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映画レビュー
「正義」とは?を問う作品群。勧善懲悪に納まらない魅力。
「ウルトラマン」「正義」とは?を問う作品群。
その豊かで多様な展開こそが円谷特撮作品の魅力です。
当時の子供向けテレビドラマとして、映画並みのクオリティを誇る作品群は、放送から60年以上経った今も輝き続けます。
こうして、劇場作品となったことで、今後も永遠に語り継がれることでしょう。
第30話「まぼろしの雪山」伝説怪獣ウー登場
夏でも雪が降る謎の飯田山に怪獣ウーが現れた。
ウーと心を通わせている村の少女「雪ん子」の悲劇。
レジャーに沸くスキー場開拓を背景に、山奥の村の差別を描く。
雪山にオレンジの隊員服が映える。
もちろんインストラクターのスタンドインの見事な滑走。
ウー初登場時は、スモークに真っ白な着ぐるみが美しく幻想的。
その後、撮影に従って真っ白な着ぐるみが汚れていく。
ウルトラマンCタイプの雄姿がカッコイイ。
今回は、キャップとアキコ欠席。
第15話「恐怖の宇宙線」二次元怪獣ガヴァドンA・B登場
子供たちが書いた落書きが宇宙線によって実体化し、怪獣ガヴァドンが出現した。
こちrから攻撃しなければ、ただ寝ているだけで無害と思われたガヴァドンだったが、その存在だけで社会に及ぼす影響は大きく、やむを得ず科特隊はガヴァドンを倒そうとする。
「怪獣を倒さないで」と懇願する子供たちに、登場したウルトラマンは、ガヴァドンを宇宙に追放。
ガヴァドンは、毎年七夕の夜に、星空に現れると告げるのだった。
これぞ、他の特撮ヒーローものには無い、ウルトラマンの良心が描かれている代表的な1本。
怪獣を退治するだけではないという、子供に対する優しい視線を感じる話。
子供たちのエピソードが微笑ましい。
宇宙線の影響を受けない夜に、土管の落書きを消してしまえばいい、という至極真っ当で超コスパの良い最善の案が、却下されてしまうという大人の見栄が逆に滑稽に映るというのがケッサク!
ガヴァドンAのシンプル過ぎる超ユニークなデザイン、ユニークな鳴き声?が素晴らしい!
第20話「恐怖のルート87」高原竜ヒドラ登場
怪獣ヒドラが国道87号線に出現し、トラックを襲う事件が続発する。
科特隊は、箱根の巨大なヒドラ像に酷似している怪獣と、科特隊本部に突然現れた少年の謎を追う。
高度成長時代の交通戦争の悲劇を描いた1本。
この話のように、ウルトラマンは必ずしも怪獣を殺さないという心優しいエピソードが光る。
箱根に、今も実在するヒドラをモチーフに、そのまま怪獣として登場させてしまうアイディアも素晴らしい。
第23話「故郷は地球」棲星怪獣ジャミラ登場
国際平和会議を妨害する謎の事件が多発。
その犯人は、かつて地球から旅立った宇宙飛行士が遭難し、過酷な環境の惑星に到着。
その宇宙環境に適応して、怪獣と化してしまったジャミラだった。
科特隊パリ本部は、科特隊日本支部により、その正体を明かすことなく抹殺せよと命じるのだった。
本作最大の問題作!
時は、米ソ宇宙進出競争の時代。
過酷な試練にさらされる宇宙飛行士たちと、それを課す国家の問題に切り込んだ、もちろんおよそ子供番組の枠を軽々と超え、映画でも、テレビドラマでも描かれたことのない問題に挑んだ奇跡の作品。
怪獣の顔を一目見ただけでジャミラだと判別してしまうなど、もちろん、数多くの指摘点があるが、そんなことが些細なことに思えるほどの物語、数々の名シーン。
「人間の心を失ったのか!」というイデの言葉に一瞬無言なるジャミラ、一瞬の無音。
故障からジャミラの瞳の電飾が消えたシーンも、悲しみが出ているからとNGにせず使用されたカット。
水に苦しみ泥にまみれながら各国の国旗を踏みにじる最期。
ラストシーン、墓標の美辞麗句の皮肉。
呆然とするイデを呼ぶ隊員たちの声に、ジャミラの声がかぶさるラストカットまで完璧で素晴らしい!