不都合な記憶のレビュー・感想・評価
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リソースの浪費(いろんな意味で)がもったいない
まず情報開示の指針に難がある。prime videoの紹介文に「実際は妻は既に亡くなっており」と書かれているし、妻マユミはアンドロイドであると当サイトの解説などでも明かされている。運よくそれらを目にせず本編を観始めたとしても、英題「Previously Saved Version」が表示されて、邦題と考えあわせると記憶の保存をめぐる話、たぶんヒューマノイドがらみだろうと早々に想像がついてしまう。視聴者の好奇心を少しでも長続きさせようと思うなら、科学者の男が亡き妻をアンドロイドで再現しているという設定は事前に明かさないほうがよかったのでは。
宇宙の閉鎖空間で男女2人きりの歪んだ愛、という設定ではクリス・プラットとジェニファー・ローレンスが共演した「パッセンジャー」を思い出した。あれも男の考え方や行動が相当に気持ち悪い話で、ハリウッドの大作映画でよくこんな脚本が通ったものだと驚いたが、「不都合な記憶」はきちんと気持ち悪い男として描いているぶんまだ良心的だろうか。
生きた人間の記憶をインストールされ、アンドロイドの自覚がないまま暮らしているキャラクターという点では、フィリップ・K・ディック原作のSF映画(「ブレードランナー」や「クローン」など)を想起させもする。ただし、機械の体に移植された人間の記憶に基づく意識が自分の肉体に違和感を覚えないレベルの身体感覚を再現するには、外見や動作が人間そっくりというのとは段違いの高度な工学と製造技術が求められるはず。髪や爪などの新陳代謝から、食事のあとの排泄にいたるまで、完璧に再現するにはとんでもないリソースが必要になるが、次から次に送られてくる量産品らしいアンドロイドの費用対効果を考えたら、そんな生体レベルまで超精巧に作り込むのは途方もない浪費だろう。簡単に言えば、リアリティに欠けるSF設定であり、思慮が足りない脚本なのだ。
アンドロイドのボディにしても、すぐに新品が手に入るからといって使い捨てが目に余る。ボディに電源オフのスイッチを付けておいて、記憶が気に入らないなら電源を切っている間に別の時点で保存された記憶に入れ替えれば済む話で、いちいちナオキがマユミのボディをぶっ壊して新しいボディに違う記憶をインストールという浪費を延々と見せられる視聴者側も時間を浪費している気になってしまう。
VFXにはそれなりにお金がかかっているはずなのに、脚本にひねりがないのももったいない。石川慶監督の「ある男」(原作・平野啓一郎、脚本・向井康介)は素晴らしかっただけに、今作の出来が惜しい。
日本のポリコレ
日本発のフェミニスト用ポリコレ映画。DVを反省しない男と不倫した女の話。記憶の修正とかの展開がたるく、しかも予想しやすかった。メモを入れる箇所が半分辺りに来るべきだったし、なるほどと思わせないと見ている者を引っ張れない。プロパガンダに重きを置きすぎている。CGはそこそこ頑張っていたので余計に残念。
静かな快作。対比の美。
ストーリー的には、回転するロクロが象徴する世界観と、いくつかの記憶の断片が現れる冒頭の5分で完結していると言えなくもない。私は、むしろこの映画の素晴らしい点は、その対比の美にあると感じた。新木優子と伊藤英明の抑制と狂気を対比させた素晴らしい演技。静と動。暴力と看護。落下と上昇。回転運動と直線運動。空、釉薬の青と、月と鮮血の赤。雨と晴。創造と破壊。記憶と想像。顔の型取りと顔のなぞり描き。明るく白い非現実世界と暗い現実。並べる物と並ばない物。過去と未来。地球と宇宙ステーションの逆転。断片と統合。音楽と機械音。生と死。すべてのシーンが対比で描かれていた。そうした対比が織りなす構成美の快作と感じた。美しい映画だった。低い評価が多いようだが、禁欲性と、映像を壊さないストーリー展開、無駄を排除したセリフ、映画が持つ映像美そのものの力を信じている点など、個人的には今年見た中ではベストに近い。追記になるが、ドビュッシーの月の光の元になったヴェルレーヌの「月の光」の詩を読むことは、この映画の理解を深めると思うので、おすすめしたい。
ストーリーに新鮮味がない
ほとんど主演の男女しか登場しない宇宙空間でのシチュエーションスリラー。前半ものすごく冗長で展開が遅く飽きてしまう。後半のストーリー展開もどこかで見たようなプロットで、それもひねりもないので新作映画を見たという満足度は低い。SFものなのだが、VFXはよくできているし、映像はきれい。
前半の純愛っぽい雰囲気を見ていて、伊藤英明の最近の役のイメージから何か違和感あったが、「やっぱりこういうキャラの役だったのね」と納得。
美しく神々しい宇宙に、サイコパスの《愛のドロドロ》は似合わない
2200年設定のSF映画です。
主演は伊藤英明と新木優子。
日本では異例の規模での撮影と石川慶監督が話しています。
カナダのVFXチーム。
タイの撮影スタッフ。
4度目のタッグとなる撮影監督はビオトル・ニエミイスキとのタック。
地球は衰退していてシャトル船で行き来出来る距離の惑星の浮かぶレジデンスで
ナオキ(伊藤英明)とマユミ(新木優子)は仲良く暮らしている。
地球から遠く離れて宇宙に浮かぶレジデンス。
そこは近未来の高級マンションで豪華設備とその広さに眼を奪われる。
(2200年にも“ろくろ“を回して工芸!?するマユミ)
4年前の津波で地球は荒廃して富裕層の殆どは、レジデンスに
避難している設定。
違和感と腑に落ちないことが多くて、集中出来ない。
水、
空気、
電気、
食糧(食事)
衣類、
衣食住の何一つ不自由してない。
《そんな馬鹿な‼️》
そして内容は男と女の愛憎のドロドロ。
津波のドサクサで妻殺しをした設計士は、
理想の妻のAndroidを気に食わないと、首にあるIC回路を
切断して妻のAndroidを廃棄する。
楽しくないです。
ロボットのKYUUもスターウォーズのロボットの真似だし、
あんなにロマンティックだった「パッセンジャー」
夢空間が広がっていた。
少なくともクリス・プラットとジェニファー・ローレンスは、
愛し合って幸せだった。
サイコで血も涙もない伊藤英明と、
ただ綺麗なだけの新木優子より
人間的魅力に溢れていた。
レジデンスの住民も殆ど見かけなかったし、
レジデンスの維持や地球との行き来に必要な、
労働力は全てロボットが賄っているの?
肝心要の脚本(ストーリー)が丸っ切り面白くない。
石川慶監督の「A rkアーク」も「不老不死」を題材にした
実験作でしたが、そこから進歩したとも思えないのだった。
しかも夫婦の実態は、マユミから離婚を切り出されており、
夫婦関係は壊れている。
更に言うとマユミはナオキに殺されていて、今そこにいるのは
マユミのアンドロイド。
生き写しの美しい妻・マユミをナオキは何回も廃棄する。
首に埋め込まれれた制御装置の記憶装置を刃物で首を切り
取り出して壊して廃棄に回すのだ。
《マユミがナオキを愛していた過去の従順だったマユミの面影」
それを追う男がナオキなのだ。
SF映画とサイコパス・ミステリーは、相性が悪過ぎる。
やば過ぎて、おどれーた。
ここまでの駄作って近年なかったと思う。予告以上のサスペンスが一つも無い。110分を壮大なフリにした大どんでん返しを期待してしまうくらい詰まらなかった。エンドロールになったとき、うそだろ…って呟いたよ。これが世に出たことが奇跡だわ。こんなストーリーは100年前からあって二番煎じどころかもうお茶の味すらしない水だってどうして分からないんだ。
あらすじに描いてあることがほとんど全て
とにかく脚本がひどい。
あらすじに描いてあることがほとんど全てで
これを2時間見せられるのは苦痛だった。
芝居は良いのに脚本がダメ。
映像が良いのに設定がダメ。
しょうもないもん見ちゃった感しか残らない。
宇宙ステーションがいっぱい
主人公夫婦(伊藤英明、新木優子)は、地球の軌道上を周回する宇宙ステーションで暮らしていた。
夫は研究者、妻は夫が作り出したアンドロイドで、夫の理想であった。
このテーマに目新しさはなく、俳優で見せる映画かな。
映像は美しいけど、『世にも奇妙な物語』ぐらいな内容
予告を見て、いやあ、邦画がこの映像クオリティまで来たのか、と感慨深くなりストーリーはともかく映像に期待して鑑賞。
どうもほぼほぼタイで撮影したようで、エンドロールにはタイの撮影会社とタイ人スタッフの名前、そしてVFXはカナダの会社でした。
ってなわけで、MGM映画でもありますし監督と脚本と俳優が日本人なだけで、ほぼほぼ海外作品ですね。邦画とは言えないかな。
逆に、お金さえ出せばこの映像クオリティの作品が作れるんだなあ、と、ある面新しい方向性を示したような作品だと思います。
ちなみにネトフリやディズニー+などの最近の映像クオリティの高いドラマである『今際の国のアリス』や『幽遊白書』『七夕の国』なんかは純和製作品のようです。
ストーリーは星新一モノというか、世にも奇妙な物語とかでありそうな内容で、始まって20分もたてばだいたいストーリーは読めちゃいます。ってか予告やあらすじでほとんどストーリー語っちゃってるし•••。
なもんで、本作はストーリー重視でなく映像重視の作品なんだろうなあ、と。
冒頭、宇宙エレベーターの映像に始まり、地球の周りを土星の輪のように無数のスペースコロニー(リング)が浮かんでおり、地球を襲った大規模な津波のあと、地球上のほとんどの富裕層は宇宙に移住したことが語られます。主人公の伊藤英明はロボット開発会社の社長で、いち早く宇宙へ移住し個人のリングを所有している超大金持ちのようです。
SF好きとしては、美しい宇宙の映像と世界観を提示されれば期待しちゃうものですが、物語が進むとそんな設定はどうでもよくなり、どっかで見たようなありがちなこじんまりとした展開になっていきます。だったらわざわざ宇宙でやる必要なくね?って感じです。
※以下あらすじに書かれている程度のネタバレあり
ただ、たぶん実生活でもこんな人間なんだろうなあという伊藤英明の演技はさすが安定感があり、正体がわかってからの新木優子の美しさは、本当にリアルな作り物のようで見事です。
ただねえ、味覚も性関係も持てて、人間の記憶も自由に記録できる精巧なアンドロイドが作れる技術があるって設定ならねえ。もうちょっと話を膨らませられたんじゃないかなあ。
アマプラで観られるのはありがたいですが、映画館じゃわざわざ観ないよなあって感じです。
ただ、高クオリティの映像作品として海外スタジオの力を借りて制作するというのは新しい試み何じゃないかと思います。今後、日本の制作会社にこだわらず日本の原作コンテンツがこういう形で映像化されていくことには期待できますね。
制作費の無駄。10分位のショート映画ならよかったかも
非常に世界観は良く、CGもとても良かった。
脚本があまりにも薄っぺらい上に2時間あったため退屈だった。ラストの展開を期待したが、期待はずれだった。おそらく10分から30分位の映画で、ぎゅっとコンパクトにしたら面白かったかもしれない。
少なくとも2時間映画の脚本ではない
ヒロインのまゆみが大変可愛かったので頑張って見れた。
能のような映像美と、練られたストーリー
SFサスペンスですので前提情報を入れずに視聴することをおすすめします。自分はそうしました。以下ネタバレはありませんが、なるべくなら先に作品をご覧になってからお目通し下さい。脱・邦画的な印象も強い作品です。
感想:劇中を通じてとても静かなことが印象的です。画の構図や色使いなども非常に美しいのですが、その美しさを邪魔しないよう場面には殊更に無駄な音がありません。砂粒が落ちても聞こえそうな。それはスペースコロニーという舞台設定ということもありますが、私が途中で気づいたのは音楽がほぼ流れないことでした。多くの映画では場面を表現するためにBGMが鳴っている場合が多いのですが、この映画では中盤に差し掛かるまで効果音も抑えに抑えて、主演二人の台詞や息遣いをソリッドに拾ってゆきます。それもあって中盤以降の印象的なシーンで使われる楽曲が天から降り注ぐ福音の如く耳に届きます。
作品は近未来を背景としており、そこで「静かさ」「無駄の無さ」を表現したいがための装置がスペースコロニーやミニマルな地上の風景だと思うわけですが、それ故に視聴者の立場としては浮世離れを感じます。ロングショットも多用されすぎていたように思います。結果として視聴体験としてのリアリティが乏しく、作品の世界観にどっぷり浸かるというより「作品を遠巻きに観察しているような」感覚でした。有り体に言うと退屈に感じる場面も多々あったと思います。
最後に要望など
本作のストーリー自体は都市や「人間社会」が舞台であっても成り立つので、私としては現代日本や東南アジア大都市のワイガヤな場所を舞台においた、もっともっと陰と陽が入り交じる、人間臭くて、躍動した「別バージョン」も観てみたいです。
近未来だからこそ届くメッセージ
舞台挨拶付き試写会にて🎥
完璧ではないけれど、普遍的なものもあってほしい。
そんな人間だからこそ持っている矛盾さを、近未来の生活、ロボット、アンドロイドを通すことで、より大切に、人間らしさを忘れないでいたいと思える作品。
いろいろと妄想させてくれる
何度も使われている型をSFサイコスリラーとして表現した作品
さて、
表現方法は良いし、タイトルも物語をうまく表現している。
ただ、
この作品に登場する人物が驚くほど少ないのはなぜだろう?
主人公サイトウナオキ 妻マユミ 妻の彼女ジェブと彼女の店の人 そしてオガサワラ先生
マユミの店で暴れた外人
だけしか登場しない。
大勢という人の単位もない。
この辺がこの物語そのものが「幻想」や「幻覚」または「夢」を示唆しているようにも感じる。
メタスペース 宇宙ステーション 宇宙エレベーター 未来世界
この世界の4年前に、地球は大規模な津波によって壊滅した。
ナオキも話したように、人類が地球からほとんどいなくなり、地球の再生が始まっている。
人類が再び地球に住むことができるには、かなり先のことのようだ。
それでもわずかな物資が地球から届けられる。
そして重要な設定
人類は定期的に各々の記憶を「バックアップ」する習慣となっている。
「ナオキにとって不都合なマユミの記憶」
これがこの作品の正確なタイトルだろう。
ナオキに根付く父の虐待の記憶と痕跡
ナオキと父は同じ
思った通りにならないことに非常にいら立つ性格
加えて超粘着質
彼の人間性がドロイド「Q」に残されていると、マユミは言った。
この作品は、
ナオキのサイコパスを描いているが、マユミがそのことを彼に端然と教えたことがひとつの新しさだったのかなと思った。
マユミとジェブ
二人の付き合いはすでに始まっていた。
そこに現れたのがナオキだった。
「あなたが全部壊したのよ」
マユミの記憶に残るジェブ
彼女の頭から流れる血
おそらくジェブはナオキに殺害されたのだろう。
最後に登場したジェブは、アンドロイドだったのだろう。
さて、
ナオキによって破壊された数々のマユミのアンドロイド
Qは、密かに彼女らを修理していた。
各々中途半端な記憶しか持たないマユミ達
頬をくっつけることでお互いの記憶を共有できる仕組みのようだ。
こうして「等しく」なったマユミ達は、力を合わせて敵であるナオキを倒すために立ち上がる。
通常ここで問題となってくるのが、複数のマユミ達と「個」の概念と主役についてだ。
「あなたはナオキに殺される」
この付箋に書いたメモは、修理されたマユミが書き、Qに依頼し化粧台に忍ばせたものだろう。
それによってナオキを信用していない時代の最新のマユミは行動に出た。
そして彼女は、マユミたちのいる場所へとQに案内される。
その後の展開はサスペンススリラーとなっている。
刺されたナオキが最新のマユミだけをシャトルに乗せる。
ナオキはその前に彼女に「あなたが全部壊したのよ」と聞かされたことで、自分自身がしたことを回顧し、自分こそが元凶だったことを理解する。
そしてドックから外に飛び出し自殺した。
人間のマユミを殺し アンドロイドに記憶を注入
しかし、ジェブという恋敵の記憶は殲滅させたい。
この身勝手な発想と超粘着質な性質を持ったナオキも、自分がしてきたことを理解して悔いる。
以下妄想
人のいない世界
なぜ、人がいないという表現をしたのだろう?
もしかしたら、
この物語そのものがメタスペースだったのではないだろうか?
地球で起きたジェブ殺人事件と妻殺し事件
当然彼は逮捕される。
宇宙ステーションはもう少し先の未来
起きた出来事は、記憶を見れば簡単にわかってしまう当時の世界。
この物語は、ナオキの記憶を取り出したものを今後の彼の動向をシミュレーションし、そこに妻マユミの記憶を合わせることでより詳細にシミュレーションしたものではないだろうか?
そうすることで彼の罪状を決定するシステムだ。
そうして出来上がったのがこの物語となった。
AIで作った物語だが、彼には再犯の可能性しかない。
しかしながら、いつか自分がしたことをわかるタイミングがやってくる。
でも、待つことはできず、釈放もできない。
刑期は百年を超えるかもしれない。
司法はナオキに「死刑判決」を下すことになる。
これはそのためのシミュレーションだった。
なんてことが背後にある、のかもしれない。
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