「倉本聰さんなりの美へのこだわり」海の沈黙 ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
倉本聰さんなりの美へのこだわり
日本最大級の美術展で絶賛された名画の「落日」が、贋作とすり替わっていた。それを作者の田村自身が見抜いて告発した為に起こる悲劇。一方、全身刺青の女性の自殺体が発見され、二つの事件に共通した人物が浮かび上がる…
私はどちらかというと写実的な絵が好きですが、本作に出てくる絵は巨匠の物も含めていいなあと思いました。本木雅弘さんは美しいですね。清水美沙さんも綺麗でした。
ストーリーは有り得ない感じで退屈でした。
気になったところ
①美の定義
「美は絶対で、それ以上でも以下でもない」みたいなセリフには共感できないです。誰が見てもきれいなものってありますが、絶対ではないです。何を美と捉えるかは、人によって、場合によって違います。「誰が何と言おうと、良いものは良い」という事なら分かりますが、それって主観です。
②刺青を取り上げたこと
刺青を芸術の一つとして描くならまだ分かりますが、そういう扱いにはなって無かったです。
昔、山田太一さんの「早春スケッチブック」のオープニングに、内容とは全く関係ない刺青の背中の画像が出てきた事を思い出しました。それは確か山田さんの指定です。倉本さんの「優しい時間」でも、息子が刺青を入れてしまいます。本作にも、「アザミの背中に刺青を入れなくて良かった」というセリフがありました。それらは刺青=社会からはみ出した者というイメージに繋がりますが、孤高の天才画家にそのイメージは必要でしょうか。
③女性の扱い
牡丹もアザミも、従順で男にとって都合のいい女です。若い頃の安奈も、一度は刺青を了承したけど怖くなって逃げ出したように見えました。10代の恋人に刺青を入れようとするなんて、どうかしています。
竜次の母は、漁の仕事をしているのに本当に透き通るような肌だったんでしょうか。余程良い化粧品を使わなければ美肌は維持できないと思いますが。多分、日に焼けて逞しく、大きな声で笑う陽気な母では駄目なんでしょうね。女性は色白でたおやかで従順でなければならないという固定観念じゃないですか。
④スイケンのキャラクター
凄腕の料理人なのに、竜次の為に自分を犠牲にして尽くす男。田村を「田村くん」、安奈を「お嬢さん」と呼ぶのも気になりました。
⑤本物の「落日」と贋作をどうやってすり替えたのか、本物はどこにあるのかが謎のままです。
タイトルの「海の沈黙」、竜次がこれをどういう気持ちで書いたのかは伝わってきませんでした。
私たちは素人の映画ファンで、評論家ではないですから、つまらないと思ったら正直につまらないと書いて構わないと思います。逆に、良い所を見つけてその映画を楽しむという考えも素晴らしいです。私は、良い映画を観たいので、個人的に満足できない部分については書いていますが、人それぞれでいいのではないでしょうか。
ゆりさん、コメントありがとうございます。★ゼロで共感数50、文体はオレ様調。これでは運営側に嫌われるのも無理からぬこと。
まあ、いくら考えても本作は★ゼロ。刺青師(本木)が画家の仕事にイタズラした映画にしか見えない。新生!ノーキッキングとして一本書きましたが……
おっと、これ自体消される!?
オプンチア改めノーキッキングさん、私も自分が気が付いた限り少なくとも2つ消えてました。他にもあるかもしれませんが。よーく考えて真面目に書いたつもりなので、どこがまずかったのかわからなくてモヤモヤしました。星がつけられなくなった時も何回かあって、平均を下げてしまうんじゃないかと何度もやり直ししました。本作の再レビュー、お待ちしています。
共感数も多かった“海の~”レビュー削除されました。倉本聰批判が当局の忌諱に触れたようです。事情通によると誰かの通報(チクリ)らしい。今後もマークが厳しくなりそうなのでレッドカード退場します。
例えば、プラド美術館なら模写したい絵の3センチ以上大きい、もしくは小さいキャンバスを持ち込んで申請します。同一サイズなら完璧に模写出来るというテクニシャンは、拡大、縮小がかえって難しいと言いますね。
絵の真贋は、先ずサイズの違い、全体のタッチ、キャンパスの質、左利き(ピカソとか)の癖などは、重要部分ではない背景の筆あと、それから、最後に書かれる筈のサイン………
一番問題なのは、鑑定家の故意ですね。実際、贋物はよく出回っており、闇は相当深い。
本物と区別がつかないほどそっくりな贋作を作るのって、かなり技術が要るだろうと思います。美術館で模写をするときは、贋作防止のために、サイズを変えて描かなければいけないというルールがあります。まず小さいサイズで模写して、改めて本物と同じサイズの贋作を作るのでしょう。それとも、写真を見て描くか、その両方の手間をかけるのか、そこは分かりませんがすごい再現力です。
アザミのことを最初、中々良いキャンバスだと言っていましたね。背中にモネにも負けない睡蓮を咲かせるとか言ったが、結局刺青で汚さなくて良かったとか、ちょっと迷走。スイケンも他の人もどうして尽くすのか。最後の絵はスイケンが貰えるかもしれないですね。
共感ありがとうございます。
凄い天才で周囲に押し潰されたと言えん事もないんでしょうが、不遜、破天荒過ぎですね。そんな彼に心酔する人も居るんでしょう、死後どうなるの?ですが。絵貰えたから良かったんですかね。
スイケンによると、あれはあくまで模写で、(正確に)模写した上でより良くしてやった、贋作ではない、という事だったので、本物は別にあるという事だと受け取りました。でも田村の絵に手を加えてやった、という方が納得できますね。いつ模写したの、と思いますから。
昔の、安奈の肖像画を塗りつぶしてその上に「海の沈黙」を描いた、というのも、師匠の絵の盗難事件で何日も大騒ぎになっているところで、平然と自分の作品として出品したんだろうか、有り得なくない?と思いました。
竜次の関心がアザミに移ったらしいと感じた牡丹は、「あたしはお払い箱ってことね」と言ったと思います。竜次の寵愛を失ったと思ったのでしょうが、若さはいずれ必ず失われるのに、小娘ならともかく中年の水商売の女性がそれで自殺するんだろうか、説得力はあまりないなと思いました。
おはようございます。
本物に上描きして波のところを“良くしてやった”という台詞があります。
やさぐれた彫り師が画家の仕事にイタズラした話にすれば、納まりが良くなるのだが、あまりにも昭和色が濃すぎる倉本聰の脳内をどうこう言える人間は居ないということでしょう。
刺青について思い付いた事がありました。
牡丹の自殺の原因、公式ブックによると肌の衰え。コレってキャンバスが劣化して、その上の絵は不滅って事なんですかね。人間キャンバスにしなくて良かった・・って事なんですか?どっちにせよ不遜ですね。