国境ナイトクルージングのレビュー・感想・評価
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4時45分
北朝鮮との国境の街延吉で、数日間ぶらぶらした時間を過ごす男2人女1人の若者の話。
友人の結婚式に参加する為に上海からやってきたハオフォンが、市内観光のツアーに参加してスマホを無くし困っていたところ、ツアーのガイドのナナに食事に誘われ巻き起こっていく。
土地柄、朝鮮族の文化が入り込んでいるけれど、物語には北朝鮮も文化も関係なくて、強いて言えば地方のちょっと栄えた地方都市というだけの位置づけですかね。
金融会社勤務で金持ちだけどどこか疲れた様子のハオフォンと、過去に何やらシコリを持つ3年前に街に来てバスガイドをするナナと、おばさんの店で働くナナの友達シャオという3人が、停滞している人生においての時間を動かす為の、気持ちを切り替える時間てことですかね…。
一応踏み出す素振り的な締め方だったけれど、背景描写も今の心境もなんだか色々寸止め祭りという感じで、空気感は良かったし面白かったけれど物足りなく感じた。
【鬱屈を抱えた男女三人が数日を共に過ごす中で過去と決別し新たな明日への一歩を刻む姿を美しいショット多数で描き出した作品。アンソニー・チェン監督は岩井俊二監督作品が好きではないかと思った作品でもある。】
■登場人物
1.ハオフォン:母からの過大な期待により、心療内科に通う上海のエリートサラリーマン。
演者:リウ・ハオラン:久しぶりに拝見したが、良き俳優である。憂いを帯びた姿がとても良い。
2.シャオ:故郷を飛び出し、北朝鮮との国境沿いの延吉のサービスエリアでコックをする男。
演者:チュー・チュー・シアオ:初鑑賞だが、雰囲気が良い。
3.ナナ:足の怪我が元でフィギュアスケート選手生活を断念し、今はバスツアーガイドで生計を立てている。故郷を出て3年が経つ。
演者:周冬雨:ハッキリ言ってファンである。
家人の(多分、一人前)のガールフレンドに雰囲気が似ているから。中国では”13億人の妹”と呼ばれているそうだが、日出処の竹野内豊似のオジサンの妹にならないかい?(嗚呼!今、私のフォロワーの方が100人ほどフォロー解除をした音が聞こえて来ました・・。)
◆感想<Caution!内容にやや触れています。>
・物語は比較的淡々と進むのだが、独りで上海から来たハオフォンと、それまで顔見知り程度だったシャオやナナが、ハオフォンがスマホを失くした事がきっかけで仲が良くなり、共に過ごす姿が自然な描写で映されており、且つ雪景色も透明感溢れる映像で、良いのである。
そして、ハオフォンの時計が4時45分で止まってしまうシーンを短ショットで映す技法もナカナカだった。(彼の厳しい現実が止まった事を暗喩していると思ったな。)
特に北朝鮮との国境を流れる凍てついた豆満江で人々が遊ぶ中、ナナがフィギュアスケートをする幻想的なシーンや、3人で雪の長白山に登るシーンは良い。
・ナナがハオフォンに心を許し、身体を預けるシーンはハラハラドキドキしたなあ。美しい女性の裸体は若い頃から結構見ているので(イタタ、石を投げないで下さい!)、オジサンは周冬雨さんの裸体よりはあの素敵な笑顔が見たいのだよ。
・シャオのバイクに3人乗りで小柄なナナを守るようにハオフォンと街の雪道を走るシーンもロードムービーのようで有ったな。
と言うか、この映画自体が一種のロードムービーじゃないかな。
<で、レビュータイトルにも書いたが、今作は”鬱屈を抱えた男女三人が数日を共に過ごす中で過去と決別し、新たな明日への一歩を刻む姿を美しいショット多数で描き出した作品。”だと思ったな。
あとは、雪景色の映し方も綺麗で、何となく岩井俊二監督の”Love Letter"を思い出したな。
それにしても、周冬雨さん(本名なのかな。素敵な名前である。)のぶっきら棒であったり、可なり酔っ払ったり、そして何よりも笑顔が素敵な作品だったな。まあ、私は周冬雨さんのファンだからねえ。(クドイ!)>
和訳のタイトルのセンスがない
和訳のセンスないよね。
燃冬
Breaking ice
国境ナイトクルージング
って。
元のタイトルのままで何が不都合なのか分からない。
チョウドンユイ目当てで鑑賞。相変わらず可愛いね。
ストーリーはとても繊細。最後も多くは語らない。
3人とも生きてはいるけどいろいろあって、、、文字にするとよくある話だけど。
キレイな映像と相まって独特な雰囲気があります。
ミニシアター、単館公開がお好きな方は特にオススメ。
飲酒喫煙する十三億人の妹
北朝鮮のさらに北側に位置する朝鮮族自治州の中心都市・延吉。
知人の結婚式のためにこの地を訪れたハオフォン。現地の観光ガイドを勤めるナナを介し、その友人シャオとも親しくなり、しばし三人で行動を共にすることに…。
ヒロインのナナを演じるのは「十三億人の妹」と称されるチョウ・ドンユイ(周冬雨)。本作で飲酒喫煙だけでなく、濡れ場も演じている。
三十歳すぎたのでいけなくはないが、前に観た『少年の君』(2019)では高校生役だったから、そのギャップに正直驚き。
『ソウルメイト/七月と安生』(2016)を観た際も感じたことだが、イメージの定着がいやなのだろうか、妹キャラには程遠い大胆な演技を本作で披露している。
彼女の「絡み」の相手ハオフォン役は、TVシリーズ『榔琊榜弐』(2017)や『九州縹緲録』(2019)で若くして主役を演じたリウ・ハオラン(劉昊然)。
透明感ある瞳にどこか戸惑いの色を宿す彼に神経症で自殺願望もあるハオフォン役はぴったりだが、チョウ・ドンユイも含め若い世代に人気のある二人。知らずに観てショックを受けるファンも多いのでは?!
目標を見失った若者が何となく肩を寄せ合い、理由なく離れていくプロットは古くからある青春ドラマの定型。
怪我でアスリートを断念したナナ。
親の期待どおり高給取りのエリートになっても生き方に悩むハオフォン。
勉強嫌いで親族の下で料理人に甘んじるしかなかったシャオ(チュー・チューシャオ(屈楚蕭)演)。
「生きたいように生きる。それが人生」という彼の言葉は、まったく胸に響かない。
霧に阻まれ辿り着けなかった天池は、彼らの人生の暗喩なのだろう。
「これで終わり?!」と言いたくなるようなラストも含め、鑑賞者の想像に委ねるタイプの映画だが、見る人の推測を誤誘導させる仕掛けを最後で空振りさせてる手法がユニーク。
大きな起伏もなく、肩透かし的な終わり方に賛否はあると思うが、個人的にはそれなりに退屈せずに観ることができた作品。
本作のリウ・ハオランと、『西湖畔に生きる』(2023)のウーレイ、対称的な若い二人の共演作(できれば歴史劇)を、いつか劇場のスクリーンで観てみたい。
鑑賞後に目にした週刊文春シネマチャートでの本作の評価は、意外にも概ね好意的。
芝山先生なんか『ジョーカー2』で星2つしか点けなかったのに。
これほどまでにダサい邦題は久々だが、映画はとても良いのでスルーしないでくださいね
2024.10.19 字幕 MOVIX京都
2023年の中国&シンガポール合作の映画(100分、G)
とある理由で中国と朝鮮半島の国境の街を訪れた青年が地元民と交流を果たす様子を描いた青春映画
監督&脚本はアンソニー・ウォン
原題は『燃冬』、英題は『The Breaking Ice』で、日本語に意訳すると「雪解け」という意味
物語の舞台は、中国の延吉市
友人の結婚披露宴でこの地を訪れた上海勤務のハオファン(リウ・ハオラン)は、早々に披露宴を抜け出して、外で一服をしていた
そこに観光バスが入ってきて、バスガイドをしている女性と目が合った
ハオファンは何を思ったのかバスのツアーに紛れ込み、そこでバスガイドのナナ(チョウ・ドンユイ)と関係を深めていく
スマートフォンを盗まれてしまったハオファンはナナを頼ることになり、そこで彼女の腐れ縁の青年シャオ(チュー・チューシャオ)を紹介された
シャオはずっとナナのことを想っていたが、彼女にはその気がなく、いつも先制しては彼の心を折っていく
ナナはかつてルームメイトと一緒に住んでいて、フィギュアスケーターとして活躍していたのだが、怪我によって、その夢は絶たれてしまっていた
そのことに未練を抱えるものの、生活のためにしたくもないことをして、さらに自分を押し殺していたのである
シャオは叔母を頼って食堂を手伝い、他にも色んな仕事をしながら生計を立てている
彼はギターで弾き語りができるのだが、その道に進むこともなく燻っていた
また、ハオファンは有名大学から有名企業に就職したが、競争が終わったと思ったらまた競争という現実に嫌気が差していた
心理カウンセラーの予約催促の電話も無視し、「全てを終わらせたい」と考えるようになるほどに追い詰められていたのである
映画は、この3人が過ごす日常を切り取っていて、深酒で寝過ごしたハオファンが数日間を共にする様子が描かれていく
そんな中で、本屋に立ち寄ったハオファンは、水墨画で描かれた「長白山」に心を奪われる
そして、三人でその山に登って、頂上にある「天池」に行こうと考えるのである
映画は、よそ者の出現にて地元民ふたりの関係が変化するというもので、ハオファンはナナと関係を持ってしまう
シャオは心を痛めるものの、自分の代わりをしてくれていると考えていて、彼自身は関係を持つことよりも、ナナが立ち直ることに重きを置いていた
物語は、それぞれが新しい一歩を踏み出す様子を描いていて、長白山はそのメタファーのような存在だった
登る目的がそれぞれ違っていて、おそらくハオファンはその頂上から天池に飛び込もうと考えていたのだろう
神はその行動を阻止し、地上に帰るように仕向けるのだが、それによって3人はそれぞれの道へと向かうようになった
最初に動いたのはシャオで、彼はどこか新天地で生きることを決める
それが音楽で生きることかは描かれないが、ナナへの未練を経ち、自分自身を生きる道を選ぶ
次に動いたのがハオファンで、彼は別れを告げることもなくナナの元を去ることになり、おそらくは上海に帰ることになるのだろう
そのまま仕事を続けるのかはわからないが、生き方そのものは変わっていくように思えた
ナナはフィギュアの道には戻れないが、押し込めたい過去を背負う覚悟を決めている
誰に頼ることもなく、依存することもなく立ち上がるというイメージがあって、彼女も前向きに生きていくのかな、と感じた
いずれにせよ、よそ者が関係性を変えるという物語はたくさんあって、その二人がよそ者の異変を感じている状況だった
シャオからすれば邪魔者なのだが、ナナとの関係をはっきりさせるためには必要だった
映画の後半にて、ナナがシャオにキスをするシーンがあるのだが、この時にナナが男に求めていたものを、お互いに感じ取ってしまい、その役割を相手に求めてはいけないことを理解したと思う
それは、ハオファンをそのように扱っていたナナ自身の心を露呈することになるのだが、行為自体はハオファンを助けることになっていた
ハオファンとナナが関係を持たなければわからなかったもので、もし彼がこの地を訪れず、ナナとシャオが関係を持つことになったとしたら、おそらくはもっと傷つけあったのではないだろうか
ふたりにとってのハオファンは雪を解かす太陽のような存在だったのかもしれません
やや何を言いたいのか理解が難しい映画ではあるものの
今年377本目(合計1,469本目/今月(2024年10月度)28本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
中国と北朝鮮の国境近くにある街で、とある事情から3人が出会い、その街中や少し郊外をぶらぶらするお話。
このような場所にあるので、いわゆる脱北問題の話かなと思うとそうでもないし、3人がこの街にきた理由自体は映画内で明示はされるものの、じゃその後用事が済んだら特段何もすることがなければ解散すればいいのに、3人でぶらぶらっと移動して、よくわからないところにいったり、妙なまでにヘンテコな展開になるのが気になるところです。
ただ、他の方も触れられているように美術美というか景色が良いところは多々あり、そこは(北朝鮮のかかえる問題から、中国領土ではあっても訪れることが日本人には難しい)良かったところです。
かなりの大手の映画館で1日4上映という扱いですが、どちらかというとミニシアター向けの上映が想定されているのかな(見る方をある程度絞ってくるという意味で)という印象です。特に大阪市でいえばアジア映画といえばシネマートなので(といってもあと5日ほどで閉館になる…。12月から別の映画館が入ることはアナウンスされているが、アジア系に特化するかはよくわからない)、ちょっと肩透かしを食らったといったところです。
ただ、北朝鮮との国境近くにある(中国はかなり領土が大きいので、「近くにある」といっても結構あるのは当然として、ここでは相対的な意味)事情から描けない部分も多々あったものと思われ、それに関しては仕方がないし、作品自体も起伏に乏しいという大きな問題はある(このことも多くの方が触れられている)ものの、おそらく前者の問題から派生しているのだろうと思われる以上、「中国(ロシア、韓国)と、北朝鮮の国境近くの街・村での一つの出来事」を描いた映画としては(諸般色々考慮して)理解はできる点考慮して減点なしフルスコアにしています。
ただ、いずれにせよ「楽しい映画」が観たいなら、他の映画かなといったところです(といっても、SAW Xは極端にグロいし、パミョはマニアックな展開だし(「パミョ」に関しては「答え合わせ」になる情報は投稿しています)、今週はちょっと色々難しいですね
国境付近とはいえ自由に行き来はできないのね
『少年の君』がすごく好きだったので、ちょっとハードル高めだったかも。
全体的にゆる〜くしっとり、ナイトクルージングとはいうけれど、けっこう昼も多め。
ハオフォン役の彼も『唐人街探偵』とは真逆のキャラクター。
ちょいちょい説明不足だったり、結局のところ分からずじまいなのが幾つかあり、若干の消化不良感は否めないものの、作品全体の雰囲気やスクリーンから温度が伝わってくるような映像はとても好き。
氷の迷路は興味ある。
国境付近ってことは北朝鮮式の結婚式なのかな?
はしゃいだりしちゃいけなそうなイメージだったから、あんな賑やかな結婚式で素直に驚いた。
期待外れ。自分たちが何をつくろうとしているのか整理して欲しかった。
舞台となる延吉市は中国吉林省にある朝鮮族自治州の州都。人口は50万人ぐらい。主人公たちが向かう長白山は北朝鮮側からは白頭山と呼称される。これは国境の街に吹き溜まった男女3人の物語である。ナナはフィギュアスケートの有望選手だったがケガで辞めこの街で旅行ガイドをしている。ハオフォンは上海のIT企業に勤めていてこの街には友人の結婚式のため来た。神経症的な持病がある。シャオは叔母の経営する食堂を手伝っていてナナのことが好き。
3人はひょんなことから交流がはじまり遊び歩くようになる。問題はまず、彼らがお互いのどこが気に入ってどこに共鳴したのかがよくわからないこと。説明的な部分をなるべく避けているのだろうし(その割にはフィギュアスケートのくだりは結構しつこい)、ベタベタしない関係性を描こうという狙いは理解できるがこれでは共感できない。
一方、この映画では、主人公たちが涙を流すシーンが結構ある。ここも何故、この人がここで泣いているのか理解できない。というか演出家が狙いを持って泣かせていることがみえてしまう。自然でないのである。
ショットはぶつ切れでカットイン、カットアウトも唐突過ぎる。だから撮影上からも余韻が持ちにくい。
長白山のシークエンスは全く必要なかった。この3人は朝鮮族ルーツではないので長白山に踏み込まなければいけない精神的背景はないし、アリランを聴いて感動する理由もない。そして長白山の部分がなければあの不自然極まりない遭遇についても描かなくてもよかったはず(詳細には触れませんが)
3人の心の交流を描いていくだけなら街場のロケですんだし尺もあと20分は詰めることができた。
主役の3人はいずれも好演です。なかでもチョウ・ドンユイは魅力的。彼女の名前は漢字表記で周冬雨。この映画の主役にはピッタリですね。
美男美女、馴染みあるキャストなんだが、、、
なんせストーリーがイマイチ。ただ3人が遊んでいるだけ。進展がありそうで何もない(笑)
1時間くらい経過した頃に、あれ?って、退屈な事に気づく(笑)そこからはやけに長く感じた。多分10分置きに時計を確認してました、、、キャストは良いからそのお陰で観ていられたかも。違う人なら帰っていたな。残念。
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