劇場公開日 2025年2月7日

「「大丈夫、未来は変えられる」― だれも"運命の人/赤い糸"だなんて言わなくなった、夢も見れない今日に坂元裕二さんが描くこと。おかげで僕らはまた恐竜を発見できる!」ファーストキス 1ST KISS とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「大丈夫、未来は変えられる」― だれも"運命の人/赤い糸"だなんて言わなくなった、夢も見れない今日に坂元裕二さんが描くこと。おかげで僕らはまた恐竜を発見できる!

2025年2月16日
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恋は盲目、結婚は4K。恋はいいところ探しで、結婚は悪いところ(粗)探し。出会ったときは一億点で、そこからの減点法?そんなふうに離婚が昔より普通の日常になって、誰も夢を見(られ)なくなっている今に、だからこそ坂元裕二さん✕タイムトラベル=脚本家・坂元裕二さんの原点に立ち返るような、地に足の着いたロマンチックなドラマ。何より先ず、坂元裕二さんと松たか子さんという黄金タッグが嬉しい!運命の赤い糸という神聖時間軸を、他の色の糸で上書こうと何度も同じ1日を奮闘する主人公を、松たか子さんがいつもの(割とズバズバとはっきり言う口悪く気難しい?)好演で、観客の笑いと共感を呼ぶ。そこに松村北斗の魅力も加わって、シンプリシティの極致のように飾らずも届くものになっていた。
"運命の赤い糸"や"運命の人"という概念自体が、今ではほとんど耳にすることのなくなった、一昔前の古びた絶滅危惧種なアイデアだと思う。今日、レールのようにあらかじめ決められた"運命"といった概念が作中に出てくるときは、主人公にとってその多くは目の前に広がる打破すべき障壁として描かれる。本作でも入りとしてはそうだ。それらは例えば王子様を待つお姫様プリンセスといったイメージを想起させ、だから女性の自立や地位向上・男女平等などが叫ばれるようになって、主流派から外れ消えていったのだと思う。だが、坂元裕二さんは自身の得意な方法とさすがの手腕で、恐竜のように滅びかけた概念を掘り起こし、こうも素敵に復活させてしまった!そういう意味で、本作はまさしく日本ロマンス映画のジュラシックパークだ!!
「これ以上、僕をドキドキさせないでください」― 主演・松松コンビの科学反応に抗えない!かき氷からトウモロコシ、餃子へ(南府中駅は無さそう)。もう一度あの頃のぼくらの気持ちに戻れたら。残りの人生を誰とどう過ごしたいか選択とお互いの努力や歩み寄り=愛することの連続で、これもまた人生賛歌。比較的わかりやすい王道の図式。つまり夢と恋や、お金持ち(今回の場合は教授)か真実の愛か、みたいな。吉岡里帆の役どころが流石にズケズケ言いすぎて笑っちゃいそうになるくらいビックリした。時間も上下・前後ろ曖昧あべこべでもいいけど、やっぱりぼくらには坂元裕二さんが必要だ!…という当たり前すぎる普遍の真理を改めて発見しました。

P.S. 上映後、周囲のいたるところで号泣している女性を連れの男性がよしよしと慰める微笑ましい様子が見られて、一人で観に行った自分としては坂元裕二作品の中の松たか子くらいヘソ曲げそうになった。ちくしょう、わかっちゃいたけどやっぱりツーマンセル推奨(=お一人様非推奨)カップル映画かよ!

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とぽとぽ
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