌倉~バイト先(Double)は電車。Doubleでチケットを受け取って、Double~武道館は夜店長の自転車。

はま
はまさんのコメント
2025年4月9日

皆さんが疑問としてツッコんでいる点、ネタバレありで見解を

■丈流の態度と、なぜ二人が恋に落ちたか
丈流は自信がなく自分がつまらない人間だと思っている。「人に期待されて応えられない」「本音を言って弱さや中身の無さがバレる」など、相手に失望されるのが怖い。だから虚勢を張ってマウントを取ることで自分を保っている。偽悪的な態度を取ってしまう。

美優は「自信や実力がなくたって生きちゃおうよ」と思って頑張ってるが、実際自信も実力もないし、それを取り繕い隠す気持ちは分かる(事実「エース級の看護師」なんてハンドルネームを使っている)

丈流はそんな美優の強さ・前向きさに惹かれたし、美優は丈流の弱さとその根底にある優しさに共感した

■なぜ連絡ノートでやり取りして仲良くなっても相手の名前を知らないか。ノートに本名を書きたくなるのでは?知っていれば行き違いもなかった。
行き違わないとドラマにならないから(笑)だけど、それを自然に見せるために、互いに「昼の人」「夜の人」で徹底させるという工夫がある。美優については女性だし、昼店長から「個人情報に気をつけろ。夜店長は胡散臭いし」と注意されていたので書かなくて自然。丈流は書いても良さそうだけど「いつか会えるだろうと思い、積極的に探そうともしなかった」程度の意識なので書かなかったのかも。

■二人は都内に住んでいる様子なのに、なぜ美優は鎌倉の病院で働いているのか
丈流がバイト先のDoubleで「実家(鎌倉付近)からは大学に通う気にならない」の意図の話をしていたので、Doubleは都内にあり、丈流は都内に住み都内の大学に通っているはず。そしてDoubleは武道館まで自転車で行く気になる距離の場所。
ならば美優も都内周辺に住み看護学校に通っているはずなのに、なぜ鎌倉か。
実習の場所は学校や人のコネで決まるので、そこが鎌倉だったということ。美優が看護師になる意思が強いから通える(住居が世田谷・目黒・品川など都内南側なら十分あり得る)。でも先輩看護師に「あなたの都合は関係ない」と怒られ、デートで丈流に「帰ったらレポートもあるしバイトもあるし」と愚痴る場面からすると、寝坊遅刻でもしたのかもしれない。

はま
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