「家族への熱き想いを冷静な青い炎で成就させた」アイム・スティル・ヒア ニコラスさんの映画レビュー(感想・評価)
家族への熱き想いを冷静な青い炎で成就させた
1971年、軍事政権下のブラジル。同じ時代の日本では赤軍派による世界的なテロが国内に衝撃を与えていた頃で、反共的な波は世界各国に及んでいたのだなぁと、本作を観て改めて感じたところです。
尋問の部分はかなりひどいと感じますが、実話ベースだからでしょうか、突発的な出来事は無く、一件淡々と時が経過していきますが、ひたすら緊張感が続きます。それにしても個人の名誉回復というのか尊厳回復と言えば良いのか、そこに至るまでのなんと時間のかかる事か……
それを支えたのは自ら弁護士となり、暴力などの直接的な抗議によらず、冷静(を装い、かな)に闘い続けた主人公の理性なのでしょうね。
どの時代やどの国家においても、一方向に皆が盲目的に進んで行ってしまうことの愚かさや恐ろしさを再認識させられる作品でした。
それにしてもブラジルと言えば「ワイルドスピード」シリーズに見られるリオデジャネイロの開放的な雰囲気や家族の朗らかで深い絆を連想するのですが、同じ風景でも趣が異なる家族の在り方などもとても良かったです。
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