「無駄のない機械のような傑作‼️」ブルータリスト 活動写真愛好家さんの映画レビュー(感想・評価)
無駄のない機械のような傑作‼️
まず画面いっぱいに映し出される「VISTAVISION」の文字‼️あぁ、デジタルじゃなくフィルムで撮影されたんだなぁと嬉しくなる‼️そして「序曲」があり「第1部 到着の謎1947-1952」「インターミッション」を挟んで「第2部 美の核芯 1953-1960」、そして「エピローグ 第1回建築ビエンナーレ1980」で締めるその構成‼️まるでハリウッド黄金時代の超大作みたい‼️3時間35分の長尺がアッという間の「無駄のない機械」のような傑作ですね‼️ホロコーストを生き延びたユダヤ人建築家ラースロー・トートは、富豪の実業家ハリソンから仕事の依頼を受ける。アメリカでの夢の実現に燃えるラースローのもう一つの願いは、ヨーロッパに置いてきた愛する妻エルジェーベトと姪をアメリカに呼ぶことだった・・・‼️ラースローが潜む真っ暗な船室から、青空を背景に反転した画面で自由の女神を捉えたショットは、ラースローのアメリカへ抱く希望と不安を同時に表現した秀逸なカットで、「ゴッドファーザーPARTⅡ」の自由の女神を思い出しました‼️そして駅で従兄弟と再会、彼の自宅へ向かう車道のカットの素晴らしさ‼️不気味なオーケストラの音楽と共に展開される、このオープニングだけで私的に掴みはOK‼️続く物語ではラースローは従兄弟から「妻に色目を使ってる」と誤解され、仕事を失い、有名建築家だったラースローが作業場で重労働を強いられるという不幸の連続‼️ようやくハリソンに仕事をもらったシーンで第1部はENDなんですが、これがさらなる波乱の第2部の布石となるなんて‼️前述の不気味なオーケストラ音楽が不意に流れたり、エルジェーベト役のフェリシティ・ジョーンズのナレーションが効果的に使われて第2部への期待が高まります‼️第2部でようやく再会したエルジェーベトは骨粗鬆症により車椅子の身となっており、肝心の仕事もヨーロッパとは勝手が違うアメリカでの建築現場に四苦八苦するラースロー‼️そんなラースローの前に立ちはだかるのが、資本主義の巨大国家アメリカを象徴するハリソン‼️この巨大な権力を持つモンスターを演じるガイ・ピアースがハマり役で、まるで「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のダニエル・デイ・ルイスみたい‼️第1部ではイイ人みたいな感じだったのに、第2部でコミュニティセンターの建築が進むにつれてむき出しになる、その欲望と闇‼️まさか代理石の買い付けに行ったイタリアで、ラースローにあんな事してたなんて‼️そんなハリソンを前にしてドラッグとアルコール漬けになっていくラースロー‼️アメリカに希望を抱いたラースローがハリソンに象徴される強欲や愛憎といった感情、そして心の闇に蝕まれていく展開‼️ホントに恐ろしいです‼️そしてエルジェーベトに「強◯魔!!」と糾弾されたハリソンが、行方不明になったところで第2部は終了‼️そしてエピローグではその後もラースロがアメリカに残り、素晴らしい建築物を創造した事が姪のジョーフィアによって紹介される‼️そして締めのセリフ「大事なのは到達地だ。旅路ではない」‼️今作でのラースローの物語を考えると納得のセリフかもしれませんが、過程を顧みず結果だけを追い求める現代の風潮に通じるところがあって、ゾッと震撼させられました‼️ほんとにスンゴい傑作です‼️訛りも含めてユダヤ人になりきったエイドリアン・ブロディとフェリシティ・ジョーンズの素晴らしい演技‼️コミュニティ・センターをはじめとするラースローの建築物の壮厳な佇まい‼️陽に照らされて浮かび上がる十字架の美しさ‼️そしてデザイン性を重視したオープニング・クレジットやタイトル・バック、エンド・クレジットも必見ですね‼️