花嫁はどこへ?のレビュー・感想・評価
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スッキリした! 最高だ!
インドの婚礼にまつわる映画ということで、いまだ根強く残っている文化や風習なのでしょうか。田舎の農村から花嫁をつれて何時間も電車で揺られる2人旅。その風情、国内だけのあるある話を内輪で披露するだけでなく、世界の誰でも理解出来るように作られていたのか、何も苦も無く、そのお国柄に馴染むことが出来ました。その風情は美しくもあり、不便でもあり。もはや成人であろう花嫁さんが迷子になったぐらいで数日もはぐれ続けるなんて、なかなか文明の進まないインドならではの事情でしょうか。だからこそ、この映画が成立したのか、衣装の美しさが仇となって嫁さんを取り違えるだなんて、インドならではなのか、インド人もビックリなのか。
そんなインド事情も進化してゆく。「あ、ケータイはあるんだ」って驚くのも束の間(いや、今じゃ何処の国もスマホぐらい使っていると思うけど)。数は少なくとも電話はあるしFAXだってあるし、(この世界観で)ネットカフェが運営されているのにも驚いた。冒頭から続くインドの田舎事情のお披露目は立派な伏線だったのでしょうか。取り違えられた(言い方は悪いけど)ニセ嫁の彼女が進歩的な農業を学び、やがて高度に文化・文明が進むことを漂わせる背景の流れが一貫していて素晴らしい。農村に広がる農地の風景は最初と最後では違って見えてくるのが不思議。
それでもインド風情の映像がワンカットごとに素晴らしい。独特の音楽もデジタル化することなく、そのまま世界に持って行けそう。ラストシーンの歌声が実に透明で美しかった。
登場する人達も良いですね。主役の家族や寝たきりのお爺さん。駅に住み着く少年。売店のおばさんが何より良い味してます。最後の引き出しに締まった花嫁さんの忘れ物を大切に預かるのは、また逢えるだろうという大事な絆。人を愛することを知っている本当に良い人だと思う。
そして「怖い怖い」と怖がられていた警部補の人。その怖さを遺憾なく発揮して(ニセ嫁の)彼女を見事に救出した下りは本当にスッキリさせてくれました。圧巻の迫力ですなあ。
全ての人が(悪そうな人達も含めて)然るべき幸せそうな結末に至る、本当にスッキリさせてくれた素晴らしい作品でした。
大切なものは自分の中にすべてある、という物語
アーミル・カーンのプロデュース作ということで、『シークレット・スーパースター』とも連なる「インド社会における女性の地位と権利」を描いており、エンタメの枠内でやってのけていて非常にまとまりがよい。主人公2人の成長物語であるものの、最初から最後までふたりの本質的な印象や人格が変わるわけではないし、周りの人間も大きく変わったりはしない。最初はクソ野郎に見えた警部補が実は、という展開もインド映画らしい上手さだが、彼自信が別人になったわけではない。つまりは社会をより良くするためには、いとりひとりが自己を大変革しなければならないのではなく、自分自身が秘めている善性や良識に気づくことが大切である、という物語のように思う。最初はテーマの掘り下げが入門編の教科書的で物足りなく思ったのだが、今思えば、この「変わらない」ことを信じるポジティティと性善説のアプローチは、フィクションとして結構難しいことをやってのけたのではないか、という気がしている。
泣き跡を見られても恥ずかしくない、と思える映画でした。
見る前のシナリオ予想は「花嫁が手違いで入れ替わり金持ち家に貧乏嫁が、貧乏家に金持ち嫁が嫁いで数年経ってから気がついたけど既に愛も情も生まれていたのでこのまま行こう、やっぱり愛だね」みたいなドタバタ話かと思っていましたが全然違いました。予想が外れた分余計に面白かったです。“可愛い系のインド女子“の嫁を何故か新鮮に感じたのはインド映画「バーフバリ」を見過ぎたからかも知れません。
劇中の様々な女性たち、ちょっとづつしか触れてなくても"きっとこの人はこんな人生を歩んで来たんだろうな"とそれぞれ一人分の人生が容易に想像出来てストーリーに重ね合わさるから2時間の映画に何倍も厚みを感じられて、変わりゆくインドとインド女性の“人生の幅“での強さみたいなものが見えてとても感動しました。それプラス旦那の「アイラブユー」とか汚職警官の「チョ待てよ」とか思い出しても「ウッ(泣)」と来ちゃいます。
体裁とか評判とかしきたりとか、平穏な社会生活を送るための知恵だと思うので気にしないことを美徳とは思わないのですが、体裁や評判を気にして出来なかったこと、やらなかったことが得てして人生の後悔の一因になったりします。その裏には体裁や評判を気にすることで守れた物もあるはずなのでクヨクヨせず、この映画のように“終わりよければ全て良し“の精神でハッピーエンドになれるよう生きて行ければ素晴らしいなと思います。
インド映画、こういうの、もっと見たいです
一部を除いてみんないい人なんだけど、それが嫌味じゃなくて、素直に花嫁2人ともいい人達に恵まれてよかったなぁと。
特に署長には心動かされます。
なんだこいつ、やっぱりインドはまだまだ賄賂ありありのどうしようもない警官なんだなと思ってしまってごめん!!という、気にすらなりました。
20年前の設定とはいえ、2024年の今でもこんな慣習や、女性の扱いやらが残ってる地域はあるのでしょう。
未だにインドで女性が襲われるニュースなど聞くと心が痛くなります。
でもいい方に変わってきてることを願います。
逆に描かれてるような人々の素朴な優しさについてはなくなって欲しくない。
困ってる人には優しくしてあげられる人間になりたいものです。
ちなみに署長の次にこの人いあなあと思ったのは、駅長さんでした。
女性蔑視とは「女性には自分の住所すら教えられない」という恐ろしいことだった。 問題をわかりやすく、面白く広く世界に訴えられる。 これぞ映画の大きな存在意義のひとつだ。
主役のプールは、少し天然で実に可愛らしく、優しい。
地味で大人しく真面目。
これまで、親の言いつけを守り家庭の中だけで育ってきたが、何の不満も無く、好きになった男性と結婚
こんなことが無かったら、結婚した後もそのまま新しい家庭に入り、これまで通りの暮らしを送って、幸せな過程を気付いていたに違いない。
それももちろん悪いことではないけれど、ひとたび今回のようなことが起きると、自分の人生に疑問を持たざるを得なくなる。
自分の住んでいる場所の住所もわからず、村の名前すら憶えていない。
一歩、村の外に出ると、一人では戻ってくることすらできない。
愛する夫の名前すら口にすることが許されない。
(このことだけは文化であるともいえるけれど)
それでもいいのか。
片や、もう一人の主人公ジャヤは、聡明で賢い。
自分の意見を口にし、振る舞いも自由。ビジネスの才能もあるらしい。
そんな人でも、女性だからその才能を生かすことができない。
自分のやりたいことができない。
親に言われたとおりの結婚をするしかない。
女性の権利の問題を映画にするような場合には、彼女のような話になる場合が多いと思う。
本作でも、映画の半分の重要な軸ではある。
しかし、本作では、あくまでも物語の中心がプールである点が重要である。
声も上げず、つましく生きてきて、愛する男性と結婚し、自分の村に戻りたいだけの女性が、それだけの願いをかなえたい、ということを描いている。
心が優しく他人を思う彼女のことは、黙っていても、周りの人の方から助けてくれる。
そんな優しい話だからこそ、訴えたいテーマが心に響く。
ラストのラストに、愛する夫の名を声高に叫ぶ。
このことだけで、彼女の心の変化がわかるとても良いラスト・シーンでした。
観て良かったという気持ちになれる素晴らしい映画でした。
その反面、世界のすべての人々に、男女平等が実現されるのは、いつになるのか。
女性が暴力で支配されることが無くなるのは、いったい何百年先なのか。
100年先でも実現しないことは確実だ。
そう思うと何とも悲しい。
人類とは如何に愚かで進歩がないものかと、暗澹たる気分になるのでした。
いい映画は、面白く観れて、後味がいいのに、後で自然にいろいろと考えさせられる。
DVDが出る可能性が薄いので、是非映画館で見て欲しい
フェミニズムとシスターフッドに溢れるじんわり良き映画・・・で終わって良いはずがない。
2001年が舞台ということに目眩がする。
インドって妻が夫の名前を呼ぶのもNGなのか??ヴォルデモートでもあるまいに。
インド映画「TOILET」でもインドでスマホを持っている人より家に衛生的なトイレがある人の方が少ないという事実や、同じ2001年頃を舞台にした「パッドマン」でも、生理用品が手に入らないために修学や就労を制限され、生理中は外出さえままならず非衛生的なぼろ布を使ってる女性が多いことに目眩がしたが、結婚においてもその価値観はまだ21世紀と思えない有様のようだ。
もっとも、夫婦別姓がいまだに選択できず、未成年をレイプしようとした元ジャニーズの性犯罪者などが堂々と復帰し、首相の自伝本を書いたジャーナリストがレイプをしてなお捕まらず、ジェンダーギャップ指数146か国中118位(2024年現在)の日本が言える立場ではないが。
話すとプールがおそらくまだ10代の幼い花嫁であることがわかる。貴重品も夫に預けたあれっぽち。おそらく持参金も少ないのであろう。料理などの花嫁修業はしっかりさせられたようだが、夫の村の名前すらろくに把握していないとは。実家でもすべて夫に任せておけば良い、と言われて育ったのだろう。駅で迷って自我もなく寄る辺なくあたふたする様は花嫁と言うよりまだ子供だ。
まず、嫁ぎ先の村の名前くらいちゃんと覚えておけというのはマンジュおばさんの言うとおりである。
夫に言われてランニングを辞め何が好きかもわからなくなった・・・という話が最近Twitter(X)でバズっていたが、本編でもレストランとコラボメニューになっていたレンコンのサブジをジャヤに褒められて、「夫も息子も食べないので好きな料理を作らなくなった」という母親が「なら自分のために作ればいい」とジャヤに言われて「女の好みで料理を?」とありえないとばかりに姑と笑った後で「でももう自分の好みがわからない」とぼそりと呟く様がなんともつらい。女が料理を作るのは夫や息子など男の為で、自分の好みも反映させられないということ。
インドでなくても日本の既婚女性もよく言うことだ。夫が嫌いだから作れないとか子が食べないから作らないとか。幼い子供相手ならまだしも、アレルギーで食べられないとかじゃない限り(よほど栄養に偏りがあるのでない限り)日々の料理なんて作る人の好みで作ればいい。文句があるなら自分で作れ、である。
日本の女性は自立以前にまず自分の好みの料理を作るところから自我を取り戻さなくてはいけないのか。道は遠い。
マンジュおばさんの名台詞「女は育児も出産も農業もできる。それに気づいたら一人で生きていけるので、男は気づかせないままにしておきたい。(男が結婚できなくなるから)」と言う台詞が身に染みる。「結婚できない」ことが女にとってスティグマになる社会はクソ男に都合が良いからだ。
夫がジャヤを殴るのも止めないなんてひどい警官かと思ったら目の前でDVを目撃したという事実を作るためだったのか・・・DV夫と離れられるのは幸いだが前妻の死が自己なのか殺人による焼死なのか曖昧なままなのはいかがなものか。サティ(寡婦殉死)は法律で禁止されているものの、現在でもインド各地で行われているという。それどころか子供が産めないから殺されるなんて女性の地位は奴隷や産む機械以下である。
ジャヤは一度クソDV夫と法律婚をしているわけで、夫と正式に縁を切ることは出来るのだろうか。そのあたりも気になってしまう。
プールが初めて自分で仕事をして報酬を得るときの目の輝きがまぶしい。「結婚してもどんなささやかでもいいから仕事をしていきたい」と語る彼女の意思をどうか尊重できる夫ディーパクであって欲しい。
配給によれば、どうやら円盤が出る可能性が薄いらしいので、是非まだ上映しているうちに映画館で見て欲しいところ。
人は人 自分は自分
混雑した車内に新郎新婦が数組いる中で、花嫁を取り違えてしまったことから始まる物語。
プールは保守的な家族観を重んじる女性、ジャヤは当時のインドにおいては先進的な価値観を持つ女性。
おそらく対極ともいえる価値観を持つふたりだが、それぞれが自分の価値観を信じ、それぞれに幸せの形を持っている。
異なる価値観を持つふたりは、相手の価値観を否定することにより自分の価値観の正しさを証明するのではなく、自分の価値観を純粋に信じることにより、揺るぎない正しさを得ている。
ジャヤの揺るぎない価値観が、最後にマノハル警部補の心を動かしたのだと思う。
個人的にはマンジュおばさんが好き。
優しさと芯の強さを持つ魅力的な人。
鑑賞動機:あらすじ8割、アミール・カーン2割
2001年という設定が絶妙だったのかも。今なら良くも悪くももっと簡単に見つかってしまうだろう。
花嫁二人も花婿二人も全く違うタイプを配置、見せ方/見せなさ方、脇の人物などなど、きちんと考えられているのだろうな。
海外向け仕様か長〜いダンスシーンはなくて、時間も2時間強。伝えたいことはしっかり伝わってきたと思う。警部補の描写の加減にも驚かされた。花嫁のどちらも否定しないところもよかった。
別の映画でも見かけたけど、駅の売店/屋台でチャイを売るのは定番なのかね。
20年後の今は
インドの伝統的男尊女卑にめまいがしそう。
これが21世紀の話なんて。
女性に生理用品を普及させ、自立のシステムを作っていく「パットマン」も、2001頃の話だった。
ジャヤの夫とその一族以外、良い人ばかり。悪玉と思っていた警部補が実は有能、人情味あふれる人物で、最後で胸のすく仕事をしてくれる。ハッピーエンドで良い話なんだが、「ジャヤの夫の前妻の焼死が、自殺だったのか殺されたのか」という話が頭に引っかかって、それ以降の話があまり入ってこなかった。
インドの田舎の嫁いびりは激しく、持参財が少ないとか子供を産まないとかで殺されたりすることもあり、特に生きながら焼き殺すという残酷な手口が多いらしい。法律で禁止されているが目が行き届かないため撲滅とはなっていないと数年前に読んだことがある。今はどうなのだろう。
仕事でインドのオフィスのインド人の女性とやり取りすることがあるが、皆さん普通にパソコンを使いこなし、普通に英文を書いて、仕事上のやりとりは成立する。少なくとも10年前でもそうだった。彼女たちは学校へ行き勉強して、現代の職種で就職できる人たちなのだろう。インドが輩出するIT技術者にも、女性はいる。
どこの社会でも、日本だってそうだが、古臭い価値観を頑なに捨てず、それを押し付ける人たちはいるし、それを当然とするコミュニティもあるし、そうでないところもある。混在するのは当たり前のことだが、インドの格差はひどすぎる。
これが2001年の話、女性の自立に向けて歩みだしたふたり。
そのころに差し込み始めた光が、20年経過した現在は大きなものになっているんだろうと思わせるものがある。自立のしかたを限定せず、それぞれにあったやりかたを肯定しているのも良い。
少女妻のプールがかわいい。ムキになって「私は母から家事をきちんと教わったわ!」と言い返すところ、めっちゃかわいい。彼女のパートは、ジブリ作品みたいでした。
ジャヤはひと目見てため息が出るほどのインド美人。知性溢れて強くたくましく、かっこいいです。頑張れ、と応援したい。
二人の美女とインドの風景、画が綺麗で良かったです。
インドの抱える問題をたくさん入れ込みながら、ミステリー要素も混ぜて、重苦しくならずさらっと描いて心温まるエンタメ作品に仕上げた監督・脚本の手腕はお見事。伏線の回収もばっちりでした。
署長ーー!
(涙)あんたって人は・・喋り方迄変わっちゃって、密かにあの娘推してたでしょ?
最初、登場人物が多くてちょっととっつき難かったけれど、ガールズムービーに振れたら俄然面白くなりました。残った方は美人系、迷子の方はカワイイ系、どっちもどんどんイキイキしてきましたね。
イラストのエンディング凄く良かったのに、結局インド風、残念!
時代設定が上手い
混雑したインド国鉄、列車内でベールを着けた花嫁を取り違えた花婿2人。喜劇かと思えば牧歌的ながら社会批判がありシリアス。
農村部の貧困、名誉殺人、女性の教育…。
いくらなんでも直ぐに花嫁が戻ると思えば、時代設定がスマホではなくガラケー初期なのでネット環境が未整備でまだIT先進国前なインド。
あれやこれやトラブル続き。ミステリー要素もあり。
汚職三昧で一見悪そうな警察署長が実は!?
主役の花嫁2人が正反対な美人&可愛いに秀才と純心と言うのも上手い!
因果応報とはまさにこの映画。面白くてあっという間の2時間。
インド映画は最高!!
花嫁の取り違いなんて日本では絶対起こり得ないのに、インドでは起きる。
いいことをすれば報われ、悪いことをすれば災難にあう。まさに因果応報。
見ていてスッキリしました。
インド映画のいいところは、話が分かりやすくしっかりしているところ。昨今の映像の綺麗さに頼りきって中身のないもしくは変に難しく見せかけている映画とは違う。
映像の綺麗さは横に置いても、話がきっちりしていたら、どんどん感情移入していく。日本の映画も見習って欲しい。
今のパチンコ代と一緒。映像や演出にこだわり過ぎて中身が薄い。こだわらないといけない所が間違えている。昔のゲームも同じ。ファミコン時代は土台がしっかり作られていて、単純な映像でも充分に楽しめる。しかも何度でも繰り返し遊べる。
この映画、エンディングに向かってどんどん面白くなっていく。最後は映画館で拍手が起きるくらいによく出来た作品。
見終わって振り返ると、出てきた人全てと仲良くなりたいくらい温かい人たち。
いい映画だなー。
最高の鑑賞後感&多幸感
久しぶりのインド映画鑑賞でした。
ダンス&歌唱がなく、すべて挿入歌で物語るところが
インド映画としては珍しいし、だから短くまとまったの
だろうと思います。
まず、花嫁がどこへ?のどこへ行ったのかわからなくなる
仕掛けがうまいなと思いましたが、
そんなことってある?とも。
いくらベールで顔を覆っているとは言え、
間違えないだろ!と。
迷子になる二人の花嫁ですが、
夫の住所のみならず実家の住所もよくわからないのが
わからないというか、インドの田舎ではこれが普通?
ちょっと理解に苦しみましたね。
警察の腐敗感も実際どうなの?と。
という疑問は軽く感じながらも、
プールのかわいさ、一途さ、まじめさ、
ジャヤの志、芯の強さ、それてミステリアスさ、
ディーパクの純朴さ、
駅の出店のおばちゃんの優しさなど、
観ていて気持ちが良かったし、
それらの人々がみんな報われるかのような
ラストのマノハル警部補の大岡裁きならぬマノハル裁きが
実に爽快で、胸のすく思いでしたね。
一方、いまだに女性蔑視的な扱いを受ける女性がいる
ことも、インドという国の社会問題なのでしょう。
大きく成長している国とは言え、まだまだ発展途上なの
でしょうね。
それにしてもこんな鑑賞後感が気持ちの良い作品は
久しぶりです。
劇場が笑顔に溢れる素晴らしい作品でした。
※本作鑑賞日は、宮崎映画祭を開催しており、
ロビーで芋生悠さんと遭遇できて嬉しかったです。
それぞれの人生の旅
二人の花嫁が自分の人生を切り開いていく姿を描いた素晴らしいインド映画でした。
聡明で行動力があり自ら前に進み通す花嫁と、無知ながらも出会う人に恵まれて世の中を知り自分の人生と向き合う花嫁。対照的な二人のキャラクターが魅力的で、それぞれの成長がしっかりと描かれています。
物語を通じて、彼女たちは人生に訪れたチャンスをしっかり掴み、未来へと踏み出します。
お互いの別れのシーンは涙無しには見れません。
映画館でも多くの人が泣いていました。
最後にレジからお守りが出てくるシーンはみんなとの再会を意味しており、なんとも感動的です。
「マヌケは恥ずかしくない、マヌケを誇る事が恥ずかしい」などの名言も印象的で、心に響くセリフが多くありましたね。
あの悪者かと思われた警官のラストも爽快です。
相棒の警官のラストのセリフも面白すぎる。笑
人生の機会を自分で掴みにいく事や、人との出会いがいかに重要かを教えてくれる作品で、最後まで笑えて泣けて幸せになれる本当に素晴らしい映画でした。
21世紀に入った頃のインド。大安吉日に 結婚式を終えた新郎ディーパ...
21世紀に入った頃のインド。大安吉日に
結婚式を終えた新郎ディーパク(スパーシュ・スリヴァスタヴァ)と新婦プール(ニターンシー・ゴーエル)。
国民的祝祭日とあって、ディーパクの村に向かう列車は、同じような新婚カップルで超満員。
花嫁は、みな同じような装束で、同じようなベールを被っている。
夜遅く最寄り駅に着いたが、うかうかして列車は発車間際。
ディーパクは、花嫁の手を取って急いで列車を降り、友人たちの迎えで実家に到着。
ベールを取った花嫁は、プールとは別の女性(プラティバー・ランター )だった・・・
というところからはじまる物語。
花嫁取り違えというベタネタは、日本や欧米では成立しないネタだろう。
そこへ「花嫁詐欺」のミステリ&コメディのミスリード味を加えて、おもしろおかしく描いていきます。
が、ふたりの花嫁の言動から、随所に女性の人権問題などが滲み出、おもしろおかしい中に、考えさせられます。
村の警察署長がコメディ部分を担ってい、ちょっとのんびりした笑いだなぁと思っていると、クライマックスでは機転を利かせた活躍で、うまくいく着地点へと導きます。
社会問題要素をはらんだインド映画といえば、00年代のマニラトラム監督作品を思い出すところですが、あちらはやや鋭利な感じ。
本作は、やんわりと包んでの王道娯楽作品。
アーミル・カーン製作らしい、楽しく真摯な作品でした。
面白かったねぇ!
インド映画にハズレを引いた試し無し!の私
「マダム・イン・ニューヨーク」
「めぐり逢わせのお弁当」
「ダンガル」
「パッドマン」
そして超が付くほど好きな
「バジュランギおじさんと、小さな迷子」
どれも最高の映画だった
で、今回の作品は・・・面白かったねぇ、やっぱり面白いよね~
二人の花嫁は、どちらが主役なのかわからないほど二人とも最高の主役でしたねぇ
駅で商売してるおかみさんやジャヤさんに微かな恋心を抱く友達の描き方もいいねぇ
で、この映画の本当の主役は警察署長さんというのも大好きだゎ
ちょっと~!そんな正義感、あなた賄賂もらいながらもまだ隠し持ってたんだぁと
おとぼけ部下との的外れな会話をニヤニヤしながら突っ込んでいました
いや~、インド映画ってホント、ハズレませんなぁ
結婚という契約
ジェンダー的にもいろいろ問題になりそうな社会背景があり花嫁の取り違え事件から徐々に明らかになっていきます。
インドの風景と伏線回収、アジア的な人情味がいいスパイスになっています。
突然始まるミュージカル的な展開もインド映画の味ですよね。
今より少し前のインドを舞台に二人の花嫁の取り違えを、人情味豊かに描いた人間ドラマの秀作です。インドでも、花嫁は夜汽車に乗って嫁いでいく♪ようです。
作品紹介を読んでいたらストーリーが良い感じ。・_・
インド映画といえば長時間作品が当たり前の中、この作品は
124分とお手頃♪ なこともあって鑑賞です。
鑑賞スタート。
今から約20年前のインドが舞台。都市部ではなく農村部。
鉄道は通っているが、その駅からバスに乗り換え、更にかなりの
距離を歩いてようやく辿り着く家の男が主役の一人。
見合い結婚なのだろうか。相手(嫁さん)の実家で披露宴。
その後、相手の実家に ” 祈りの期間 ” の2日間ほど滞在。
ようやく自分の村に戻ろうとする処からお話がスタート。
駅舎に着いて列車を待つ新婚の二人。
新婚の夫。名はティーパク。人柄は誠実そうだ。
新婚の妻。名はプール。まだ10代だろうか。若い。
ようやく列車に乗り込んだ二人。
プールは結婚式で身につける赤いベールを被っている。
嫁ぎ先に着くまではこのままなのだろう。顔も見えない。
列車の中は、ものすごい混雑。
何とかプールの座る場所を見つけて座らせるティーパク。
良くみると向かいの席にも赤いペールの女性がいた。
この女性の名はジャヤ。この時点では顔が見えない。 ・_・;
大安吉日には結婚式も多かったと見え、こちらも新婚のようだ。
その隣には男が座っている。夫か?
嫁の持参財(持参金のような財産らしいです)が多かった事の
自慢をしてきたりと、どうにもいけすかない。成金感あり。
途中の駅でも人の乗り降りは激しい。
ティーパクが買い物のため車内から外に出た時も、人が多く出入り
した。プールもジャヤも、座っていた場所を移動した。
そして戻ってきたティーパク。その事に気付かない。 …おーい。
やがて列車はティーパクの降りる駅に到着。
うとうとしていたティーパク、慌てて自分の席の近くにいる方の
赤いペールの女性の手を取り、その駅で下車して行く…。 …おーい。
そうと知らずに列車に乗り続けるプール。
終着駅(?)でティーパクが居ないことにようやく気付く。
途方に暮れるプール。その日は駅のトイレで一泊…。
次の日、列車が着く度ティーパクを探すのだが… いない。(涙)
どうしよう…。
困ったプールに救いの手が…
見かけよりずっと大人びた雰囲気の少年。そして
足が不自由で車輪のついた板で移動する男。
売店を経営し客を叱り飛ばす老婦人。
彼らが、プールを支えてくれた。
一方のティーパク。
連れ帰った妻がプールでは無いことが判明し家中が大騒ぎ。
プールを探さなければ。 …どこだ
間違って連れてきてしまった女性はジャヤという名前と分かった。
だが、どこから来て、どこに嫁ぐハズだったのかが分からない。
ジャヤを返さなければ。 …だから どこに?
このジャヤの正体は?
ジャヤが嫁ぐはずだった家からは、どうにもうさん臭い匂いが…。
持参金を持っての失踪かと、地元の警察も絡んできて…
さあ、花嫁プールは無事に夫の元に戻れるのか?
そして花嫁ジャヤに明るい未来は訪れるのか?
というお話。
◇
花嫁を取り違えて自分の家に連れ帰ってしまった男と間違えられた花嫁。
花婿に置き去られ離れた駅まで行ってしまい途方に暮れるもう一人の妻。
二人の妻をめぐる、間違われて行った先での出来事と、
嫁ぎ先の家の事情や実家の事情が折り込まれて、二人の人生の絵図が
次第に明らかになっていく、その描き方が素晴らしかったです。・_・ハイ
全く退屈することのない2時間と少々。
皆で踊る場面は無かったけれど (←これはどうでもいい)
満足のいく作品でした。
ハートフルなヒューマンドラマの秀作。
観て良かった。
※あの警部補、いつ改心したんでしょう… ?_? 謎
◇あれこれ
■タイトルについて
原題:Laapataa Ladies (ヒンディー語!)
邦題:花嫁はどこへ?
花嫁失踪事件みたいにも思えてしまうので、他にもっと
適切な邦題がつけられなかったかなとも思ったのですが
いざ考えてみるとこれが難しいです…
案1:攫われた花嫁と置き去られた花嫁 (…そのまんま)
案2:僕の嫁さんどこかへ行っちっち (いつのネタ…)
ネタばらしにならない邦題の付け方って難しいかも…
ちなみに原文を直訳すると、↓です。
翻訳:行方不明の女性 (by google翻訳先生)
これだと鑑賞意欲をそそらないかも…。というか尋ね人コーナー?
翻訳者の苦悩が分かります。
■プールが作ったお菓子(カラカンド)
プールが売店で出すメニューを考えて、作ったお菓子。
ミルクを煮詰めて固めたものだそうで、ドライフルーツをトッピング
すると、色合いも鮮やかでとても美味しそう。
売店のおばさんが、「サービスだよ」と、客に味見をさせたのはご愛嬌。
どんな味なのかな。 食べてみたくなりました。 ・-・
ババロアみたいな食感なのでしょうか?
◇最後に
ジャヤの結婚相手との決着をどう付けるのか心配しながら鑑賞していた
のですが、まさかの警部補ご乱心…の逆は何と言えば…?
まあ、痛快な展開だったので文句は無いです。 ・_・;
昔TVで観た警部マクロード。これの事件解決方法もこんな感じの展開
だった気がするのですが、どうだったか。(…遠い目)
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
顔のない花嫁たち
見た人誰もが幸せになれるような楽しいコメディー映画。いまだ残るインドの昔ながらの慣習なども学べて勉強になる。ところがこの慣習を調べてびっくり。これはコメディーどころかもはやホラーだ。いまだインドにおける女性を取り巻く酷い慣習には驚かされた。
筆舌に尽くしがたい陰惨な慣習と女性を襲う悲劇。出るわ出るわ女性たちの受難劇。これはコメディーの皮をかぶったホラー映画だ。
ヒンドゥー教やカースト制度の慣習がいまだ残るインドではいまだに女性の地位は低いまま。モディ首相の政策で女性の社会進出が進んではいるが、広大なインド、とりわけ貧しい地方などでは女性の暮らしは昔とあまり変わらない。
本作は今から二十年以上前のインドの田舎が舞台。持参金制度、児童婚など本作でも女性の受難を思わせるエピソードが描かれている。
主人公のディーパクはプールを見合い結婚で娶るが、見ての通りプールは幼い顔立ちで演じるのも十代の女優さん。これは明らかに児童婚を描いてる。
インドではいまだに持参金制度がまかり通り、嫁の側が婿側に持参金を用意しなければならない。たいていの家庭ではこの持参金負担が経済的に重くのしかかるため、胎児が女だとわかると堕胎してしまうという。そのため法律で出産前の性別検査を禁じたが、そのぶん生まれた女の嬰児の殺害が増加した。地域によっては男女の人口比で女性の割合が圧倒的に少ないのだという。
本編ではジャヤの夫が妊娠できない前妻を殺したと語られるけど、これは実際にインドで起きた持参金殺人を描いてる。嫁の持参金が少ないと夫やその親族から虐待を受けてひどい例では生きたまま焼き殺されるという事件も頻発した。年間でこの持参金殺人は8000件に及んだ時期もあった。
女性の受難はまだまだ続く。家父長制のインドでは女性は家事だけして家にいればいいので教育も受けさせてもらえない。プールのような子は知識も教養もないから夫の家でこき使われてもそれを当たり前のこととして疑問にも思わない。
教育を受けてないから稼ぐこともできず家事しかできない女は家ではお荷物扱い、だから早くに嫁に出される。いまだ処女崇拝がまかり通っているから嫁は幼いほど価値がありその分持参金は少なくて済む。児童婚が無くならない理由だ。これらは法律で禁じられていても現実に追いついていない。
ジャヤは独学で有機農業を学び、進学を希望したが親には逆らえず諦めて見合い結婚する。その時にあの花嫁取り違え事件が起きる。彼女にとっては結婚から逃れられるまたとないチャンスだった。そしてそれはプールにとっても。
世間知らずのプールは屋台のおばさんや仲間たちとの出会いで現実を知ることができた。屋台で商売も学んだ。結婚してもけして家庭におさまるつもりはない。彼女もこの事件をきっかけに自立心が芽生えた。
インドでの女性たちの受難は聞けば聞くほど悲惨で、以前世界を震撼させた集団レイプ殺人なんかも、その根底には家父長制を根源とする名誉殺人が関係してたり、男女比による未婚男性の増加、貧困によるストレスのはけ口として女性が犠牲になっていて、インド社会が抱える問題の根深さがうかがえる。
ただ女性たちもこれらの被害に甘んじてばかりではなく、女性同士結束して男社会の理不尽と戦っている。そういう女性たちの活動が国内いたるところで見られるという。
本編でもジャヤがディーパクの妹の絵の才能を生かして協力し合ってプールを探し出したり、ディーパクの母親とおばあちゃんの会話など女性同士のつながりが感じられるシーンがあって良かった。
出来れば女性警官のベラ君が最後悪党どもをコテンパンにしてジャヤを解放する展開に期待したんだけど、あの悪徳警官が意外にもいい奴でベラ君の活躍の機会を奪ってしまったのがちょっと残念。
女は男と目を合わさないようベールをかぶり目線は足元に。そんな古くからの女性を抑圧する慣習が原因で起きた取り違え事件が逆に抑圧された女性たちを解放するきっかけになるという何ともよくできたお話。
ベールに覆われて生きてきた顔のない女性たちはベールを取り去り、自らの顔(人格)をさらけ出して自分らしく生きられるようになった。それはきっと遠い未来のことではない。
インドの雰囲気を知る
ヒロイン二人が魅力的。インドの多面性も感じた。IT隆盛のイメージの一方、男尊女卑、貧富の差、伝統的家族主義に改めて驚く。知り合いの日本人がインドで働いているがこれは大変、、と実感した。謎の花嫁の方の謎行動が読めず、途中退屈なところがあったが、最後は畳みかける感じでさわやか。
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