海の沈黙のレビュー・感想・評価
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昔は美男・美女だった人達が美を題材に演じる作品
本木雅弘、小泉今日子という昔は美男・美女だった2名を中心に、中井貴一、石坂浩二、仲村トオルというイケメンが脇を固めています。
うーん、登場人物の平均年齢はかなり高いですねえ。
中高年に人気の高い人選ですが観客動員力はあるのかな?
(自分の鑑賞回はガラガラ・・ある程度の製作費かかっていそうだけど大丈夫かな?)
筋書はどうなんでしょ、ああいう形で作品が出来上がるのはなんかありきたりのような・・
倉本聡氏の脚本なので、彼のファン向けでしょうか。
ヴァーミリオン
実力があるのに潰された画家と、彼にまつわる人達の今の話。
東京美術館で行われた日本美術百年展のレセプションで、世界的な画家田村が自分の作品の一つが贋作だと言い始めて巻き起こっていく。
本家を超える贋作がなんちゃらと言い始めたと思ったら、彫師の話し?
別に田村は悪いわけじゃないし、比べたら劣るとはいえ実力はある訳で、そこに偉そうに語るスイケンがなんだそれ?という感じ。
更には、ゴッホの話しからしたら、落日は別としても結局は贋作作家に成り下がってしまっていたってことですよね。
才能があり人間的にも魅力がある愛され男だったのかも知れないけれど、結局彫師であることはどうでも良いし、色々ととっ散らかってしまっていた印象。
贋作と巨匠の看板に惑わされた
贋作絵師を本木雅弘さん、元恋人を小泉今日子さんが熱演。脚本は倉本聰さんオリジナル。
この布陣なら傑作に間違いないと勇んで観に行ったけど、どこかで見たことがあるような贋作事件の設定と、誰にも共感できないキャラ設定で、いまいちでした。
贋作を見抜けなかった美術館職員(萩原聖人さん)が自殺するのだけど、本作のテーマの真贋
とは? からすると、贋作を贋作と気づかずに3億円を捻出して手に入れた美術館職員こそが、本物を見る視を持っていたとも言える。
そう考えると、贋作絵師じゃなくて、贋作を掴まされた職員の苦悩を描いた方が、僕には共感できた気がする。地方の美術館が3億捻出するって大変だろうし、苦労して手に入れた絵画が贋作だった時の落胆や苦しみなどを、すぐ自殺で片づけることなく、じっくりと描いて欲しかった。
一方で、贋作絵師が女性の背中をキャンバスにして入れ墨を彫る話は蛇足だし、本筋とは何の関係もなく尺稼ぎにしか思えなかったし、贋作絵師が肺癌末期で吐血しながら最期の作品に命を賭けるって、手垢がつきすぎの設定でベタすぎる。
本当に倉本聰さんの脚本? と、疑ってしまった。
感動のヒューマンドラマを期待していると、落涙することなくエンドロールになります。
なお、役者陣の演技は素晴らしかったです。
絵画の美なんて99.9%の人は理解してないでしょ
作中で「美は絶対」という格言が出てくるが違うかな。美は相対的なものであり、押し付けることができるものである。一般人は1億円の絵画を見て、「なにかすごい気がする」と思い込むだけ。値段が付けられてる絵画なんて、お金の価値と同じで、信用が無くなったら紙クズになる類のものじゃないかな?
で、作品の最後で「美は値段を付けるものではない、権力者によって守られるものでもない」というメッセージが出たが、結局は究極の自己満足を主人公の津山(白髪のオッサン)がしてるだけだったという感じか?「自己満足」という言葉を、聞こえの良い言葉に置き換えたに過ぎない。
以上のことから、合理性を求めてはいけない作品だとわかった。
問題は面白かったかどうかだが、無難な人情系物語と言ったところか。今後、同じレベルの映画が出たら、わざわざ映画館に行かないだろうという感じ。見なきゃわからないから行っちゃうんだけどね。
泣けるというか鬱になったというのが正直な感想かな。
画家が女の全身に入れ墨なんてありえない
モッくんにキョンキョン、昭和のアイドルがメインキャラ、2人とも役者みたいだよ。キョンキョン演じる安奈は石坂浩二演じる有名画家の田村修三の妻なんだけど、20年以上別居している。離婚しない理由は旦那が離婚を承諾してくれないから。はて?なんで一緒に暮らそうとしてないのよ。田村の作品を贋作したとモッくん演じる津山竜次が疑われる。こいつインターポールからも追われてるらしいが、そのシーンは無かったね。不思議だったのが、自殺者が現れた事。誰か殺人に関わってるのかと思っちゃった。仲村トオルに中井貴一などキャラ強めの奴だらけ。個人的には怪しい奴がとっても多い苦手な人間関係。津山が描く作品なんだけど、紅を血で?そんな事したら色が保存できないよ。とにかく顔のアップだらけでみんなの表情が楽しい。それにしてもそんな昔の元彼に会う為に東京から北海道まで行く?最後はちょっと泣ける展開だったけど、自分的にはずっとテーマが理解できず残念でした。
良質な大人の映画
美しいものの評価基準はお金や名誉か?
"美"とは…"愛"とは…
倉本聰が脚本を書いていたので鑑賞したが、
モッくんが、著名な画家の絵の海の部分が気に入らないという事で、あろう事か、その画家の油絵を手に入れて、画家が魂を込めて制作した油絵に勝手に絵の具で修正してしまうのだ。
俺みたいに、絵画鑑賞が大好きな人間からすると、助走つけて金属バットでタコ殴りにしたいくらいに許せない非道行為で、こんな登場人物に感情移入する事は出来なかった。
何か、女の人に刺青を入れるシーンがあるけど、背中だけのヌードで女優の覚悟が感じられない。仏作って魂いれず、おっぱい出して乳首を隠す、映画の「 箱男」 の女優の根性を見直して欲しい。
今際の際に、油絵を描いているモッくんが油絵に向かって吐血して、それが油絵の赤になるが、血液って赤黒いぜ?吐血シーンもコントみたいだし...。
協賛は、お茶の伊右衛門。劇中でモッくんがいつ伊右衛門を飲むのかと、ずっとハラハラしていたぜ。
モッくんは銀髪髭で年配の役を演じていたようだが、隠しきれない童顔なので貫禄はない。
ここは、やっぱり市村泰観か、役所広司に演じてもらうべきだった。芸術家に対してのリスペクトが感じられないので、何の感想も無いっス。モッくんファン以外にはお勧めできません。
良い作品だと思う。でも観ていて、何かが足りないと感じた。
結局、主人公は母性或いは父親・母親を求めていたんだと感じた。漁村で生まれ育った主人公は、海を身近に感じ愛していた。その一方で両親を奪った海に執着している。迎え火は遭難した両親への助け火で、彼はその絵を描き上げることがら唯一の目標だった。入れ墨にしても、母の肌に描くことが、目的だったような気がする。
刺青には官能性・エロスが必要だ。だがこの作品にはそれがない。なぜ、主人公を体で温める際、全裸で陰毛を見せたって、何らおかしくない。監督の力量不足と考えた。でも、良い作品だ。私はてっきり、今東京都美術館で回顧展が開かれている田中一村がモデルと思っていたら、間違っていた。応仁の壺事件から倉本聰はヒントを得て、書いた作品だそうだ。加藤唐九郎がモデルか。
美とは?芸術とはなんなのか?
「美とは何か」「芸術とは何か」
この作品なりにQ&Aを出している。
映像美やその場の魅せ方、BGMにはかなりのこだわりを感じた。
少し盛りすぎた設定や、本筋に持っていくための流れの強引さは多少見受けられたものの、サスペンスや推理物が本題ではないのでひとまず目を瞑る。
一人の男の美への探究心が周囲を巻き込み、ときに死へも至らしめる様は毒花のようである。
終盤の本木氏の鬼気迫る演技は、これこれ!これが見たかった!内面と葛藤の表現が素晴らしい。
また3人の女性が出てくるが、描き尽くしたキャンパス、描き損ねたキャンパス、真新しいキャンパス、を表現しているのかなと感じた。
興奮冷めぬまま、普段レビューを書かない人間が書いたので色々とご容赦ください。
私にはめちゃくちゃこの作品は刺さった!
昭和的抑圧感が持ち味
夫と別れたくても別れてもらえない杏奈、札束を積まれ主人公との長年の関係を解消され自殺する牡丹、タトゥーを掘ってもらえなかったアザミ。
自分勝手な男に女が都合よく振り回されるところに昭和へのタイムスリップをリアルに感じ、重い気持ちで鑑賞した。
上映後の余韻に浸った後、令和の現実への開放感が心地良かった。
本木雅弘の狂気に満ちた演技が胸を打った。
「貧乏」という設定なのに大量の画材を買えた、筆遣い荒すぎて画材のロスが多すぎ(しまいには絵の具の入ったバケツぶちまける)る等という矛盾が所々あるが、そこは物語として受け止めた。
BGMは終始寄り添う感じで心地良い。
中盤のバラライカの音に心洗われた。今の時代にバラライカいいんだろうかという疑問は残るが、美しいものはただ美しかった。
俳優陣の迫真の演技と映像の素晴らしさで、昭和的な抑圧感を覚えながらのあっという間の2時間だった。
奥を想像で膨らませて観る
世に出ることのなかったすべての芸術家への鎮魂歌
倉本聰作。
モッくん、きょんきょん、中井貴一、仲村トオル、そして石坂浩二。みんな十代の頃からアイドル、スターだった人たちがメイン・キャスト。
おじさん世代にはよくても、いまや集客力のない、ある意味で攻めている大人の映画。
初日にもかかわらず貸し切り。
今作も予告の印象とは違って、始まりはミステリー。
贋作の謎。謎の作者。謎の男。謎の過去。
あ、みんな説明しちゃうんだ。
役所さんや菅田将暉みたいに出ずっぱりじゃない俳優さんがこういう役で出てくると重みがありますね。
モッくんもっと映画に出ればいいのに。
(剛くんは二十数年ぶりだったけどまるまるしてたな)
いくら若つくりをして若く見えても、石坂浩二がモッくん、仲村トオルと大学時代の友人というのは無理がある。
(でも若く見えましたね)
バーで途中に入ってくる女の子たちと最後に駆けつける漁師さんたちは、なんか出してあげなければいけない人たちだったんだろうか。
最後の絵が素晴らしかったです。世に出てほしい。
モッくんとキョンキョンの円熟の演技は感慨深いのだが・・・
贋作事件と美術館長の入水自殺、そして唐突に描かれる全身入墨の女の、これまた入水自殺。そして、ようやくと画面に現れる本木雅弘と、序盤のミステリアスな展開には、それなりに引き込まれる。
ただ、2つの事件を結ぶミステリーなのかと思っていると、贋作画家と入墨の彫師が同一人物だったというだけで、「謎解き」としては肩透かしを食う。
石坂浩二演じる大物画家は、自分の出世のために、本木雅弘演じる天才画家を陥れたらしいのだが、師匠の絵に上塗りする形で自分の絵を書いたり、師匠の娘に入墨を彫ろうとしたりと、本木雅弘の素行の悪さばかりが明らかになって、石坂浩二が「悪い奴」に思えないところも気になってしまう。
仮に、日本の画壇から追放されたのだとしても、ヨーロッパで修行(模写)を続けていたのだから、そこで自分の才能を発揮させることは可能だっただろうし、どうして彼が贋作画家に転落して行ったのかもよく分からない。
そもそも、油絵の画家と入墨の彫師が同一人物という設定にも違和感があり、全身入墨の女や入墨を入れたがっている若い女など、「入墨」に関するエピソードは、そっくりそのまま無くても良かったのではないかと思えてならない。
ラブストーリーとしても、小泉今日子演じる大物画家の妻は、失踪した本木雅弘を心の奥底で思い続けていたらしいのだが、その割には、あっさりと再会を果たしてしまうし、しかも、それで恋愛が再燃する訳でもなく、淡々と言葉を交わすだけなのは、物足りないとしか言いようがない。
結局、言いたいことは、ラストの、本木雅弘の「遺言」と思われるモノローグで全部説明されるのだが、「権威に左右されない本物の美の追求」というテーマが胸に響かないのは、やはり、登場人物たちの人生の歩みや重みが、今一つ実感できないからだろう。
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