劇場公開日 2025年2月21日

「カタチから入った空疎な映画」ブルータリスト 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5カタチから入った空疎な映画

2025年6月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

ビスタビジョンによるフィルム撮影、
インターミッションを挟んだ100分×2の伝記風、
というカタチを先に決めたんじゃないか。

いずれも「ふるきよき時代」の映画を意識したんだろう。

エピソードは、
どこかで見たような話の
よく言えばコラージュ、
気を遣わずに言えばツギハギ。

ユダヤ人に対するホロコーストは特に描かれないが、
薬物中毒、
手の裏を返す親類、
アメリカでの偏見、
成金のコンプレックス、
事故による頓挫、
イスラエルへの移住、
等々が散りばめられていて。

それなりに飽きずに観られるんだが、
ブツ切れで心に残らない。
必然性が感じられない。

ただ、妙に執拗に描いていたのは、性への衝動。

主人公ラースローがアメリカに上陸して最初にしたのは
娼婦を買うこと。

妻のエルジェーベトがアメリカに上陸して最初にしたのは
夫と致すこと。

最後の方で、成金を非難する言葉が、
「**魔」

この辺、監督・脚本家の性質(あるいは主張?)が表れている気がする。

総じて、
一見、重厚さを漂わせた大作のように見えるが、
内容の空疎さを感じざるを得ず。

島田庵
PR U-NEXTで本編を観る