残照のかなたにのレビュー・感想・評価
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大どんでん返しの裏付け
言わんとすることはわからないわけではないが、焦点にブレがあるように思ってしまう。
もうじき自分が死ぬ頃だと思っていたら、若い看護師の方が先に死んだ。
これが大どんでん返しとなっている。
たった三日で胃がんによる死
医者と看護師長とのやり取りから、配属が決まったときにはすでにガンは発見されていたようだ。
本人も悩みぬいた末に仕事をすることを選択した。
どちらが先に死ぬのか?
看る方と看られる方
看られる方は自分の病名も死期も概ね理解した上なのだが、看る方はそれを隠さなければならない。
そして極端な若さで余命宣告された葛藤さえ表情に出さないことなどあるだろうか?
それを老人の眼から見ているのがこの物語だ。
また、
お決まりなのが作品の中にタイトルがある。
映画「キャラクター」がそれをすでに打ち破っている。
残照とは情熱だろうか?
かつてはあったが今ではもう湧き起らなくなってしまった。
書きたいものがない。
それは老いたからというわけではないということをこの作品は伝えたいのだろう。
それゆえ、奮起すれば情熱は再び沸き起こる。
彼女は屋上でダンスを披露する。
そこに込めたものは直に死ぬ自分自身の情熱。
決して言葉にはできない裏返しをダンスに込めた。
彼女の死によって作家は最後まで書き上げることができたのだろう。
そこに老人の想いを垣間見ることはできるが、それが老人の視点であるが故、看護師の想いがうまく見えないままになってしまっている。
ここにどうしても解釈の難しさが出てしまうのだ。
老人は当然看護師のガンなど知るわけはない。
結果、彼女の方が先に亡くなっていた。
老人は訳を聞かされてもキツネにつままれたようでしかない。
小説を書き上げたのは良いが、彼女の死という現実味がどうしても感じないのだ。
そこが惜しかった。
唖然、茫然
実際の信州上田の丸子中央病院を舞台に、肺がんで余命いくばくもない孤独な老作家新藤幸一郎(林与一)とダンス好きで天真爛漫な少女看護師滝田希美(岩瀬あんな)の出会いの日々を描いた短編。
彼女はコンテンポラリーダンスと言っていたが田中 泯さんの踊りの様、なんと振り付けはジャッキー・ウー監督とか、監督は横浜中華街生まれの日中ハーフ、香港をはじめ欧州、ハリウッドでも俳優、プロデューサーとしても活躍中とか。
全編、ギタリストの石田 忠さんの奏でるアコースティックな響きが流れ、病院から見える信州の自然とマッチして心に沁みわたりました。
まるで孫のような看護師に残された人生を逞しく生きる勇気をもらった矢先、とんでもない展開、まさか、そんなストーリだったのか、主人公同様、唖然、茫然・・。
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