エストニアの聖なるカンフーマスターのレビュー・感想・評価
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お手軽カルト体験
この映画を深く理解するのにキリスト教についてある程度の素養がないと厳しいと思う。
主人公が首から下げている十字架と、修道院の皆がかけている十字架が違う。
ロシア正教vsカトリック。まずはこれが根底にある。
日本人が想像するキリスト教は十字架のジーザスだったりするが、ロシア正教はイコン画。イコンの涙。ゴルゴダの丘に車を運ぶ…イメージの数々。
こういった宗教を皮肉ったカルト映画がある。
『エル・トポ』だ。
ポップで観やすいエルトポに近い何かを感じた。
いいこと、言ってんだよなぁ、愛とか
始まり方は面白い!4分近くセリフがないんだけど、面白い!わかりやすいワイヤーアクションだけど、昔のカンフー映画っぽさもあって良かった!
効果音の入れ方も香港映画っぽいよね。ちょっとくどいけど、そこは「こだわり」としておきましょう。
ダンスバーでのシーンなんかはインド映画っぽさもあったね。革ジャン着て昔のアメリカンスタイルっぽいのも一周回ってカッコいいよね。
カッコいいといえば、ブラックサバス!アクションシーンに合ってるよね。「カンフー+ブラックサバス」で十分美味しい。そこに「エストニア」という民族性が加わって、面白いケミストリーを生んでるよね。
ただそこに「信仰」を加えることで、逆に振り切れることが難しくなったのかも。カンフーマスターになるために信仰を深めるってプロットが「正しさ」ベースになっちゃったんだよね。「信仰心」と「俗世間」のはざまで、っていう葛藤が作風とうまく噛み合ってない部分があるというか、、、
ま、邦題に「聖なる」ってついてるのはここの部分からなんだろうけどね。昔のカンフー映画だったら例えば「少林寺木人拳」のテイストかなあ?あれも信仰の場で修行するって内容だけどさ。
色んな要素を足していって、よく分からない色になっちゃいました、って感じかな。これはこれで好む人多いから面白いとは思うけどね。個人的にはゴールが見えないというか、、、カンフーマスターになりたい動機があってこその修行という流れが欲しかったというか、、、
インパクトはあるし、嫌いじゃないんだけど、ちょっと毒気が物足りないって感じかなあ。比較にはならないけど「サイコ・ゴアマン」くらいの「毒」が欲しかったなあ、と。
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