「家族愛が強烈に心に残る」アイム・スティル・ヒア じゅんぢさんの映画レビュー(感想・評価)
家族愛が強烈に心に残る
アカデミー国際長編映画賞を受賞したので観に行った。予備知識はほぼゼロ。ブラジルという国自体良く知らない。多民族国家で情勢は不安定。軍事国家だったけど西側。ほんとよく分からない国。
映画は弾圧された市民の様子はほとんど映さない。序盤はブラジルの中ではかなり裕福な家族の日常生活を延々と映す。日本で言えば湘南の海辺のような所で暮らしている弁護士と大学教授の優雅な生活。ここは正直退屈だった。もっと編集で短くしても良かったのではないか?と思っていたが、これが鑑賞後に大きな意味を持つことが分かった。
そして一家の主人である夫が謎の組織に拉致されてからの描写は圧巻。過激な映像描写は皆無なのだけど、演出が驚くほど繊細なのだ。残された家族の母親とその子どもたちの感情と行動が非常にリアルで説得力があり、同時にこれは「家族の絆と愛の叙情詩」というテーマが鮮麗になった。
「国宝」が記録的ヒットで高評価しているからか、来年のアカデミー国際長編映画賞に日本代表作として選出されたが、ドラマのクオリティは月とスッポン。
ただ一つ卑怯なのは子供たちがみんな美人かかわいい子ばかり。これだけは監督の趣味が出たのかな?(笑)
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