「前半と後半で別の映画を観たよう」クィア QUEER ジユージンさんの映画レビュー(感想・評価)
前半と後半で別の映画を観たよう
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序盤は美しい映像と音楽、そして洗練された雰囲気に、ただ気持ちよく身をゆだねて観ていられた。今回はダイニングシアターでの鑑賞ということもあり、作中に登場する喫食シーンと自分の体験が重なって、五感でも映画世界を味わえたような、心地よい時間を得た。
物語が進行し、2人がジャングルへと分け入っていくにつれ、映画のトーンも大きく変わっていく。どこか幻想的で距離のあるまま進んでいた人間関係は、次第に緊張感と不穏さを増していく。
根拠なく、淡くも温かい終わり方を想像していたが、終わってみれば、「とらえどころのない若者を好きになってしまった、中年男性の悲しみ」が強く胸に残った。彼の想いは報われることはなく、ただ静かに滲み出して消えていく。その余韻がなんとも切ない。
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