劇場公開日 2025年2月21日

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ブルータリストのレビュー・感想・評価

全161件中、1~20件目を表示

4.5逆さまにそびえる女神像に見守られし神話

2025年2月28日
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鑑賞方法:試写会

それはありきりの形状に囚われず、どこまでも大胆で、かつ怪物的だ。そしてこの国(アメリカ)をめぐる怪物的な映画は、誰もがすっかり忘れた頃に時折姿を現す。以前同じ感覚を憶えたのは『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』か。アメリカンドリームと人は言う。確かに主人公もまた欧州の地獄から逃れ、一縷の望みをこの国に託した人物だ。ある意味で彼はその微かなチャンスを掴み、またある意味では、自分こそ真の理解者だとのたまう横暴なパトロンに振り回され、その人物に愛されては嫉妬され、資本主義の歯車の中で徹底して蹂躙されていく。いわゆる渡米したユダヤ人の半生を重厚感たっぷりに描きつつ、と同時に、さながら現米政権を司る人たちともよく似た一部の米国人たちの王様気取りの姿をも鏡面的に描き出し、全ては建築という緻密で謎めいた構築物へと託されていく。かくも巨匠ですら不可能な城を築き上げた30代の鬼才コーベット、心底恐るべしである。

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牛津厚信

4.0An Intricately Designed Picture

2025年1月21日
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Every bit as a labyrinthine, audacious, colossal, and dedicated a piece of artwork as the facility Brody's fictional architect toils at great expense. The story of a practiced tradesman and Holocaust survivor who rises from rags to supporting the rich, this layered and oversized story might have one believe it is a true tale. It's grand cinema that arguably succeeds to be this era's Citizen Kane.

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Dan Knighton

2.0私にはいまいち

2025年11月27日
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なんだかダラダラと誰かわからない人の人生を見せられても困るんだよなー。そんなに賞賛されるような内容なのかな?イスラエル礼賛なアメリカにおいては大事な観点なのかもだけど、そもそも映画として見どころらしい見どころもなく作りはこれであってるの?姪っ子がしゃべらない意味もよく分からなかった、もしかしたらちゃんと意味があったのかもだけどもうずっとハスに見ちゃってたから見落としたのかも。でもそんな態度にさせる入り口だったんだよきっと。

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柴犬泣太郎

3.0大切なのは到達地、旅路では無い

2025年11月24日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

「大切なのは到達地、旅路では無い」この一言につきる作品だと思う。
アカデミーが好みそうな作品。

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上みちる

3.0Destination

2025年11月4日
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ユダヤ民族がテーマとなっているので、そこは避けて通れない。ただ、当時生き延びたユダヤ人と現在のイスラエルのあり方を同一線上に置くことは正当ではない。坂の上の雲の先にインパールがあったとしても、双方の評価は別でしかない。現在のイスラエルは現在の行いにより評価されるべきであって、過去のユダヤ人の労苦や凄まじい建国への道のりを踏まえて論じるべきではない。
グロピウス・ミース・プロイヤーも終戦前にすでにアメリカで成功をおさめており、既に実績がある建築家でバウハウス出身であれば、最初の路頭に迷う展開は首を傾げる。また哲学的で協調性がない主人公の姿は、一方的な建築家イメージのようで好感は持てなかった。
カメラワークや絵作りには感心するところも多数。父を探す息子を追いかけるカメラワーク。石切場の美しさ。ただし、いくらなんでも長過ぎる。

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Kj

2時間半超の映画にはインターミッションを!

2025年11月1日
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鑑賞方法:映画館

TOHOシネマズ六本木ヒルズでブラディ・コーベット監督『ブルータリスト』鑑賞。上映215分。途中で休憩がある新作映画は珍しい。そりゃTOHOシネマズの人も終了時刻を間違えるってなもんだ。昨夏に340分の『夜の外側』を観たから215分なんて平気さ! と臨んだのに前半でウトウトしてしまった。不覚。#12 ("X"のポストから転載)

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はにわさん in 2025

3.5今のイスラエルとは違うな

2025年10月30日
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鑑賞方法:VOD

2025年10月30日
映画 #ブルータリスト (2024年)鑑賞

ホロコーストを生き延びてアメリカへ渡ったユダヤ人建築家が大金持ちの実業家から礼拝堂や図書館を備えたコミュニティセンターの設計と建築を依頼される

長編の割にはつなぎが悪いのかなんか分からないがところどころ?となる展開があったのが残念

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とし

3.5良い作品だとは思うが テーマはどこに…

2025年9月26日
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鑑賞方法:VOD

本作の重苦しそうな雰囲気にあまり興味が湧かず劇場では観逃してしまったが、第97回アカデミー賞10部門ノミネートで主演男優賞・撮影賞・作曲賞を受賞ということと、推しであるフェリシティ・ジョーンズ出演作ということで無料配信開始早々に鑑賞。
かなり評価の高い作品だけに映像や音楽等々とても凝っていたため上映時間200分もさほど長くは感じなかったのだが、個人的には特別感動するほどではなかったのが正直なところ。
終始様々な問題が入り乱れていて、結局何を伝えたかったのかテーマがぼやけた印象に。クレジットや音楽も本作の雰囲気に合っているのか。軽快に横へ斜めへ、その趣旨は?
そして何より、やはり重いというか暗すぎて萎える。
推しであるフェリシティ・ジョーンズも、今まで観た出演作の中では一番役に合っていなかったようにも思う。
良い作品だとは思うが、何度も観たくなる感じではないかな。好みはそうとう分かれるだろう。

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いけい

3.5われわれは無だ 無にも満たない

2025年9月25日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

知的

大事なのは到達地ではない
旅路なのだ

最後のテロップで流れる言葉。
だが、この「旅路」という言葉があまりにも重い。
ホロコーストを生きながらえた、ハンガリー系ユダヤ人の建築家ラースロー・トート。
彼にとっては、このアメリカ文化、アメリカ人気質、偏見・差別への抵抗の「旅路」。
陰謀論はびこるアメリカの裏切りと、味合わせられる屈辱。

淀んだ映像は、時に観るに堪えない感情で充たされる。
ホロコーストを逃れた自分とホロコーストで迫害を受けた妻の再会。
それは、ホロコーストに蹂躙された二人の運命の第二章だった。
トートは絶叫する。「われわれは無だ。無にも満たない」と

収容所を連想しながら、天井には光が。彼の旅路の果てにふさわしいモニュメント。
そこに、ホロコーストを超えるために、一生を捧げた建築家の強い執念を感じた。
2025/9/25 11:43
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ジョー

4.5消化不良

2025年9月23日
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長い...!
そしてテーマを詰め込みすぎて主題が掴みきれず消化不良感が否めない。
制作側の自己満的な演出も多いので若干のしらけ感もあるけれど、
それでもアメリカにおけるユダヤ教徒の歩みを学べる作品として素晴らしいと思う。

アメリカと移民の関係性やユダヤ教の思想を学ぶ良い機会になった。

大事なのは旅路ではなく到達点。
他の作品だと逆のことを言うものもありそうだけど、本作はこの言葉がしっくりくる。
旅路がどんなに辛くても、惨めでも到達点が重要なんだと自分に言い聞かせてこれまでをどうにか生きてきた主人公の人生がとても切ない。

きっと何度も見返して、その度に少しずつ消化できる作品なのかなと思う。

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ぞの

3.5演技が素晴らしい映画です

2025年9月16日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

エイドリアン・ブロディ主演でホロコーストを生き延びアメリカへ渡ったユダヤ人建築家の半生を描いたヒューマンドラマ。
正味の上映時間は200分とかなりの長尺映画。
長尺映画で割と淡々としていたので途中だれるかと思いましたがそこは大丈夫でした。
エイドリアン・ブロディが2度目のアカデミー主演男優賞を獲ったのは
納得の演技を見せてくれました。
ガイ・ピアースもいい演技でしたしその他の俳優も演技が良かったので
この映画は演技で見せてくれるものでした。
建築設計のカッコよさも見られたし
ユダヤ人としての苦悩も見せてくれたのがこの映画の見どころかなと思いました。
でもやっぱり200分は長いですね。

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tom

3.5剥き出し

2025年9月16日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

知的

ホロコーストを生きのびた主人公(エイドリアン・ブロディ)はハンガリーからアメリカにやって来る。
天才的な建築家だったが、仕事に恵まれなかった。
ある実業家(ガイ・ピアース)に見出され、礼拝堂の設計を頼まれる。
妻(フェリシティ・ジョーンズ)と姪を呼び寄せるが・・・。
激情型の実業家は反省も早いが、天才と付き合うにはこれくらい必要かも。

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いやよセブン

4.5満足感

2025年9月16日
iPhoneアプリから投稿

才能にあふれるハンガリー系ユダヤ⼈建築家のラースロー・トートがホロコーストから⽣き延び、アメリカに到達するところから始まる。

あっという間の3時間半でした。エイドリアンの演技に魅了されると同時に、彼の建築した図書室は見事で美しい。

ホロコーストがら逃げ出し正気でいられる方が、難しい。ヤクに走るのも無理はない。天才建築家の心は徐々に蝕まれて行く姿はノンフィクションを見ている様。妻と共に母国へ帰国を決心する苦悩はエイドリアンルーツも考えてしまう。

エイドリアン、ガイピアースいい味出してだなぁ、歳とっても映画にでて欲しい俳優、フェリシテはいつも確実な演技で三人が揃えば豪華な映画となり、充分堪能しました。

ハリソンの最後はきっと自決なんだろね。

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ken

2.0最近のアカデミー賞作品はとてもつまらない

2025年6月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

知的

人種の多様性をうたう最近のハリウッド作品にしては、ニッチなユダヤ人を全面に出した作品だと感じた。主人公の建築作品はとても素晴らしいのだが、映画作品としては平板で深みに欠ける。人生に翻弄されつつも、一角の人物となる主人公。最後には晴れの舞台で栄誉に属してエンディングとは、チープなシナリオに拍子抜けがした。人生のハプニングも映画的には、有りがちな内容。「この主人公の一生を作品として、作り上げる意味があるのか?」と疑問に思った。エイドリアン・ブロディの演技は確かに賞に値するが、他は特に良いとは思わなかった。ただひたすらに長尺の作品だっただけに感じた。

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shanti

2.5カタチから入った空疎な映画

2025年6月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

ビスタビジョンによるフィルム撮影、
インターミッションを挟んだ100分×2の伝記風、
というカタチを先に決めたんじゃないか。

いずれも「ふるきよき時代」の映画を意識したんだろう。

エピソードは、
どこかで見たような話の
よく言えばコラージュ、
気を遣わずに言えばツギハギ。

ユダヤ人に対するホロコーストは特に描かれないが、
薬物中毒、
手の裏を返す親類、
アメリカでの偏見、
成金のコンプレックス、
事故による頓挫、
イスラエルへの移住、
等々が散りばめられていて。

それなりに飽きずに観られるんだが、
ブツ切れで心に残らない。
必然性が感じられない。

ただ、妙に執拗に描いていたのは、性への衝動。

主人公ラースローがアメリカに上陸して最初にしたのは
娼婦を買うこと。

妻のエルジェーベトがアメリカに上陸して最初にしたのは
夫と致すこと。

最後の方で、成金を非難する言葉が、
「**魔」

この辺、監督・脚本家の性質(あるいは主張?)が表れている気がする。

総じて、
一見、重厚さを漂わせた大作のように見えるが、
内容の空疎さを感じざるを得ず。

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島田庵

4.0長編小説を読み終えたような重厚な満足感

2025年5月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

個人評価:4.0
ポールトーマスアンダーソンの名作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を観たあとの感覚と同じで、
長編小説を読み終えたような、重厚な満足感に浸る事ができる。
一人の建築家の半生を通し、アメリカを描く。まるで実在した人物かのような演出には圧巻である。
ガイ・ピアースとの会話のやり取りがとても心地よく、劇中でもあったが知的な空間に包まれている。
助演男優賞に値する存在感と演技だった。

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映画BARシネマーナ

4.5才能ある建築家の生きる様

2025年5月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

…エイドリアン.プロディ
の巧みな演技に引き込まれていく
先日、戦場のピアニストを観ても感じた
悲哀を帯びた演技が最高に惹かれる
筋としてはどちらも戦争下と戦後の話
ピアニスト今作は設計建築家の違いが
あるがユダヤ人の役柄は同じです
この二つの作品どこか被ってみえた
ブダペスト生まれのラースロー
自由を求め
戦後1947年のアメリカ
ペンシルベニア高度発展に沸く街
に移り住む
配給を貰いながら暮らす生活
ほどなく従兄弟の元で働くことになったが…

時間にして三時間以上の大作
時代背景のおもしろさと音楽も
おしゃれで映像を引き立てている
そして主人公ラースローを演じた
エイドリアンが総べての作品だと思った
ハリソンに振り回されながら
屈辱を浴びながらも完成を目指す
内面の苦しさ辛さ哀しさの表情
を見事に演じている
建築家として決して曲げない意思と
(こだわり)…ユダヤ人としての苦悩
気持ちの弱さも露に描いて
人間味を感じる
最後は妻によって救われる
一人の才能ある建築家の半生
完成された建物はシンプルで美しい
配信で観ましたが映画館でみたかった作品

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しろくろぱんだ

4.0215分もある映画とは思えない体感時間の短かさ

2025年5月8日
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鑑賞方法:映画館

映像、音楽、演技はとにかく圧巻
ただインターミッション後からの展開が、個人的にはしっくりこない部分が多々あった

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虎

3.5良かったけど、 実在の人物でもないのにここまで長くする必要あり? ...

2025年4月3日
iPhoneアプリから投稿

良かったけど、

実在の人物でもないのにここまで長くする必要あり?

中弛みがあったのと、

最後が私にはいまひとつだった

もっとどうにか上手くできたはず

奥さん、良かった

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jung

3.5「何をしたのか」と「何をしようとしたのか」

2025年3月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

何の予備知識もなく観たが、前半は、ざわざわした感じ。カメラが対象に近いためだろう。主人公のユダヤ系ハンガリー人、ラースロー・トートを演じたエイドリアン・ブロディには「戦場のピアニスト」のイメージが染み付いている。ナチの収容所を逃れたラースローがやっとのことで米国に辿り着き、従兄弟の店でチェアをデザインした時、バウハウスゆかりの人間と知れた。彼は、縁あってペンシルベニアの資産家、ハリソン・ヴァン・ビューレンの邸宅の図書室をデザインすることになるが、優れていることはすぐにわかった。案の定、一旦は事情を知らないハリソンに罵倒されるが、その後のストーリーは読めた。多分、映画で使われた空間処理の仕方は、バウハウス出身で米国に渡ったマルセル・ブロイヤーの影響だろう。しかし、彼が設計した図書室の本棚には、パリの「ギュスターヴ・モロー美術館」の窓際の陳列棚の影響が感じられた(これは贔屓の引き倒しか)。

映画の後半では、ハリソンの勧めに従い、彼の邸宅があるドイルスタウンの丘の上に、公的な予算が投入されて、マーガレット・ヴァン・ビューレン・コミュニティセンターと言う名の地域の集会場が建設されることになる。さまざまな制約が課されるが、プロテスタントの礼拝堂を、建物の中心におくことが難関だったと思う。映画に出てきた礼拝堂の天井には十字が刻まれ、我が安藤忠雄の「光の教会」を思わせる(エンドロールで、触発されたことを感謝すべきレベル)。ただ、礼拝堂の室内は、極めて天井が高く、ブダペストやプラハで見たドーム式のシナゴーク(ユダヤ教の教会)を思わせた。実際に、ユダヤ教の信者による集会風景も出てくる。この姿が、設計や建築の段階で想像されたら、地域のプロテスタントの人たちから、どのような非難が寄せられるかは自明である。

映画の最後で、ラースローの姪、ジョーフィアが「旅路より到達地が重要」と訴えて、これまでの経緯ではなく、残った建造物こそが重要とするが、本当にそうなのか。日本の著名な建築家たちは、必ずしもそうは考えていなかったような気がする。中には、自分の設計した建物なんて、100年後には一つも残らないと言う建築家だっていた。世界遺産に指定された建築は、並外れて優れているに違いない。私たちのような一般人には、それが全てだが、おそらく建築家の世界では、「何をしようとしたのか」も負けないくらい大事なのだろう。第一、優れているのに、いつかの競技場みたいに実現しないことだってある。模型や設計図も大事にして欲しい。その精神こそが、次の世代に引き継がれるのだから。

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