「カタチから入った空疎な映画」ブルータリスト 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)
カタチから入った空疎な映画
ビスタビジョンによるフィルム撮影、
インターミッションを挟んだ100分×2の伝記風、
というカタチを先に決めたんじゃないか。
いずれも「ふるきよき時代」の映画を意識したんだろう。
エピソードは、
どこかで見たような話の
よく言えばコラージュ、
気を遣わずに言えばツギハギ。
ユダヤ人に対するホロコーストは特に描かれないが、
薬物中毒、
手の裏を返す親類、
アメリカでの偏見、
成金のコンプレックス、
事故による頓挫、
イスラエルへの移住、
等々が散りばめられていて。
それなりに飽きずに観られるんだが、
ブツ切れで心に残らない。
必然性が感じられない。
ただ、妙に執拗に描いていたのは、性への衝動。
主人公ラースローがアメリカに上陸して最初にしたのは
娼婦を買うこと。
妻のエルジェーベトがアメリカに上陸して最初にしたのは
夫と致すこと。
最後の方で、成金を非難する言葉が、
「**魔」
この辺、監督・脚本家の性質(あるいは主張?)が表れている気がする。
総じて、
一見、重厚さを漂わせた大作のように見えるが、
内容の空疎さを感じざるを得ず。
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