海の沈黙のレビュー・感想・評価
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ニコラシカ、ご一緒したいですw
今週の2本目、気になる作品は数本あるものの、どうしても「今、劇場で」と言うほどの熱意にまで至る作品がなかったのですが、今年90歳になる倉本聰さんの原作・脚本はやはり観ておくべきか、と思い直して劇場へ。サービスデイのTOHOシネマズ日比谷、11時20分からの回は私の予想をはるかに超えて驚くほどの客入り。なお客層の大半は私(53歳)よりも上に見える方ばかりで、あまりサービスデイは関係なさそうです。
で、観終わった私の本作に対する印象は「枯れない高齢者(おとな)向けのロマンティックファンタジー」。倉本さんの所々現実味のない設定や展開の脚本に、若松監督の思い入れが溢れる超濃厚な演出は、その世界観に没頭出来て「心底美しい」と感じられればハマれるのでしょうが、正直なところ私は終始「無感情」。つまらなくはないのですが、生きる世界が違う人たちの話であり、その上リアリティーが感じられないとなれば、如何せん感情は動きようがありません。
とは言え、見どころがないわけでなく、何と言っても豪華な俳優陣の渾身の演技はとても素晴らしく、皆さん強く印象に残ります。特に展開上、重要な役割となる人物を演じる清水美砂さんは必見。清水さん演じる「牡丹」の普段のさばけた感じと、愛する人への艶っぽさのギャップについついそそられます。(ニコラシカ、ご一緒したいですw)一方、観ていてやや混乱しそうになったのが石坂浩二さん。演技は抜群にお上手な上に、「田村修三」と言う役にはピッタリのキャスティングなですが、どうしても石坂さんの実年齢が周りのキャストの皆さんと比べ突出して高く、観ている最中もつい、役柄上の関係性に戸惑いを感じてしまいます。石坂さん、とってもお若く見えますが実年齢は83歳ですからね。。単体でははまり役でも、他とのバランスはやや悪いと言わざる得ないかな、と感じます。
と言うことで、「本木さんと小泉さんの32年ぶり共演」など話題に事欠かない本作。レビューは少々ネガティブになってしまいましたが、あくまで好みの問題で作品を否定する意図はありません。現在53歳の自分が子供のころから見てきた方々を、今もこうして観続けられている幸せは正に「人生の醍醐味」。やはり劇場で観て良かったと思っています。感謝。
倉本聰の集大成ってことですか
もっくん、かっこいいなぁ・・。美しい顔面は年齢重ねても・・かっこい...
もっくん、かっこいいなぁ・・。美しい顔面は年齢重ねても・・かっこいいのね♪ 羨ましい(笑)そういう点では・・この映画の生きる主題だったかもね♪
久々の倉本聰さん作品、これは鑑賞するしかないでしょ・ということで映画館♪
倉本さんらしい、顔アップでの感情表現の演出は健在・・。かれこれ、随分昔に倉本聰さんの「幻の街」を題材に学んだコミュニケーション学、その技法が、今もそのまま活かされてました♪
物語は・・やはり北海道が舞台、うーんな部分もなきにしもあらずですが・・・。特に、牡丹さんは・・まぁ、状況説明のために必要な役柄なのでしょうけど・・あんな形で退場させる必要あったのかなぁ・・と思ったり・・。
キョンキョンの「ありがとう」は、何に対しての感謝だったのかなぁ・・とかね・・。
「2丁目3番地」以来の倉本作品の、石坂浩二・・老けたなぁ・・。というか・・ほとんどの登場人物が・・老けたなぁ・・という感じのキャスティング・・。登場人物の平均年齢が、日本の高齢化も反映してるのかなぁ・・・。
結論としては、倉本さんがこの映画で伝えたかったのは「美しい」は、絶対的な感性で感じるもので・・お金や、鑑定証、など世俗的な、相対的な基準を持って判断されるものではない・・ということか・・それには、両手を上げて賛成。
芸術家の業
テーマは、芸術家の業や、
情報に流されがちな今の世の中にあって自らの価値観を貫くこと、でしょうか。
全体のストーリー、設定などリアリティは薄く、小説や演劇のようで、
だれかに感情移入したり、共感することはなく、
他の倉本作品とは少し異なる印象を受けました。
バラライカの流れるバー、廃校で作られる料理など
小道具や背景が独特の世界、雰囲気を醸し出しているのと、
俳優陣(とくに中井貴一さん、清水美沙さん)の濃い強烈な演技、
さらにクローズアップで表情を強く印象付けるような画面構成に引き込まれて
緊張感の途切れることなく最後まで観ることができました。
本木さんは、破天荒な芸術家役ですが、
狂気の場面でも清潔感、美しさを失わないところや、掴みどころのない感じが、
典型的ではない、新鮮な、謎を秘めた人物像の表出につながって良かったと思います。
小泉さんもそんな本木さんに相対する女性として、雰囲気が合っていたように感じました。
「哲学的な作品」
期待はずれ!
もっと見たかったかも
倉本ワールド!
狂気じみた画家の執念
モっくんが色っぽい
いくつか疑問点はあったものの、「ザ・倉本聰ドラマ」って感じで、観終われば重厚な作品だった。
とにかくモっくんが色っぽいのがよかった。
その疑問点とは、主に以下の通り。
本木雅弘、仲村トオルと、石坂浩二が同級生なのは無理ありすぎじゃない?
油絵と刺青は関係なくない?
芸術の意味、贋作ミステリー、老域に入った女の過去の恋愛、刺青に憧れる若い女性、かつて刺青を掘ってもらった女性の死、そのどれもが関係するようで、話の軸として機能はせず中途半端。
そんな登場人物たちに、芸術のありようを語らせたのは、消費されるTVの世界で紡いだ物語が変に芸術扱いされなくとも人の心に残りさえすればいい、といった心境を反映させていたのかもしれないとも邪推しました。
美とは、知性に訴える映画
最後の映画作品?
倉本聰最後の映画脚本といったら観るしかないでしょ。
と期待一杯で映画館に直行しましたが、観た後はもう一回創って欲しいなと。
倉本聰さんのストーリーは彼の思いがシンプルに表現されていて、良い意味でわかりやすくその反骨精神が伝わってきます。五十代の私にはあと10年して、もう一度観なさいと言われている様な気がしました。
キャストは中井貴一氏が良い味でてましたね。
萩原聖人さんも存在感あったな、
石坂浩二さんはこういう役所はそうだよな、と。
また清水美沙さんの妖艶さにも久しぶりに見てドキっとしました。の割に本木さんと小泉今日子さんの役どころが
ちょっとハマらないというか違和感が取れず…。
ただやっぱり脚本の構成がしっかりしていて最後まで
しっかりと話に没入できました。エンターテイメントと
してはドラマを十分に楽しめました。
大雑把な感じで言うとテレビ局開局何十周年記念ドラマ
的な映画だなと感じました。
<最後の>とか<構想何年>とかそう言う宣伝文句はもう
そろそろ止めて欲しいと思います。
作品を観る方も創る方にも
力みが出ちゃうだけで本来の良さが伝わらないのでは
ないかと思います。
元々かっこよかった本木さんと歳とともにかっこよくなった中井さんを鑑賞する映画
老いらくの恋は、水魚の交わりの如し
wiki先生によれば
「贋作」とは
「作者の名を騙って流通させた作品」のことらしい。
では「模写」はどうか。
「他者の作品を忠実に再現、あるいは作風を写し取ることで、
作者の意図を体感・理解するための手段・方法」と書かれている。
加えて「模写には再現のための知識・技量が必要」とも。
回顧展の会場で、画家がふと目を留めた自身の過去作。
確かに描いた記憶はあるものの、
画面上の表現は明らかに自分の技量を超えている。
作者が「贋作」と断じたこの作品は
三億円を超える高値で取引され、
今は地方の美術館の目玉作品として収蔵されているもの。
専門家も真作と折り紙を付け、
鑑定書まで出されているのに、
何故このようなことに。
目の前に在るのが「贋作」なら「真作」はどこへ行ったのか。
もっとも本作の中では、その方向にミステリーは展開されない。
時を同じくして身体中に入れ墨を纏った女性の水死体が小樽で発見され、
以降、二つの事件は結びついて行く。
「贋作」と「刺青」に共通の人物が浮かび上がる。
彼は数十年前に、事件を起こして画壇から離れた人物。
その画家『津山竜次(本木雅弘)』の過去と今が
幾人かの口を借り語られる。
不幸な生い立ちと、画家の師匠との関係。
師匠の娘『安奈(小泉今日子)』は初恋の相手か。
彼女はたまさか、贋作を描かれた作家『田村(石坂浩二)』の妻となっている。
『本木雅弘』は圧巻。
狂気に憑かれたように
理想の美を追求する孤高の画家を演じる。
献身的に仕える『スイケン(中井貴一)』、
全身に刺青を彫って貰いたいと願う『アザミ(菅野恵)』も登場させ、
多くの人に慕われる人物像も描き出す。
しかし彼が描こうとしているのは常に、
自分を不幸に陥れた事件の記憶の再現。
悲しくも虚しくもあり、
それが完璧に体現された後には、
一体何が残るのか。
数十年ぶりに邂逅した『安奈』との関係は
さらりと語られる。
それなりに印象的なエピソードはあるものの、
今ではあくまでも精神的に繋がる者同士として。
「贋作」の露見は自殺者を生み、
その遺書と、画家の遺した言葉には共通の真理が記される。
美の価値とは何か。
付けられた値段や、一部専門家のお墨付きがそうなのか。
観る者の心を揺さぶるのかどうかが基準ではないか。
「真作」よりも「贋作」の方がより心を打つのであれば、
果たして真贋だけが問題なのか、と。
直近で公開された〔まる〕とも相通じる主題。
今の風潮に、皮相な眼差しを向ける。
日本映画の直球ど真ん中
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