「展開の目まぐるしさに終始圧巻」劇場版モノノ怪 第二章 火鼠 マルホランドさんの映画レビュー(感想・評価)
展開の目まぐるしさに終始圧巻
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第一弾のときにも思ったが、一つの部屋で行われている惨劇を360度のカメラで移している作画演出だからか動きのテンポがめちゃくちゃいい。スピーディーかつおどろおどろしさが目まぐるしくてまるでジェットコースターに振り回されるような圧巻の演出は劇場版ならではだ。
TV版が「静」なら劇場版は「動」だと思う。
劇場版の作画が和紙をベースに描いているんじゃないかと言いたくなるが、それはなんとなく紙が透き通っている感覚を覚えた。とても繊細な紙で描いたかのような美しさは癒やしを覚えるし、それと同時に水の清らかさをイメージしているのかなと思った。
水といえば、映画版は全編を通して「水」が印象的なアイコニックになっているのだと思う。水がうねるような流動的さが妖怪の荒々しさを表しているし、水が溜まるように、人の怨念が蓄積しているのかなとも思う。
水が這うように火が灯っていくさまはギミックとしても非常に動作的で面白かった。
作中では大奥というしきたりを守るか、子供の命を守るかという2つの相反するメッセージ性に挟まれた者たちが苦悩する様子というのはとても強烈だったし、閉鎖的で保守的な世界を救うのは部外者である薬売りという第三者の存在だ。内輪で解決できれば苦労しないんだけれど、組織内のパワーバランスがあれば叶わない。終盤では悪い権力者が一掃された感じで幕を閉じたが、少しずつ大奥内が変わろうとしている様子が希望を感じさせる。
薬売りという一筋の光がまるで弓矢のごとく走り回るところは活劇を見ているようで、とても心が踊った。
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