「子ザメちゃんが繋ぐ心の絆」映画 おでかけ子ザメ とかいのおともだち おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
子ザメちゃんが繋ぐ心の絆
■ 作品情報
監督は熊野千尋。脚本は長嶋宏明。原作はペンギンボックス。声の出演は花澤香菜(子ザメちゃん)、潘めぐみ(あんこうちゃん)、久野美咲(うさめちゃん)、梅原裕一郎(モヒカンあにき)、花江夏樹(はると)、宮田俊哉(サラリーマンのお兄さん)、高野洸(バーテンダーさん)ほか。アニメーション制作はENGIが担当。
■ ストーリー
八魚町に住む子ザメちゃんは、都会への転校に不安を抱える少女そらと出会い、励ます。その後、サメの形をした雲に誘われるように都会行きの電車に乗り込み、八魚町を飛び出して初めての都会へと旅立つ。都会にやって来た子ザメちゃんは、さまざまな人々との出会いを経験していく。都会で出会う人々は子ザメちゃんを自然に受け入れ、子ザメちゃんは彼らとの短いエピソードを通じて、新たな関係性や心の絆を育んでいく。
■ 感想
漫画が原作のようですが未読で、ウェブアニメ版もあるようですがそちらも未視聴。そんな状態での鑑賞なので、キャラ紹介や説明もなしに始まり、子ザメちゃんが街の人々に当たり前のように受け入れられている世界観に最初は少し驚きました。しかし、すぐにその優しい世界観にじんわりと浸れます。サメが都会を自由に闊歩し、人々が何の疑問も抱かずに交流するなんて、それだけで心が温かくなります。
この作品は、子ザメちゃんが都会で出会うさまざまな人との、短いけれど心に残るエピソードを丁寧に紡いでいきます。都会での生活に馴染めない人、悩みを抱える人、あるいはただ日常を送る人たち。子ザメちゃんとのささやかな触れ合いが、彼らの心にそっと寄り添い、小さな光を灯していくのです。登場する人たちが皆、温かくて良い人ばかりなので、観ているこちらも自然と笑顔になってしまいます。
子ザメちゃんの愛くるしさ、そして出会う人々との何気ないやりとりが、ただただ心を癒やしてくれます。派手な展開や壮大なドラマがあるわけではありませんが、人と人との偶然の出会いが織りなす、ささやかな絆の物語が、じんわりと心に染み渡っていくのを感じます。まさに「これぞ癒やし」と呼べるような、優しさに満ちた時間です。時には、こんなふうに肩の力を抜いて、ただただ穏やかな気持ちになれる作品も悪くないです。