花まんまのレビュー・感想・評価
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記憶に関する設定に思うことなど
本作については当サイトの新作評論枠に寄稿した。そこでの切り口や字数の都合上、言及できなかったことをこちらで書いてみる。ラスト近くの感情を揺さぶる部分、涙を誘うシーンについての言及もあるので、未見の方はできれば鑑賞後に再訪していただけるとありがたい。
物語をごく短く紹介するなら、幼少期によみがえった前世の記憶を抱えたまま成人し近く結婚する妹と、早くに他界した両親の代わりに妹を養い見守ってきた兄の話。現在進行形で語られるパートはほぼ映画のオリジナル、回想される幼少期のエピソードは朱川湊人の原作小説に基づく(より詳しい作品成立過程は評論のほうで解説した)。
前世の記憶という、既存の科学では説明できないものの、古今東西いくつもの実例が報告されてきた、ファンタジーとリアルの中間に位置するような事象を扱っている。ファンタジックな大人のおとぎ話と割り切るなら合理性や納得感を論じるのは野暮だが、現実に起こりうるかもしれない話だと考えると、映画で創作されたストーリーで気になる点がある。
気になるのは、記憶と人格をめぐる設定のあいまいさだ。妹・フミ子は小学校に上がる前の頃、事件で犠牲になった20代女性・繁田喜代美の記憶を取り戻した。映画のワンシーンで、危篤の喜代美と母胎内のフミ子が病院ですれ違った瞬間、成仏するはずの喜代美の魂が(手違いで)フミ子の中に移ってしまったと説明される。ただし、喜代美の記憶がよみがえってからも、それまでのフミ子としての記憶を保ったままなので、フミ子の人格のなかに自身の記憶と喜代美の記憶が並存していると考えるのが自然だろう。
比較対象として、村田椰融の漫画でドラマ化・アニメ化もされた「妻、小学生になる。」が参考になる(次の段落以降で結末に触れるのでご注意)。10年前に妻・貴恵を亡くした主人公・新島圭介の前に、貴恵の生まれ変わりだという小学生の白石万理華が現れる話。万理華のなかで自身の人格・記憶と貴恵の人格・記憶が切り替わる設定で描かれていて、万理華が自分の人格を取り戻すと、目の前にいる圭介が見知らぬ大人に映っておびえてしまう。旧呼称の多重人格障害、現行の用語で解離性同一性障害に近い状態と考えるとわかりやすい。
これら2つのストーリーは、エンディングに向けて似た経過をたどる。映画「花まんま」では、結婚を控えたフミ子のなかで喜代美としての記憶が薄れていく。「妻、小学生~」では、万理華のなかで貴恵の人格でいる時間が次第に減っていく。
どちらのストーリーでも、ラスト近くで前世の魂は現世の肉体を離れ、それとともに前世の家族との記憶も失われる。「妻、小学生~」の場合、人格・記憶が切り替わる設定であり、貴恵の人格のときに経験した記憶を万理華は知らないため、この結末はより合理的で、納得感がある。だが一方、「花まんま」ではフミ子の人格のなかに自身の記憶と喜代美の記憶が並存している、つまり成人してから繁田家の家族に会いに行ったことなどもフミ子の人格が記憶しているはずなので、喜代美の魂が失われたからといって繁田家に関するすべてを覚えていないのは整合性の点で難がある。おそらく映画の作り手は花嫁のフミ子が喜代美の父を見知らぬ来賓として接するくだりを、涙を誘うシーンとして描いたはずだが、記憶と人格をめぐる設定のあいまいさが引っかかってしまうのだ。
これは私見で、好みの問題でもあるが、映画オリジナルの創作パートで、フミ子のフィアンセがカラスと会話できるというジャンル違いのファンタジー要素を足したりせず、魂の転生と前世の記憶という原作小説から引き継いだ主題をもっと深掘りするべきだったと思う。朱川湊人の短編集「花まんま」に収められた各話はおおむね、身近な人を亡くした登場人物らが不思議な経験をする話、死者の霊や魂の存在を示唆する奇譚だ。原作で示された死生観を映画がさらにつきつめ、観客に命や人生について新たな視点で向き合うことを促すような展開になっていたらと惜しまれる。
とはいえ、そこらあたりを深掘りしすぎると、観念的で難解になり、大衆受けせず興行的に振るわないリスクも出てくる。多額の資金を投じて製作する以上、より幅広い層が感動しやすい話に仕立てることが優先されたのだとしても、それはそれで理解できる。長々と書き連ねたが、つまるところ、好みは人それぞれなのだ。
いい話だったなぁ
ファンタジー過ぎず、
ベタベタし過ぎず、
塩梅が絶妙でよかったな。
両親亡くして妹を託され頑張ってきた兄やんの繁田家の存在を受け入れたく無い気持ちも分かるなー、
いや体験してないから分からんけど、
ちゃんと伝わった。
子役二人もよかった、
台詞の少ない静の演技の酒向芳もよかった、
カラスとの会話や名刺とか小ネタの回収も小気味よかった、
披露宴の席、急に3人増やせるんか?とか
喜代美さんの存在が消えると繁田家のことも忘れるのは分かるような分からないような、
後々結婚式の動画観たら、バージンロード一緒に歩いてるオッサン誰?ってなるんか?
その辺が引っかかったけど、深く考えないようにしよう
タイトルの花まんまって、そういう意味だったのね、
登場人物みんなに幸あれって思わせるいい映画だった、満足
でも、結婚はゴールじゃないからね、
知らんけど
泣ける泣けると言われたから…???
予告編から気になっていたのですが、
映画館では観ることはできなかったので、アマプラで観賞。
口コミ等で「泣ける泣ける」と言っていたので、
変に構えていたかもしてません。
まず、内容にちょっとビックリ。
えっ、ファンタジー???
でも、痛ましい事件の遺族の悲しみや
両親を早くに亡くしたにいやんの苦労は、
ファンタジーではすまされませんよね。
う~ん、多分…
私が、いまいちフミ子の気持ちを理解できなかったのだと思います。
知らない女性が自分の中にいる。
その女性が、家族に存在を伝えたがっている。
フミ子と喜代美は、身体の中で対話していたのでしょうか?
だったら、結婚式のお見送りの時、喜代美の記憶は消えても、
対話していたフミ子の記憶は残るんじゃないか…とか。
引き出物の「花まんま」を
「なんでこれにしたんだっけ?」ってフミ子は思うのだろうか…とか。
そもそも、教会式の結婚式はともかく、
披露宴に突然3人増えて大丈夫だったの~とか、
ほんと、ごめんなさい。
ウルっとくるシーンもありましたが、号泣ではなかったです。
やっぱり斜に構えてみてしまったのかもしれません。
感動です
物語をみて兄の鈴木亮平に感情移入してしまい私は涙が止まらなかった。
産まれながらに別の記憶を持つ女性がその記憶の中の家族と会い、結婚式を迎える話。
最後の結末は途中で予想し、その通りだったが泣けてしまった。
出てくるむこうの家族の演技が良かった。やはり脇を固める俳優さんは大事ですね
彼女の存在はどんな意味をもったのか。
突拍子もない話だけと、幼少期の様子や繁田さん家族との関わり方が丁寧に描かれていて、自然に物語に入り込むことができた。
鈴木亮平の演技も相まって、リアリティーを感じられてよかった。
キヨミが成仏して、キヨミの記憶がすっぱりなくなってしまった。30年ずっとキヨミと生きてきた主人公は、それ自体がアイデンティティになっており、家族のあり方や価値観、人格形成の一部になっている。
そのへんが今後ちょっと心配。
うっすら覚えているけど、キヨミさんの存在が自分からいなくなったのを感じる…みたいな曖昧なかんじでよかった気もする。
後で、引き出物になんで自分は花まんま(プリザーブドフラワー?)を選んだのか?
写真を見返してるときに、バージンロード一緒に歩いてるオジちゃんは誰なの?
と自分で自分を疑い始めてしまいそう。
細かいこと言うのはやぼかもしれないけど気になった。
それはそれとして、くすっと笑えるところもあり、人情を感じられるところもあり。映画全体が花まんまのようにあたたかく美しいものになっていたと思う。
結婚式のスピーチは熱演で聞き入ってしまって、泣いた。
兄は妹を1人で育てた、ただだた立派な男…というわけではなく、それを言い訳にして苦手な勉強逃げてきたズルさもあり…人間色んな側面をもって生きている。
キヨミとその家族の存在は、妹と兄にとって、どういう意味をもったのか。
人間のあたたかさにまっすぐ向き合う内容でとても良かった。
まさかのファンタジー
予告編を見ただけであらすじを知らないまま観たので、ファンタジーな展開に驚きました。兄妹愛のお話だと思い込んでいたけれど、そんな秘密があったとは。
兄のスピーチで泣くものだと思っていたのに、その後の展開で意表を突かれました。思わず涙してしまいました。
酒向芳さん、一体どれだけ体重を増減させたのでしょうか。額や首の筋が目立って心配になるほどの痩せ方でした。演技も相変わらず文句なし。
主演のお二人は、前にも兄妹でこんな絡みのドラマやらなかったっけ?と思うほど自然でした。こちらも文句なしの演技力。キャスティング完璧。
カラスとしゃべれる設定も違和感なく、笑わせてもらいました。
ジブリ映画みたいな
幻想的なヒューマンドラマ。ラストの結婚式ではこっちも参加した気持ちになって一緒に感動を味わえる。山あり谷ありもあまりなく、予定調和の展開が続くので何かパンチがあればもう少し傑作になったかもしれない。終わりの花まんまもくどく感じて、中盤の1回きりの登場で良かったんじゃないかな。
見てくれている人は沢山いる、カラスを含め。
また、有村架純ちゃん秘密を抱えてしまったのね、と鑑賞。今回は優しい秘密で、とても良かった。
鈴木亮平は婚約者中澤くんが標準語を話しているトラック車内で関西弁、つられながらも頑張っていました。
序盤は鈴木亮平の慣れない関西弁を、その他有村架純やファーストサマーウイカが母国語としてサポートしているようにどうも聞こえてしまったが、話が進むにつれて、内容に引き込まれて気にならなかった。
前世というかカルマというか、妹が産まれた瞬間に亡くなった女性の記憶が、幼い妹の中に入ってしまい、
その後両親を亡くした兄妹の中では、必死に妹の面倒を見る兄の気持ちを慮り、妹は女性の遺族が住む彦根での記憶はあるものの遺族との文通にとどめ、婚約後最期の挨拶に出向いていた。
婚約者には打ち明けていたが、婚約者はカラスと会話する研究者。だからかその他大勢が信じなさそうな話でも、真実として受け入れてくれた。
結婚式直前に文通の事実を知ってしまった兄。
亡くなった両親の代わりとして必死に様々犠牲にしながら働いて稼いで妹を大学に行かせて育ててきた。
その結果として、謎の前世の遺族から、父親というものを知れたなどと妹が話すのだからやるせなさで腹立たしいのは仕方がない。
それでも、幼馴染として兄妹の奮闘をずっと見続けてきた駒子に、「頑張ってきたのはあんたひとりなんかい?!」とピシャリとされて、兄妹を多くの人々が支えてくれてきたのだと目が覚める。
その中には遺族も含まれるのだからと、式直前に東大阪から彦根まで大慌て、式に遺族にも出て貰えるよう奮闘する。
大役、家族代表スピーチも終えて、お見送り。
妹からは、記憶にあった女性の記憶が抜けていた。
きっとお父さんとバージンロードを歩けたことで、女性の無念は晴れて成仏したからだろう。
忘れたんかい!じゃあ午前中の奮闘なんだったんだ?!となりそうなところだが、妹以外のメンバーは一生覚えているだろう。そして、新郎の学者の大先輩にあたる京大の教授が女性の遺族にいる。
きっと2家族はずっと続いていくんだろうなと思わされた。
彦根花室の広大なつつじ園を舞台に、2家族の思い出の記憶を、花でこしらえたお弁当、花まんまが繋いでいく。
清太と節子がもし違う時代にいたらこんなかな?
などと思わせる関西の兄妹の兄から妹への深い深い自己犠牲を伴う愛情と責任感。
表現するには鈴木亮平がぴったりだし、有村架純のちょっとしたふてぶてしさと可愛らしさも妹役にぴったりだった。
周りを囲む関西弁メンバーも良い。
アジアンのもう片方の方もどこかでお元気にしてるといいな。
有村架純と鈴木亮平の組み合わせ
この間映画館でやってたよね?と思うほど早いvod公開で驚きました。
私も関西人なので、主演のお二人を始め出演者の方達が皆コテコテの関西弁とノリで違和感なく楽しめて良かったです。
オール阪神巨人とファーストサマーウイカさん良い味出してました。
子ども時代の子役さん達も、まっすぐで素直な雰囲気でほほえましかったです。一生のお願いの下りが可愛すぎました。
見るまでは有村架純ちゃんと鈴木亮平が兄妹って無理あるんじゃない?って思ってましたが、お二人とも演技が素晴らしく関西弁のやりとりや結婚式の様子を見てほっこりしてました。
有村架純ちゃんがラスト全部忘れてしまう展開はびっくりでしたが、深く考えずに見れば兄妹の絆に涙がつい出てしまう作品でした。
映画テロかと思いました
中盤の、兄弟で初めて繁田家に行くところから涙涙で、泣きすぎて、殺す気か!笑
と。
観賞後、糸を引く余韻。いい映画でした。有村架純はもちろん、鈴木亮平の良さがよくわかりました!
安心して観られた
役者さんが皆さん上手なので入り込めた。
特に酒匂さん!この方好きだわ~
検察側の罪人で初めて知った方なんですが味があって好きです。
物語的には、ん?というところもあったけれど酒匂さんとのバージンロード良かったです。
昭和か、君は・・・じゃ、なんと言えば?
バスガイドだった繁田喜代美が殺害され、彼女の記憶が生まれたばかりの加藤フミ子に前世の記憶として宿ってしまう。世にも不思議な内容のハートフルストーリー。病院でぶつかりそうになったのはそういう意味だったのね・・・
両親を早くに亡くしたため、兄の俊樹は妹フミ子を守り、彼女の結婚式まで親代わりとして育ててきた。それがフミ子の前世の記憶によって彦根に住む繁田家と文通してたことに憤る。もう影の主役は酒匂芳やないか。
自分的には無関係の家族の結婚式スピーチでも泣ける!そんな俺だからやはりスピーチでは泣いた。ここで繁田家の話題も盛り込むのかと思っていたら、全く無くて、式場を後にする際の挨拶でフミ子の記憶がいきなり・・・泣ける話の裏にはこんな時限装置がついていたのですね。
今まで転生モノ作品は好きじゃなかったのですが、温泉をキャンセル(したのか?)してまで繁田一家が式に参加のが心和ませてくれた。いや、元々結婚式に出席したかったんじゃなかったのか?最初から結婚式に乱入する計画もしていたかもしれない。つつじの美しさに見とれていたけど、見終わってから邪推してみた。
酒向さんの物語
鈴木亮平と有村架純という名優を揃えてのブライダルムービー。
よくある兄妹のブライダルにまつわる話を、ファンタジックな要素でちょっと違った遠回りをさせている。
酒向さんは今作、アカデミー賞もんだろう。
明らかに主演を喰っている。しかも喰われたのは鈴木亮平とあれば、驚きも大きい。
鈴木亮平は手紙のシーンも素晴らしいが、実際の結婚式ではそれ以上の感動が山ほどある。期待していた分、そこはまぁそうだよなって想像の範囲に収まる、いいスピーチだったな、っていう感想。
どこまでも突っ走り続ける兄妹は、似たもの通し、といった感じか。
有村架純の美しさは必見だが、総じて印象は薄い。
むしろ婿役の鈴鹿央士くんの設定が面白く、使い方も上手い。
ファンタジックなムービーとしては、いま会いに行きます、などには及ばないが、娘を持つ父親には刺さる。
弁当、バージンロード、引出物。全て泣かせるのは酒向さんだった。
ウイカの芝居がとても好感が持てて、今後もいろんな役どころで観たいと思った。
有村架純、芝居が上手すぎてファンが減りそうな、なかなか損な役どころだな。でも、上手い。
あたたかな世界
展開が読めなくない優しい物語であるが、役者らがうまいのか、めちゃくちゃ泣いた。
痩せた父親が出る場面で何回も泣いた。
とくに、駅で女児を見て亡くなった娘と気づく場面と、披露宴のお見送りで有村架純さんの記憶が失くなった場面。
脚本とか演出とかはいいんだけど……
鈴木亮平主役だから期待して見た。予想通り鈴木亮平のお兄ちゃんの演技は文句なしでものすごい熱演だなと感じたが、それに対しての妹のふみ子の有村架純があまりにも冷たい演技で見ていて度々イラッとした。原作のふみ子がそういう人なのかもしれないけど、ちょっと性格良くなさそうに感じた。
他のキャストや大まかなストーリー、伏線は面白かっただけによりそれが際立ってて残念。
てか最後のふみ子はもはや誰なの?喜代子さんの記憶が消えたからといってふみ子という人格は地続きであるはずなのに最後繁田家のことを覚えてないのは流石に違和感。
タイトルなし(ネタバレ)
いわゆる町工場にいそうな声でかい自分の一方的な気持ちを
押し付けてくるけど情に厚いから憎めない正義感の塊みたいな
父性愛たっぷりな男をやらせたら右に出る人いないでしょって感じ。
公開当時から見たいみたいと思ってたんですが
秘密とはこれだったんですね。
転生と天国人とのトークなどファンタジー要素もかなりありますし
元々、主役の二人が好きだったので楽しみにしていたのですが
いやぁ、酒向さんにやられました。がいこつといえば確かに骸骨
魂の抜けた屍が花まんまを見たとたん息を吹き返す。
思わず涙するというよりも息を飲むといった方が良いかもしれません。
まだ小さい愛娘の作った花まんまをうんうんと頷きながら
食べる相手をしてやった事を思い出している。そんな情景が
はっきりと見えました。
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