花嫁はどこへ?のレビュー・感想・評価
全27件中、1~20件目を表示
スッキリした! 最高だ!
インドの婚礼にまつわる映画ということで、いまだ根強く残っている文化や風習なのでしょうか。田舎の農村から花嫁をつれて何時間も電車で揺られる2人旅。その風情、国内だけのあるある話を内輪で披露するだけでなく、世界の誰でも理解出来るように作られていたのか、何も苦も無く、そのお国柄に馴染むことが出来ました。その風情は美しくもあり、不便でもあり。もはや成人であろう花嫁さんが迷子になったぐらいで数日もはぐれ続けるなんて、なかなか文明の進まないインドならではの事情でしょうか。だからこそ、この映画が成立したのか、衣装の美しさが仇となって嫁さんを取り違えるだなんて、インドならではなのか、インド人もビックリなのか。
そんなインド事情も進化してゆく。「あ、ケータイはあるんだ」って驚くのも束の間(いや、今じゃ何処の国もスマホぐらい使っていると思うけど)。数は少なくとも電話はあるしFAXだってあるし、(この世界観で)ネットカフェが運営されているのにも驚いた。冒頭から続くインドの田舎事情のお披露目は立派な伏線だったのでしょうか。取り違えられた(言い方は悪いけど)ニセ嫁の彼女が進歩的な農業を学び、やがて高度に文化・文明が進むことを漂わせる背景の流れが一貫していて素晴らしい。農村に広がる農地の風景は最初と最後では違って見えてくるのが不思議。
それでもインド風情の映像がワンカットごとに素晴らしい。独特の音楽もデジタル化することなく、そのまま世界に持って行けそう。ラストシーンの歌声が実に透明で美しかった。
登場する人達も良いですね。主役の家族や寝たきりのお爺さん。駅に住み着く少年。売店のおばさんが何より良い味してます。最後の引き出しに締まった花嫁さんの忘れ物を大切に預かるのは、また逢えるだろうという大事な絆。人を愛することを知っている本当に良い人だと思う。
そして「怖い怖い」と怖がられていた警部補の人。その怖さを遺憾なく発揮して(ニセ嫁の)彼女を見事に救出した下りは本当にスッキリさせてくれました。圧巻の迫力ですなあ。
全ての人が(悪そうな人達も含めて)然るべき幸せそうな結末に至る、本当にスッキリさせてくれた素晴らしい作品でした。
大切なものは自分の中にすべてある、という物語
アーミル・カーンのプロデュース作ということで、『シークレット・スーパースター』とも連なる「インド社会における女性の地位と権利」を描いており、エンタメの枠内でやってのけていて非常にまとまりがよい。主人公2人の成長物語であるものの、最初から最後までふたりの本質的な印象や人格が変わるわけではないし、周りの人間も大きく変わったりはしない。最初はクソ野郎に見えた警部補が実は、という展開もインド映画らしい上手さだが、彼自信が別人になったわけではない。つまりは社会をより良くするためには、いとりひとりが自己を大変革しなければならないのではなく、自分自身が秘めている善性や良識に気づくことが大切である、という物語のように思う。最初はテーマの掘り下げが入門編の教科書的で物足りなく思ったのだが、今思えば、この「変わらない」ことを信じるポジティティと性善説のアプローチは、フィクションとして結構難しいことをやってのけたのではないか、という気がしている。
署長ーー!
(涙)あんたって人は・・喋り方迄変わっちゃって、密かにあの娘推してたでしょ?
最初、登場人物が多くてちょっととっつき難かったけれど、ガールズムービーに振れたら俄然面白くなりました。残った方は美人系、迷子の方はカワイイ系、どっちもどんどんイキイキしてきましたね。
イラストのエンディング凄く良かったのに、結局インド風、残念!
時代設定が上手い
混雑したインド国鉄、列車内でベールを着けた花嫁を取り違えた花婿2人。喜劇かと思えば牧歌的ながら社会批判がありシリアス。
農村部の貧困、名誉殺人、女性の教育…。
いくらなんでも直ぐに花嫁が戻ると思えば、時代設定がスマホではなくガラケー初期なのでネット環境が未整備でまだIT先進国前なインド。
あれやこれやトラブル続き。ミステリー要素もあり。
汚職三昧で一見悪そうな警察署長が実は!?
主役の花嫁2人が正反対な美人&可愛いに秀才と純心と言うのも上手い!
因果応報とはまさにこの映画。面白くてあっという間の2時間。
インド映画は最高!!
花嫁の取り違いなんて日本では絶対起こり得ないのに、インドでは起きる。
いいことをすれば報われ、悪いことをすれば災難にあう。まさに因果応報。
見ていてスッキリしました。
インド映画のいいところは、話が分かりやすくしっかりしているところ。昨今の映像の綺麗さに頼りきって中身のないもしくは変に難しく見せかけている映画とは違う。
映像の綺麗さは横に置いても、話がきっちりしていたら、どんどん感情移入していく。日本の映画も見習って欲しい。
今のパチンコ代と一緒。映像や演出にこだわり過ぎて中身が薄い。こだわらないといけない所が間違えている。昔のゲームも同じ。ファミコン時代は土台がしっかり作られていて、単純な映像でも充分に楽しめる。しかも何度でも繰り返し遊べる。
この映画、エンディングに向かってどんどん面白くなっていく。最後は映画館で拍手が起きるくらいによく出来た作品。
見終わって振り返ると、出てきた人全てと仲良くなりたいくらい温かい人たち。
いい映画だなー。
最高の鑑賞後感&多幸感
久しぶりのインド映画鑑賞でした。
ダンス&歌唱がなく、すべて挿入歌で物語るところが
インド映画としては珍しいし、だから短くまとまったの
だろうと思います。
まず、花嫁がどこへ?のどこへ行ったのかわからなくなる
仕掛けがうまいなと思いましたが、
そんなことってある?とも。
いくらベールで顔を覆っているとは言え、
間違えないだろ!と。
迷子になる二人の花嫁ですが、
夫の住所のみならず実家の住所もよくわからないのが
わからないというか、インドの田舎ではこれが普通?
ちょっと理解に苦しみましたね。
警察の腐敗感も実際どうなの?と。
という疑問は軽く感じながらも、
プールのかわいさ、一途さ、まじめさ、
ジャヤの志、芯の強さ、それてミステリアスさ、
ディーパクの純朴さ、
駅の出店のおばちゃんの優しさなど、
観ていて気持ちが良かったし、
それらの人々がみんな報われるかのような
ラストのマノハル警部補の大岡裁きならぬマノハル裁きが
実に爽快で、胸のすく思いでしたね。
一方、いまだに女性蔑視的な扱いを受ける女性がいる
ことも、インドという国の社会問題なのでしょう。
大きく成長している国とは言え、まだまだ発展途上なの
でしょうね。
それにしてもこんな鑑賞後感が気持ちの良い作品は
久しぶりです。
劇場が笑顔に溢れる素晴らしい作品でした。
※本作鑑賞日は、宮崎映画祭を開催しており、
ロビーで芋生悠さんと遭遇できて嬉しかったです。
それぞれの人生の旅
二人の花嫁が自分の人生を切り開いていく姿を描いた素晴らしいインド映画でした。
聡明で行動力があり自ら前に進み通す花嫁と、無知ながらも出会う人に恵まれて世の中を知り自分の人生と向き合う花嫁。対照的な二人のキャラクターが魅力的で、それぞれの成長がしっかりと描かれています。
物語を通じて、彼女たちは人生に訪れたチャンスをしっかり掴み、未来へと踏み出します。
お互いの別れのシーンは涙無しには見れません。
映画館でも多くの人が泣いていました。
最後にレジからお守りが出てくるシーンはみんなとの再会を意味しており、なんとも感動的です。
「マヌケは恥ずかしくない、マヌケを誇る事が恥ずかしい」などの名言も印象的で、心に響くセリフが多くありましたね。
あの悪者かと思われた警官のラストも爽快です。
相棒の警官のラストのセリフも面白すぎる。笑
人生の機会を自分で掴みにいく事や、人との出会いがいかに重要かを教えてくれる作品で、最後まで笑えて泣けて幸せになれる本当に素晴らしい映画でした。
21世紀に入った頃のインド。大安吉日に 結婚式を終えた新郎ディーパ...
21世紀に入った頃のインド。大安吉日に
結婚式を終えた新郎ディーパク(スパーシュ・スリヴァスタヴァ)と新婦プール(ニターンシー・ゴーエル)。
国民的祝祭日とあって、ディーパクの村に向かう列車は、同じような新婚カップルで超満員。
花嫁は、みな同じような装束で、同じようなベールを被っている。
夜遅く最寄り駅に着いたが、うかうかして列車は発車間際。
ディーパクは、花嫁の手を取って急いで列車を降り、友人たちの迎えで実家に到着。
ベールを取った花嫁は、プールとは別の女性(プラティバー・ランター )だった・・・
というところからはじまる物語。
花嫁取り違えというベタネタは、日本や欧米では成立しないネタだろう。
そこへ「花嫁詐欺」のミステリ&コメディのミスリード味を加えて、おもしろおかしく描いていきます。
が、ふたりの花嫁の言動から、随所に女性の人権問題などが滲み出、おもしろおかしい中に、考えさせられます。
村の警察署長がコメディ部分を担ってい、ちょっとのんびりした笑いだなぁと思っていると、クライマックスでは機転を利かせた活躍で、うまくいく着地点へと導きます。
社会問題要素をはらんだインド映画といえば、00年代のマニラトラム監督作品を思い出すところですが、あちらはやや鋭利な感じ。
本作は、やんわりと包んでの王道娯楽作品。
アーミル・カーン製作らしい、楽しく真摯な作品でした。
面白かったねぇ!
インド映画にハズレを引いた試し無し!の私
「マダム・イン・ニューヨーク」
「めぐり逢わせのお弁当」
「ダンガル」
「パッドマン」
そして超が付くほど好きな
「バジュランギおじさんと、小さな迷子」
どれも最高の映画だった
で、今回の作品は・・・面白かったねぇ、やっぱり面白いよね~
二人の花嫁は、どちらが主役なのかわからないほど二人とも最高の主役でしたねぇ
駅で商売してるおかみさんやジャヤさんに微かな恋心を抱く友達の描き方もいいねぇ
で、この映画の本当の主役は警察署長さんというのも大好きだゎ
ちょっと~!そんな正義感、あなた賄賂もらいながらもまだ隠し持ってたんだぁと
おとぼけ部下との的外れな会話をニヤニヤしながら突っ込んでいました
いや~、インド映画ってホント、ハズレませんなぁ
結婚という契約
ジェンダー的にもいろいろ問題になりそうな社会背景があり花嫁の取り違え事件から徐々に明らかになっていきます。
インドの風景と伏線回収、アジア的な人情味がいいスパイスになっています。
突然始まるミュージカル的な展開もインド映画の味ですよね。
今より少し前のインドを舞台に二人の花嫁の取り違えを、人情味豊かに描いた人間ドラマの秀作です。インドでも、花嫁は夜汽車に乗って嫁いでいく♪ようです。
作品紹介を読んでいたらストーリーが良い感じ。・_・
インド映画といえば長時間作品が当たり前の中、この作品は
124分とお手頃♪ なこともあって鑑賞です。
鑑賞スタート。
今から約20年前のインドが舞台。都市部ではなく農村部。
鉄道は通っているが、その駅からバスに乗り換え、更にかなりの
距離を歩いてようやく辿り着く家の男が主役の一人。
見合い結婚なのだろうか。相手(嫁さん)の実家で披露宴。
その後、相手の実家に ” 祈りの期間 ” の2日間ほど滞在。
ようやく自分の村に戻ろうとする処からお話がスタート。
駅舎に着いて列車を待つ新婚の二人。
新婚の夫。名はティーパク。人柄は誠実そうだ。
新婚の妻。名はプール。まだ10代だろうか。若い。
ようやく列車に乗り込んだ二人。
プールは結婚式で身につける赤いベールを被っている。
嫁ぎ先に着くまではこのままなのだろう。顔も見えない。
列車の中は、ものすごい混雑。
何とかプールの座る場所を見つけて座らせるティーパク。
良くみると向かいの席にも赤いペールの女性がいた。
この女性の名はジャヤ。この時点では顔が見えない。 ・_・;
大安吉日には結婚式も多かったと見え、こちらも新婚のようだ。
その隣には男が座っている。夫か?
嫁の持参財(持参金のような財産らしいです)が多かった事の
自慢をしてきたりと、どうにもいけすかない。成金感あり。
途中の駅でも人の乗り降りは激しい。
ティーパクが買い物のため車内から外に出た時も、人が多く出入り
した。プールもジャヤも、座っていた場所を移動した。
そして戻ってきたティーパク。その事に気付かない。 …おーい。
やがて列車はティーパクの降りる駅に到着。
うとうとしていたティーパク、慌てて自分の席の近くにいる方の
赤いペールの女性の手を取り、その駅で下車して行く…。 …おーい。
そうと知らずに列車に乗り続けるプール。
終着駅(?)でティーパクが居ないことにようやく気付く。
途方に暮れるプール。その日は駅のトイレで一泊…。
次の日、列車が着く度ティーパクを探すのだが… いない。(涙)
どうしよう…。
困ったプールに救いの手が…
見かけよりずっと大人びた雰囲気の少年。そして
足が不自由で車輪のついた板で移動する男。
売店を経営し客を叱り飛ばす老婦人。
彼らが、プールを支えてくれた。
一方のティーパク。
連れ帰った妻がプールでは無いことが判明し家中が大騒ぎ。
プールを探さなければ。 …どこだ
間違って連れてきてしまった女性はジャヤという名前と分かった。
だが、どこから来て、どこに嫁ぐハズだったのかが分からない。
ジャヤを返さなければ。 …だから どこに?
このジャヤの正体は?
ジャヤが嫁ぐはずだった家からは、どうにもうさん臭い匂いが…。
持参金を持っての失踪かと、地元の警察も絡んできて…
さあ、花嫁プールは無事に夫の元に戻れるのか?
そして花嫁ジャヤに明るい未来は訪れるのか?
というお話。
◇
花嫁を取り違えて自分の家に連れ帰ってしまった男と間違えられた花嫁。
花婿に置き去られ離れた駅まで行ってしまい途方に暮れるもう一人の妻。
二人の妻をめぐる、間違われて行った先での出来事と、
嫁ぎ先の家の事情や実家の事情が折り込まれて、二人の人生の絵図が
次第に明らかになっていく、その描き方が素晴らしかったです。・_・ハイ
全く退屈することのない2時間と少々。
皆で踊る場面は無かったけれど (←これはどうでもいい)
満足のいく作品でした。
ハートフルなヒューマンドラマの秀作。
観て良かった。
※あの警部補、いつ改心したんでしょう… ?_? 謎
◇あれこれ
■タイトルについて
原題:Laapataa Ladies (ヒンディー語!)
邦題:花嫁はどこへ?
花嫁失踪事件みたいにも思えてしまうので、他にもっと
適切な邦題がつけられなかったかなとも思ったのですが
いざ考えてみるとこれが難しいです…
案1:攫われた花嫁と置き去られた花嫁 (…そのまんま)
案2:僕の嫁さんどこかへ行っちっち (いつのネタ…)
ネタばらしにならない邦題の付け方って難しいかも…
ちなみに原文を直訳すると、↓です。
翻訳:行方不明の女性 (by google翻訳先生)
これだと鑑賞意欲をそそらないかも…。というか尋ね人コーナー?
翻訳者の苦悩が分かります。
■プールが作ったお菓子(カラカンド)
プールが売店で出すメニューを考えて、作ったお菓子。
ミルクを煮詰めて固めたものだそうで、ドライフルーツをトッピング
すると、色合いも鮮やかでとても美味しそう。
売店のおばさんが、「サービスだよ」と、客に味見をさせたのはご愛嬌。
どんな味なのかな。 食べてみたくなりました。 ・-・
ババロアみたいな食感なのでしょうか?
◇最後に
ジャヤの結婚相手との決着をどう付けるのか心配しながら鑑賞していた
のですが、まさかの警部補ご乱心…の逆は何と言えば…?
まあ、痛快な展開だったので文句は無いです。 ・_・;
昔TVで観た警部マクロード。これの事件解決方法もこんな感じの展開
だった気がするのですが、どうだったか。(…遠い目)
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
顔のない花嫁たち
見た人誰もが幸せになれるような楽しいコメディー映画。いまだ残るインドの昔ながらの慣習なども学べて勉強になる。ところがこの慣習を調べてびっくり。これはコメディーどころかもはやホラーだ。いまだインドにおける女性を取り巻く酷い慣習には驚かされた。
筆舌に尽くしがたい陰惨な慣習と女性を襲う悲劇。出るわ出るわ女性たちの受難劇。これはコメディーの皮をかぶったホラー映画だ。
ヒンドゥー教やカースト制度の慣習がいまだ残るインドではいまだに女性の地位は低いまま。モディ首相の政策で女性の社会進出が進んではいるが、広大なインド、とりわけ貧しい地方などでは女性の暮らしは昔とあまり変わらない。
本作は今から二十年以上前のインドの田舎が舞台。持参金制度、児童婚など本作でも女性の受難を思わせるエピソードが描かれている。
主人公のディーパクはプールを見合い結婚で娶るが、見ての通りプールは幼い顔立ちで演じるのも十代の女優さん。これは明らかに児童婚を描いてる。
インドではいまだに持参金制度がまかり通り、嫁の側が婿側に持参金を用意しなければならない。たいていの家庭ではこの持参金負担が経済的に重くのしかかるため、胎児が女だとわかると堕胎してしまうという。そのため法律で出産前の性別検査を禁じたが、そのぶん生まれた女の嬰児の殺害が増加した。地域によっては男女の人口比で女性の割合が圧倒的に少ないのだという。
本編ではジャヤの夫が妊娠できない前妻を殺したと語られるけど、これは実際にインドで起きた持参金殺人を描いてる。嫁の持参金が少ないと夫やその親族から虐待を受けてひどい例では生きたまま焼き殺されるという事件も頻発した。年間でこの持参金殺人は8000件に及んだ時期もあった。
女性の受難はまだまだ続く。家父長制のインドでは女性は家事だけして家にいればいいので教育も受けさせてもらえない。プールのような子は知識も教養もないから夫の家でこき使われてもそれを当たり前のこととして疑問にも思わない。
教育を受けてないから稼ぐこともできず家事しかできない女は家ではお荷物扱い、だから早くに嫁に出される。いまだ処女崇拝がまかり通っているから嫁は幼いほど価値がありその分持参金は少なくて済む。児童婚が無くならない理由だ。これらは法律で禁じられていても現実に追いついていない。
ジャヤは独学で有機農業を学び、進学を希望したが親には逆らえず諦めて見合い結婚する。その時にあの花嫁取り違え事件が起きる。彼女にとっては結婚から逃れられるまたとないチャンスだった。そしてそれはプールにとっても。
世間知らずのプールは屋台のおばさんや仲間たちとの出会いで現実を知ることができた。屋台で商売も学んだ。結婚してもけして家庭におさまるつもりはない。彼女もこの事件をきっかけに自立心が芽生えた。
インドでの女性たちの受難は聞けば聞くほど悲惨で、以前世界を震撼させた集団レイプ殺人なんかも、その根底には家父長制を根源とする名誉殺人が関係してたり、男女比による未婚男性の増加、貧困によるストレスのはけ口として女性が犠牲になっていて、インド社会が抱える問題の根深さがうかがえる。
ただ女性たちもこれらの被害に甘んじてばかりではなく、女性同士結束して男社会の理不尽と戦っている。そういう女性たちの活動が国内いたるところで見られるという。
本編でもジャヤがディーパクの妹の絵の才能を生かして協力し合ってプールを探し出したり、ディーパクの母親とおばあちゃんの会話など女性同士のつながりが感じられるシーンがあって良かった。
出来れば女性警官のベラ君が最後悪党どもをコテンパンにしてジャヤを解放する展開に期待したんだけど、あの悪徳警官が意外にもいい奴でベラ君の活躍の機会を奪ってしまったのがちょっと残念。
女は男と目を合わさないようベールをかぶり目線は足元に。そんな古くからの女性を抑圧する慣習が原因で起きた取り違え事件が逆に抑圧された女性たちを解放するきっかけになるという何ともよくできたお話。
ベールに覆われて生きてきた顔のない女性たちはベールを取り去り、自らの顔(人格)をさらけ出して自分らしく生きられるようになった。それはきっと遠い未来のことではない。
インドの雰囲気を知る
ヒロイン二人が魅力的。インドの多面性も感じた。IT隆盛のイメージの一方、男尊女卑、貧富の差、伝統的家族主義に改めて驚く。知り合いの日本人がインドで働いているがこれは大変、、と実感した。謎の花嫁の方の謎行動が読めず、途中退屈なところがあったが、最後は畳みかける感じでさわやか。
インド人もびっくりの大岡裁き
2001年のインドの農村が舞台。
インドの結婚事情と鉄道事情。
乗りたくないですね〜あの列車。
いまや世界一の人口でIT大国のインド。
2024年制作。
あどけないプールちゃんとプシュアさん(ホントの名はジャヤ)はだいぶ年齢も離れてる。結婚詐欺師が疑われていた時には菜々緒タイプのメイクでスパイみたいだったのが、後半は蒔田彩珠似。メイクで変わるもんですね。美人さんは。
盗んだ?ケータイのSIMカードを焼いて捨てたり、お寺に行くと言って出かけて、金のブレスレットを売ったり。有機農業とか言ってたけど、ネカフェ活用なんかはIT系だったような。インドの農業はもともと化学肥料なんか使わなくて、牛さんのうんち(天然肥料)しか使わないんじゃないの?とか思っちゃいました。
要所、要所に牛さんの出番がありますし。
プールちゃんはまだ16才。
列車の窓から身を乗り出すシーンは「ハジュランギおじさんと小さな迷子」を思い出しました。
あの警部補。
写真機持ってジャヤを尾行する場面。佐藤二朗みたいな芸風。
駅のホームで屋台のファストフード商売をしているおばさんは貫禄あって、倍賞美津子みたいだった。映画「糸」の子供食堂の倍償美津子を思い出していました。チャツネを2度付けするおじさんを叱りつける場面なんか、串あげにソースを2度付けして怒られたような気分になってしまいました。
こういった女性の自立のお話は男もやさしく諭された気分で、素直に言う事聞いちゃいますねー
原題のダブルミーニングが秀逸!
インド発ハートフルコメディ、コレ絶対いいやつだし!と思ってみたら、、やはり…‼︎ (^-^)
インパクト大な警察署長が影の立役者 笑
噛みタバコであのクチだったのね。
ナンテコッタな出来事はあくまできっかけ。物語は対照的な2人の女性の「自分探し」にありましたねえ。
わずかな期間ながら暮らしを一にしたそれぞれの出会いや葛藤が、優しかったなあ。
ラストで互いに抱き合う2人。あなたのおかげで私は家にたどり着けたというプールに対して、あなたがいたから自分を見つけられたと返すジャヤ。最高のラストシーンでした。よきよき!
「家」を世界に生きる女性もいれば、「世界」を家に生きる女性もいるわけで、それを自由に選択できることがニンゲンとして当然の権利ではないか、ということを何ともハートフルかつチャーミングに描いた良作でした!
説教くささがなくてよい 笑
また作風もインド映画っぽくなくて、アメリカ映画のようなタッチでしたがどうでしょう?見やすいと言えば見やすかったですね。今後はこの方向性の作品が増えるのかもしれませんね。
面白い映画の要素がしっかり詰め込まれた本作。
エンドロールのイラストで最後までホッコリでした。
***
国別のジェンダーギャップランキングを眺めると、宗教と文化が強く結びつく地域の国々がより深いギャップを抱えていることがわかります。
2024年ランキングではインドは129位と…(^_^;)
ずっと変わらない感じ。これはなかなか根深そうな。
脱線しますが、我が国・日本は神道が根っこにあり、無宗教というかあらゆる宗教をないまぜにしたようなお国柄なので、より先進的であってもおかしくないはずなんですが、、インドとは違う意味での根深い民俗文化があるのでしょうね。強いジェンダーギャップ(ランキング118位・昨年まではインドとほとんど同じ順位…)が存在します。
この問題は全く他人事ではないようですが?
すべての女性にエールを!
日本ではありえない花嫁取り違えというシチュエーションから始まるドラマ。
ワタクシ、まだまだ昭和おやじ、男尊女卑の何が・・おっとここまでの世代ですが、
終盤になるについて涙腺がほろほろとくるお話でした。
花嫁の二人だけではなく姑と大姑、小姑やシングル強く生きる女性までも
思わず頑張ってとエールを贈りたくなるような人物描写もとてもいい!!
花嫁二人の演技はもちろんすべての登場人物が魅力的で
この村の日常をもっといろいろ見てみたくなるそんな世界観を堪能できました。
続演いらずの終わり方ですが、続編があっても見たくなるような
心地よい余韻のある映画です。
出会いっていいなぁ
劇場スルー予定だったのですが、皆さんの評判がとても良かったので鑑賞。
結論、久しぶりのあたたかで優しい映画で、
劇場で観てよかったなぁと。
ふたりの花嫁が入れ替わる過程が丁寧で「どうなる、どうなる」と物語に入り込むことができるし、後ろで流れるインド音楽にもわくわくさせられて、ストレスのない始まりが好印象だった。
プールの旅は、彼女の成長や、見知らぬ駅で出会う人々との交流を通じて新たな気づきを得る様子が瑞々しく、微笑ましく見守ることができたし、一方で間違った嫁ぎ先に導かれたジャヤは、彼女自身にいったいどんな目的があるのか?どんな過去を送ってきたのか?と、キャラ自体が気になる作りとなっていて、ディーパク、彼の友人、家族たちと次第に信頼関係を結んでいく様とあわせて飽きずに観ることができた。
(隣の男性は途中しっかり寝ていたけれど笑)
爽やかで軽やかなエンディング、悪徳警官だと思っていた警部補がかなり粋ないい人であったこと、ふたりの花嫁のこれからのゆく先がきっと幸せであろうと想像できる収まり方などが特に素晴らしかったなぁ。
ただ、その反面、思った以上に残酷でえげつないジャヤの夫(事実存在する)や、息苦しい側面が残るインドの結婚文化や女性の立場などに暗い気持ちにもなった。
女性が「学びたい」「働きたい」という思いを成就させるために、何故ここまであがき、苦しみ、訴えないといけないのか…古くから継承される文化観や信仰など、傍から見たら「なんでそんなこと?」と思うようなことでも、事実それを大切に、尊重している人々は沢山いて、簡単には変えられない部分なんだろうなぁと、やるせない気持ちになった。
でも、すべてがこのままじゃいけないよね、と、あたたかく優しい物語で包みながらも、確かなメッセージとして残すこの映画が、小さな希望にも感じる。
全体として好みな映画だったが、特にプールの一連の冒険にはところどころで涙した。
当たり前のように従順に嫁ぐことしか考えてこなかったプール。
そのために家事スキルを磨いてきた奥ゆかしい彼女が自分の特技を活かして働き、その対価としてお金を得るという初めての経験をしたり、必ずしも守ってくれる存在がいなくてもひとりで幸せに生きていくことは可能であることを知る。
ただ親に従い、ただ夫に着いていくだけでなく、自分で考え動き、生き抜く強さを得ていく姿が本当に本当に感動的だった。
ここの丁寧な描写があったからこそ、頑なに夫の名前を口にすることを拒んでいたプールが「ディーパク!」と呼びかけるシーンがこの上なく輝くし、やっと再会できたふたりの間の愛が強固なものだと信じることが出来る。
ひとり旅経つジャヤと違ってプールは予定通り嫁ぎ妻となりますが、あの駅で過ごした数日間は、プールを確実に変え、大きく成長させたはず。
彼女はこれから愛する夫との幸せな暮らしのためだけでなく、何より自分自身の幸せのために凛として生きていくことが出来ると思う。
この先どんなことがあっても、きっともう迷うことはない。
それが感じられて、わたし自身勇気をもらうことができた。
人との出会いは、良くも悪くも自分を変えるし、人生を変える。
最悪だ、と思う出会いもあるにはあるけれど、
人と出会い、自分の世界を広げることを恐れずにいたいな。
最後に、
好きなシーンは沢山あったけれどその中でも群を抜いて一番好きだったのは、
警察署を飛び出したジャヤを見送りながら警部補が呟いた言葉。
うん、彼女はどこまでも行きますね。
インドあるある?
映画「ライオン」を思い出しながら鑑賞。
とにかく人が多くて迷子になってもおかしくないもんね…今も変わらないんだろうか?
ベールのままの写真には笑った。
汚職まみれの警察官。
これもあるあるだけど、今回は意外だった。
たまにはいいとこある?
派手さはないがしみじみと。
しかし女性の地位は相変わらずなんだなと思わされた。
これは…今はどうなんだろうね。
インドの闇を照らす小さな光のような映画
インドの社会問題をエンターテインメント映画にして大ヒットを連発するインドの至宝、アーミル・カーン製作、元奥さんキラン・ラオ監督の本作。今回はインドの田舎村の若い女性を取り巻く問題を取り上げます。
幼妻、プール
新婚の彼女は新郎ディーパクさんに連れられ、はるか離れた新郎の村を目指し、列車の旅に出ます。車内にはたまたま複数の新婚カップルが。新婚の花嫁はみな赤いベールを深々と被り、顔を覆っています。女性の尊厳を守るためのベールは女性の自由を奪うものでもあります。プールはひょんなはずみでディーパクとはぐれ、一人見知らぬ駅に取り残されてしまいます。今更実家に戻るわけにもいかず、夫の村の名前も分からない。ああ、インドならありうるかも…。インドで迷子になったら死ぬかも…。若い女性が一人でいたら殺されちゃうかも…。スマホもないし連絡手段もありません。インドは治安のいい日本とは違います。もう生きるか死ぬかのピンチです。外では男たちがうろついており、彼女は駅のトイレに隠れて夜を明かします。そんな彼女は駅に住み着いた物乞いの二人組と売店のおばちゃんらに助けられ、命拾いします。まさに助け合い精神。捨てる神あれば拾う神あり。貧しいもの同士が助け合って生きる姿を見ていると、古き良き日本の姿や人情という言葉を思い出します。
売店で働く肝っ玉おばちゃん。彼女は暴力夫と別れ、貧しいながらも自立した生活を営んでいます。プールは彼女らとのふれあいの中で視野を広げていきます。母から仕込まれたお菓子作りの腕を発揮し、生まれて初めて自分の力でお金を稼ぎます。
もしディーパクと再会できたとして、駅に寝泊まりしたような自分を、新郎と家族は受け入れてくれるのか。プールさんの不安の種は尽きません。
新妻、ジャヤ
親の決めた裕福な相手との結婚が決まりましたが、本心では結婚なんかせずに大学で農業の勉強をしたいと願う彼女。彼女もまた新郎に連れられ列車の旅に。ひょんなことで新郎の元を逃げ出し、ディーパクの村へ潜り込み、偽名を使って村に居座ります。彼女の作戦はなんとか新郎から離れ大学へ行くこと。でも警察に身元を暴かれ、金目当ての結婚詐欺犯として留置所に入れられてしまいます。そして本物の新郎が彼女を迎えにやってきて、ジャヤに人生最初にして最大のピンチが訪れます。
プールは夫を支え、伝統に従って生きようとする、良妻賢母型の女性です。ジャヤは古い因習から逃れ大学で高等教育を受けることを望む、新しい生き方を模索する女性です。本作の脚本の素晴らしいところは、全く異なる2つの生き方を、どちらも肯定的に描いていることだと思います。二人の女性の間には対立や分断はなく、相互理解があります。日本のフェミニズム活動家の中には、自分の生き方を肯定したいために相手の生き方を否定するような言動をされる方がいますが、本作にはそんな人は出てきません。今後インドでも日本のように先鋭的なフェミニズム活動家が出てくるのか、興味深いところです。
二人の新郎
プールの新郎ディーパクは田舎の純朴な青年です。彼は良い夫代表です。ジャヤの新郎は金持ちの嫌な奴。ジャヤを殴りつけ持参金を奪い取ります。前妻は子供ができなかったために焼死しており、自殺なのか他殺なのかも分かりません。彼は悪い夫代表です。新郎たちのキャラクターはもう完全なステレオタイプで描かれています。インドの女性の運命は良い夫と巡り合うか悪い夫と巡り合うかで、大きく変わってしまうのでしょう。
警察官マノハール
賄賂は受け取るわ、暴力は振るうわ、まさに権力を笠に来た横暴警官です。ですが、ジャヤの真実、彼女は貧困から立ち上がる力と知性を兼ね備えた女性であることを知ったとき、彼はその権力を利用して悪い夫を退治します。この警官は善悪を兼ね備えた存在であり、ステレオタイプの夫たちに比べると複雑なキャラです。本作では非常に大事な役割を果たしています。当初アーミル・カーンが演じる予定だったそうですが、ラヴィ・キシャンのはまり役のようです。
本作ではインドの女性たちを取り巻く様々な問題が描かれています。親の決めた相手との結婚と持参金の負担。町へ出稼ぎに出た夫に会えずに笑顔を忘れた新妻。夫の写真もないため、彼女は自分で描いた夫の絵を大切に持っています。夫の好みの料理を作り続け、自分の好みを忘れてしまった女たち。ネットで「インド 妻 殺す」で検索すると、悲惨な記事が山のようにヒットします。『持参金が少なかったからと、夫の家族らが新婦を殺害する持参金殺人も相次いでいる。最悪期の2011年には年間8618人の女性が犠牲になった』という記事などを読むと暗澹たる気持ちにさせられます。本作はハートウォーミングのハッピーエンドで幕を閉じましたが、現実社会はどうなのか。現実社会の闇と貧困が深いほど、作り物である映画は輝くのかも知れません。戦後日本がそうであったように。その意味ではこれからもインドでは面白い映画が作られ続けることでしょう。貧困から立ち上がろうとする力こそ、面白い映画の原動力なのかも。そして本当の闇は娯楽映画で描くことなどできません。
本作では幼妻プールを演じたニターンシー・ゴーエルさん、ジャヤを演じたプラティバー・ランターさん、日本語字幕を担当した福永詩乃さん、3人の若い女性の才能が輝いています。中でもニターンシー・ゴーエルさんは本作でブレイクを果たしたそうです。youtubeチャンネルも登録者数59万人と大人気です。本作で演じた貧しく健気な幼妻役と華やかな現実生活との落差が楽しめます。夢を掴み大都市で西洋化した暮らしを謳歌するスターや富裕層たち。一方中世のような暮らしのまま置いていかれる田舎村の住民たち。インドって、大きくて複雑で面白い国です。日本のように簡単には西洋に飲み込まれることはないでしょう。
向日葵の約束
インドの文化や価値観が分からないこともあり、飲み込みづらい部分はあったが、なかなか楽しめた。
取り違えに関しては、(あんなにみんな同じベール被るのかは不明ながら)自然な流れ。
靴は見えなかったが、夫側の顔やスーツも似通ってたし。
話はディーパク、ジャヤ、プール、警部補(署長じゃないのね)の視点で描かれる。
分かり易いクズであるジャヤ側の夫は一旦フェードアウトし、悪者ポジションと察する。
流れ自体はよいのですが、中盤がちょっと退屈。
挿入歌で心情を語りつつダイジェストを見せる演出は特にインド映画では定番ですが、サスガに多い。
一方は村の中、もう一方は駅の中がほとんどなので画的な変化にも乏しい。
コメディ部分もクスッとする場面は多いがやや弱かった。
ディーパクのちょっとした一言からプールが警察を嫌がったりなど、細部の構成は上手い。
ジャヤの秘密から夫婦の再会の流れは爽快。
警部補が急にいい人になりすぎだけど、賄賂はがっぽり懐に入れてるからギリ許容範囲かな。笑
煩くない程度に社会的なテーマが入ってるのも良い。
ジャヤの将来の旦那候補の匂わせも丁度いい。(通訳からの「お前も行け」は笑った)
視点が分散したぶん、関係性の掘り下げが浅めなのは残念。
特にディーパクとジャヤはもっと絡んでほしかったし、議員関連と足が無いフリをしてた男は不要では。
ただ、勧善懲悪かつその他のキャラが全方位ハッピーエンドな結末は後味よく素敵です。
全27件中、1~20件目を表示