「監督&脚本家目当てで観てきました」ファーストキス 1ST KISS tottoさんの映画レビュー(感想・評価)
監督&脚本家目当てで観てきました
塚原監督の「ラストマイル」「海に眠るダイヤモンド」、坂元さんの「怪物」「死の笛」がとても好きなので、このお二人の名前がなければ観に行かない恋愛映画に足を運びました。
リリーさん演じる駆の師事する教授が早朝にジャムの瓶を持ってくる傍若無人さや、これ以上僕をどきどきさせないでください、に感じ入ってそのためだけに繰り返しを実行するカンナの表情、こんなに恋する乙女なのに絶望的に駆と話が合わない吉岡さん演じる里津の言動あたりには笑わされ、かき氷屋の行列で繰り返される会話や時間遡行を明かす長いやりとりが平板にならないところや、40代の松さんと20代の松村さんがそれぞれ20代・40代を演じて違和感感じさせないメイク技術なんかにも感心し、最後の駆の手紙に泣いて、と素直に楽しませていただきましたが、突きつけてくる主題はそこそこ重いですよね…?
駆とカンナは、こんなにも相性がよくて(正直、リフレインの記憶がない駆が一度の説明ですべてを飲みこんでしまうのはファンタジー脳が過ぎると思いますが、そこがこの人しかいないという相性の為せる技だと解釈して)相手の不幸を避けるためにあれだけ努力できるほどの思いがあるというのに、最初のターンというか、元の世界ではその仲が修復不可能なまでに冷めきってお互い路傍の石だったわけじゃないですか。
死という絶対的な別れを突きつけられて初めて必死になるカンナの行動もそうですし、早すぎる別れをわきまえた駆が寛容に振る舞えば幸せな15年になるというのに、ほんのわずかな努力をしてないんじゃないですか、って突きつけられてる感の方が強くって。
自分自身の普段の言動を振り返らされる作品でした。
(書き忘れてたこと思い出して追記)
駆の最後の手紙が感動的過ぎるんですが、でもカレンダーを捲ったら落ちてくるってことは、駆としては必ず死ぬつもりはなくて、赤ちゃんを助けて自分も生き残ろう気持ちはあったのかな、と思ったんです。7月10日がその日だから、8月まで回収の余裕を持たせていたのかな、って。一方で、いずれは気づいてもらえるように、って置き手紙だったのかと。
でもシナリオブック読んだら、「駆の部屋」の「6月のカレンダーの捲り忘れてたところ」に挟んであったとのことで、ちょっとわからなくなってしまいました…。