「光の十字架に込められた想い」ブルータリスト bionさんの映画レビュー(感想・評価)
光の十字架に込められた想い
あらゆる感情がスクリーンから伝わってきて圧倒される。感情のシャワーから心を休めるという意味でも15分の休憩はとてもよかった。
この物語に慈愛に満ちた人間は登場しない。むしろ悪感情を隠さず、他人を傷つけることも厭わない人間の方が多い。
主人公のラースローは、ハンガリーでナチスドイツに迫害を受け、命からがらアメリカに辿りつく。受難の人生は、同情に値するが、他人を斟酌しない独善的な態度や、一時の快楽に逃げてしまう弱い心に関しては、眉をひそめたくなる。
だけれども出来上がった建造物は、息をのむ荘厳さがあり、創造主たるラースローの思想を感じる。他人を押しのけるくらいの自意識がないと革新的なアートが生まれないのかもしれない。
会話のシーンで意図的なズームアップが多用される。嫌悪感が出てしまった手元を映したり、高価なネックレスで飾られた胸元が、ラースローを蔑んでいるようにも見える。
道路をひたすら映し出すだけの心象表現もあり、映像的に語ってくる演出が目に焼き付く。
善意、悪意の相互作用で人間社会ができていることを再認識させられる作品であるが、エピローグで語られるラースローの真意に胸が打たれる。
IMAX画角いっぱいに広がる光の十字架に何かを祈りたくなります。
脚本家がイメージしたこの建築物、マーガレット・ヴァン・ビューレンコミュニティセンターは使い勝手も悪そうだし私にはそれほど建築史的に大層な建物にはみえませんでした。コンクリート打ちっぱなしでスリットの光が十字架に見えるという仕掛けは結構、あちこちにあります。大阪の光の教会(安藤忠雄設計)はなかでもとても美しいですよ。
誇り高き天才建築士、正直日本人なら生きづらそうと思いました。
自分も年取って丸くなった方が、疲れずに済むよなぁと思うようになってしまい、それだけ人間に疲れてますwww
共感ありがとうございます。
十字架には拘りが在った様でしたが、そもそもジューだと考えると部屋の間取りの方に意味が有ったんですかね。
ポルノ映画を観に行く(フランス物!)のは好感持てました。