「もう少し踏み込んでも良かったかもだが、入場者特典は必見か」誰よりもつよく抱きしめて yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
もう少し踏み込んでも良かったかもだが、入場者特典は必見か
今年45本目(合計1,587本目/今月(2025年2月度)8本目)。
いわゆる絵本作家と、韓国から日本にきた男性、あるいはその男性がそれぞれ付き合っている、ないし何らかの関係がある女性とのそれぞれの交錯、および、いわゆる強迫性障害を描いた作品です。
まず残念に思ったのが、水道の出しっぱなしにもつながりうる、「極端な」清潔性を要求する強迫性障害は、現在でこそある程度知られていますが、ここについてはもう少し踏み込んでも良かったのでは…というところです。
一方、絵本作家を主人公に取るというのは原作がそうだと思いますが、映画内で、もう大人にもなると、お子さんをお持ちの家庭でもなければおよそ読むことがないだろう「絵本」が映画の中に複数登場するなど、懐かしいなと思える部分もあります(この点、映画内で登場する「絵本」に関するものが、入場者特典(QRコード読み取り式)にあります)。
作品としては、前者の「強迫性障害の問題的」が薄い事情があり、そこから発生するそれぞれの交流についても必然的にどこまで見たらよいか…といった部分がどうしても曖昧になってしまった点が残念だな、といったところです。とはいえ、今週迷ったら推せるかな…といったところです。登場人物はここ(や、公式サイド)でこそ多く出ますが、実質4人(男性2人、女性2人)と解しても構わず(他の方は一応出ることは出ても、映画内ではほぼ関係しない。精神科かの先生ないし、いわゆる「当事者の会」の参加者ほか)、「誰が誰かわからない」といった問題が起きにくい作品です。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.3/事務管理と無権代理)
スマホを落としたとき、あるお店の店員さんがそれを常識的な期間内預かる行為は事務管理に当たりますが、その電話に(本人以外から)出て何らかの意思表示をする権限まで当然与えられているのではなく、それは当然、「本人の意に沿わない行為」になるため、こうした行為は表見代理か無権代理にしかなりません(表見代理を、有権代理よりの立場でみる解釈の場合)。
この映画はこの部分が若干甘く、厳密につつくとストーリーそれ自体が成立しないという向きもありますが、そこまで突っ込んでも仕方がないので、そこはある程度の減点幅で抑えています。
(減点0.2/この映画の扱う「障害」についてもう少し踏み込みがあっても良かった)
今でこそ、たとえばろう者を扱う映画では、実際の当事者を起用するなど理解が進みつつありますが、本映画のように精神疾患にあたるような障害はまだそのような状況になっていません(ただ、精神疾患に関しては、本人が出たことで差別されたりすることが「ありうる」ことは、別の問題が残るのも事実としては考えなければいけない)。この点は極めて難しい点(おそらく、身体・知的・精神の3障害の中では最後まで残り続けるであろう問題)である点理解しても、こうした問題提起(換言すれば、できるだけ当事者を出すべき、という意見)は常に出す必要があろうと思うため、この点をあげました(ただ、この点のみで4.5評価となることがないよう、評価幅を調整しているものです/基本的に監督以外に誰を起用するか等の権限がないため)。
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