BAGHEAD バッグヘッドのレビュー・感想・評価
全2件を表示
男女4人、密室、映画制作、何も起きないはずがなく…。 予想の斜め下を行く衝撃のクライマックスを見逃すなっ!
自主映画を制作する為に山小屋へと集まった4人の売れない俳優たちを襲う恐怖を描いたマンブルコア・スリラー。
スターを夢見る女優の卵、ミシェルを演じるのは後に映画監督/脚本家として大成するグレタ・ガーウィグ。
2000年代初頭から活発化した「マンブルコア」と呼ばれるインディペンデント映画のムーヴメント。色々と定義はある様だが、要するに「安い・安い・安い」をモットーにしたザ・自主制作映画の事であり、(主に白人の)若者のモラトリアム的な揺らぎを自然なタッチで描き出す作品群を指す。予算も規模も肥大化を続けるハリウッド映画に対するカウンターカルチャーである。
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)や『バービー』(2023)といった超話題作を監督した事で、今やハリウッドNo.1ヒットメーカーとの呼び声が高いグレタ・ガーウィグもこのマンブルコアから名を上げた。
本作は彼女の初期出演作の1つ。まだ何者でも無かったガーウィグの瑞々しい演技(とおっぱい)を確認する事が出来る貴重な映画である。
内容としてはエスカレートした悪ノリがとんでも無い事態を引き起こすという「迷惑系YouTuber系映画」。
映画を舐め切ったダメ役者たちのダラダラバカンスが謎の紙袋男の存在により徐々に崩れ始める、という良くあるホラー映画の建て付けなのだが実は…というドンデン返しがウリ。
映画監督や物書きのキャラクターは信用できない、というのが映画の鉄則。本作も主人公が「俺たちで映画を作ろう!」と言い出した段階で、「あっ、これこの後山小屋で起こるパニックはこいつのヤラセやな…」と大体は予想が付く。二転三転するストーリーによって、「おっ、そう思わせておいて実は違うのか?」と揺さぶりをかけられるのだが、結局は想定内…というか想定をだいぶ下回ったしょうもないオチが付く。
本作が公開された2008年ならともかく、誰もが動画を撮影してネットにアップ出来るYouTube時代の今では、こういうお騒がせ動画ネタというのはどうしてもパンチが弱い。わざわざ映画観なくても迷惑系YouTuberなんていくらでもいるからね。
公開から15年少々。それほど昔では無いにも拘らず、当時は通用したであろう大オチの賞味期限が既に切れてしまっているという事実。YouTubeやTikTokなどの動画配信SNSの恐ろしさを改めて思い知らされた。
器の大きさを披露してミシェルと良い感じになった薄毛のチャド。大惨事を笑って許すその器量には頭が下がるが、だからと言ってそいつのストーカー気質は帳消しにならないからっ!気をつけなはれや!!
…そう言えば、『バービー』で「男は好きな女にギターの弾き語りを聴かせたがる」というネタがあったけど、その元ネタは本作のチャドか。
後の大ヒット映画にしっかり影響を及ぼしているんだから、何だかんだ言ってもこういう低予算映画をバカにする事は出来ないね。
息詰まる
ブレアウィッチ的なカメラ。
登場人物の友人がカメラ回して撮っているような親密さ、距離感、湿度が相まって胃もたれしました。
派手な演出がなく、それぞれ演技が上手いので妙にリアルで。
めんどくさい恋愛感情のちょっとした縺れもありつつ、チャドのユーモアで最期はほっこり。胃もたれしながらほっこり。妙に印象に残る変な映画でした。
全2件を表示