ロングレッグスのレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
黒沢清「Cure」の影響をあからさまに感じるホラー。(開幕、例のビニールカーテンまで出てきて笑ってしまった)何気ない風景や室内を不穏に見せる撮影は、本家に負けず劣らずなのだが、他は白塗りニコラス・ケイジの怪演に頼りすぎ。暗号解読や主人公の直観能力が途中で意味を失ったり、パンチの弱い結末といい、シナリオが雑なところも黒沢清的でよろしくない。
惜しい
イカしたセンス、イカれたオカルト、ロックンロール
洗練とは程遠いけどスタイルのある映画。時代感と劇中曲が織り成す雰囲気を知ってるかどうかでも評価が変わる。全く趣きは違うけどエンゼルハート的なんじゃないかと。
【ネタバレ追記】
最後に弾切れで人形の頭部を破壊し損ねました。あれってルビーを「生きることを許された子」にしちゃったってことでいいんですよね。そこへGet It Onエンドロールなわけですかそうですか。
ロングレッグス
音で怖がらせるなら、ここ10年で1番恐かったか?
ん〜もうこう…度重なる惨劇は、悪魔のせいに!とか二重人格のせい!とか夢のせい!だとかの設定はもうお腹一杯(汗)
でも、一風変わった悪魔の仕業は斬新だったけど、別に途中ハラハラとドキドキもしないし、眠くなりましたが、強烈な効果音で起こされる感じ(笑)
「ロングレッグス」こちはのサイトで検索掛けてみたら、2つ目に「足長おじさん」。なるほど、何かを得る為に何かを捧げる。そう言うタイトルの意味か?
ポスト・モダンホラーの傑作
低予算ホラーとして、ポスト・モダン的な好作品であり、個人的にはかなりの傑作と映った。
映画的には過去のB級ホラーや「羊たちの沈黙」「CURE」等の作品への参照を軸としながらも、ヌーヴェル・ヴァーグのジャック・リヴェット、ポスト・ヌーヴェルヴァーグとしてのアンドレ・テシネ「バロッコ」などに近い神秘主義や音響的混沌に漸近した、興味深い作品となっている。
明らかな黒沢清の影響は感じられるものの、その新しさは先に言及した過去映画作品からの参照と「ヘレディタリー」にも通じる物語的フラットネスやニューカラー以降のアメリカ写真的な風景描写に見られるだろう。
なにより、人物や家、車を撮るときの距離感がいい。クローズアップを抑え、ホラー映画の定番的音響と共に日常的光景の中で異常な出来事を淡々と描くさまは精神的恐怖を煽る現代的な演出だと思う。
主役のマイカ・モンローの終始オドオドしながらも銃を構えればFBI捜査官らしさに満ち、不思議な超能力的で事件に迫っていく様はかなり魅力的だ。強いて役者の不満を言えば、不穏な連続殺人鬼としては少し惜しい感のあるニコラス・ケイジが力み過ぎに見えるくらいか。主演のマイカの母を演じるアリシア・ウィットは素晴らしいの一言に尽きる。
本作については、その「セブン」的見かけから本格ミステリーを期待して肩透かしを食らったと言う声も聞かれるが、そっちを期待したら確かにそうかもしれない。むしろ、リンチ的不条理性やオカルト性を期待して観に行く事をお勧めする。
まさかのニコケイ映画!いい雰囲気だったのに生かし切れずに本当に残念
サイコ・サスペンスとして超期待して観たのに、ホラーだった。
がっかり。
序盤からの雰囲気が良くて、謎解きに期待していたら、その部分は、ヒロインが一人でプロファイリングしていて結構早く解析できてしまうが、暗号がなぜ彼女には解けたのか不明。
解き方も不明。
終盤にいきなりある人物が説明してしまう。
しかも、超常現象…ホラーだった。
普通に謎解きが出来たら、その過程が楽しめたらよかったのに残念。
そして、アイツがニコケイだったなんて全くわからなかった!
びっくり。
ただただ、彼が生前に命じたままに話が進んでしまうのが悔しい。
反撃出来たら、ひっくりかえせたら面白かったのに。
良い雰囲気で、良いところが一杯あったのに、上手く料理できずに色々と残念で、とってももったいなかった。
陰キャ版ハンニバル?
Lone Gregs
冒頭、勿体つけるようになかなか映像が出てこない。
ポラロイド写真が現像されるように、ようやっと画が現れたと思ったら、ここから不思議な現象が起こる。
オープニング曲までの数分で、睡魔に襲われたのだ。(!)
それからも、画面は見てるハズなのに、字幕は読んでるハズなのに、情報が一向に入ってこない。
気付くと別(他の作品、仕事、帰宅後の予定など)のことを考えている。
時折ジャンプスケアに覚醒させられるも、一時的。
退勤後のレイトショーだし、BGMが抑えられてるし、説明も少ないし…と色々あるが、ここまでくると異常だ。
なのでちゃんと観られてるとは言えないが、話としても面白くはなかったと思う。
というか、悪魔だとか呪いだとかで済まされると意義を感じない。
コブルが何故そんなことをやってたかは不明。
リーが、コブルの自害やカーターの奥さん殺害を見てるだけで止めようともしないのも謎。
唯一描かれていたと思えるのは、母が子を守るために他の全てを犠牲にする姿くらいか。
グロもほとんど見せないし、妙にお洒落な演出いれるし、オープニングとエンディング曲はポップだし…
何がなんだか分からなかったというのが正直な感想。
ロングレッグスの名前とか、14日生まれとか、9歳とか、「下にいる男」とか、意味あったのかな。
運転しながらのニコラス・ケイジの叫びは、ガチで耳が痛くなるほどうるさかった。
恐怖の幕の内弁当盛り
全体的に暴走気味ですが、いい映画でした。
陰鬱だった90年代の映画から、色々と入ってます。
サスペンスなら「羊たちの沈黙」や「セブン」、ホラーなら「IT」辺りでしょうか。
やはり、ハーカー捜査官を演じたマイカモンローは素晴らしいです。サイキック版クラリススターリングといった雰囲気で、「神は銃弾」の眉毛なしアウトローとは別人でした。
今回は、めちゃくちゃ無口な陰キャです。
冒頭の、やたら襟のでかい赤シャツをスーツに組み合わせるセンスも独特。
ニコケイは言うまでもなく、全ての殻をぶち破って好き勝手していました。T.Rexが好きで、作業場にポスターも貼ってあります。シリアルキラー界最恐の男が、地元のコンビニでは最弱の変態扱い。このコントラストが面白いです。
オズパーキンスのホラーは2015年の「フェブラリィ 悪霊館」もそうでしたが、ただ悪魔の「悪意」だけでなく、その根本に、人間がふとした隙に悪魔に呑まれてしまう弱さ、あるいは守るために対峙する強さみたいなものがちゃんと描かれているので、本作も後に色々と残りました。
例えば、ニコケイが地元のコンビニで塩対応を食らった後に(当たり前ですが)車で叫びまくる場面は、だから家族がターゲットになるのかと納得がいくものでした。
その叫びは、怖くてなんか面白いのに、どこか泣けてきます。
元々泣き笑いが上手いニコケイの塩梅は見事でした。ヒトカラでの熱唱も、安定の上手さです。
映画自体の展開も、若干のオカルト感を混ぜながら始まる「羊たちの沈黙」っぽい第一幕から、急にオカルトへ舵を切る第二幕、真相が上手くまとまりつつ絶望的な余韻を残す第三幕と、よくできていました。
ただ、最初の赤ジャンパーの少女がハーカー捜査官だなというのはすぐに読めてしまうので、『その出来事自体の記憶がない』という設定が薄れてしまっている=ポラロイドに白塗りニコケイが登場したときにこちらがさほどびっくりしない感じになってしまい(観客である私は、冒頭をはっきり覚えているので)、勿体ないなと思いました。
この辺は、文章で叙述トリックが組める小説向きの描写な気がします。
ただ、悪魔の影響下にある全員がどこかぼんやりしているという設定は面白く「それの影響下にある間は、重要なことを忘れる」というのは、小説版のITで主人公たちが幼少期のことを忘れている辺りと、通じるものがあります。
しかし、ロングレッグズの第三幕は、はるかに容赦がないものでした。
人形が作られていたのは、まさかの実家の地下室。ニコケイはずっと「真下にいる」と言っていましたが、言葉通りずっと真下にいたわけです。
※元々「The man downstairs」という言い回しには「悪魔」という意味があるようです。
そして何とも最悪なことに、協力者はハーカー自身の母親。それが取引となって、今のハーカー捜査官は生きていることを『許されている』。
逆三角形の最後を飾るのは、上司のカーター一家。
いやー、なんとも残酷です。中々の後味でした。
映画としては、そこで終わるわけですが。
悪魔目線で見ると、1966年から始まった「逆三角形チャレンジ」は、どうなったのでしょうか。
ハーカー家は7番目でした。母親が人形を突き返し、母子家庭だからなのかもしれませんが、ニコケイが直々に殺しに来ます。ここで娘を守るための取引があり、ニコケイが人形を作ってハーカーの母親が届けるというツーオペになるわけですが、どんなルートを辿ったとしても、悪魔には確固たる目的意識があります。
だとしたら悪魔は、逆三角形チャレンジの間、誰に何を与えたのでしょう。
・ルビーが部屋に飾っているのは、ハーカー捜査官の人形が最後にそうなったように、頭が取れているトロフィー。
・その少し手前、出てきたルビーに対してカーター捜査官が言う「There she is.」
・手紙を解読するよりも前に、逆三角形から「父親」を連想するハーカー捜査官。
※ニコケイが実は父親なのかとも想像しましたが、さすがにそれは違ったようです。
・最初のサイキック家当てクイズでも、キャリーアンの人形を解体したときに出てきた金属の共鳴音と同じ音を聞いて、ハーカー捜査官は「あの家だ」と言い当てます。
色々と考察要素はありますが、『ハーカーが超能力的な勘の鋭さを持っている』のと、『唯一生還したキャリーアンが糸口として生かされていた』のは、悪魔がそれぞれに設定した役割で間違いなさそうです。
※キャリーアン役はフェブラリィで主演だったキーナンシプカで、切れ長のでかい目を向けながら、淡々と怖い台詞を繰り出す辺りは、相変わらずでした。
つまり、カーター家に全員が揃うあのラストは、悪魔が望んだ結末だったということになります。
しかし、ハーカー捜査官が自身の母親からルビーを守ったことで、悪魔の望んだ結末からは逸れたように見えました。
さらに、ハーカー捜査官が人形に向かって引き金を引いたとき、弾は出ませんでした。6連のシリンダーなら、それまでに3発撃っているので、もう3発残っているはずです。
90年代のサービスリボルバーで6発中3発が不発というのは、ありえない確率です。
この辺の描写が次々と繰り出されて、観た直後は上手くまとまらなかったので、家に帰ってから元の事件についておさらいをしました。
30年間で、10件の殺人。父が一家を殺し、最後に自殺。
ハーカー捜査官が事件の全容を見渡すために資料を並べるとき、バックに通報時の電話が流れます。「娘が変だ」と言う父親。
それは、「It’s my daughter」から始まり、「It's not my daughter」と続きます。
その次は、「When she’s sleeping, it’s the best time to do it.」
娘がおかしいんだ→いや、あれは娘じゃない。
眠っている間に、何とかしないと。
父親が殺したかったのは、娘なのでしょうか? 娘じゃないと言っているのだから、それはプレゼントの人形では? そして、邪悪な人形を破壊したつもりが、よくよく見ると、死んでいるのは娘の方だった。
それだと妻まで殺す説明がつきませんが、仮にそうだとすると。
3発連続で不発というあり得ないことが起きたとき、その弾は、本当に不発だったのでしょうか。仮に不発じゃなかったとしたら、銃口の先にいた相手は3発食らっていることになります。
それは、本当に人形の方?
もしかして、外に出て振り返ったら、ずっと手を引いていたのはルビー本人ではなく、実は人形だったとか?
だとしたら、ハーカー捜査官が自ら、ロングレッグズの「最後の仕事」を継いでしまったことになります。
観たときは、直後のニコケイの投げキッスで色々と忘れてしまったのですが、ずっと頭に残り続ける映画でした。
ロングレッグス(映画の記憶2025/3/16)
ニコラス怪演!
サスペンススリラーで前情報的には認知してたが、観た後ではサスペンスホラーだなという印象。羊たちの沈黙を想定していたが、ちょっと違う方向性のストーリーだった。しかし良い出来かとは思う。
主演のイット・フォローズの女優さんも良い演技だったが、ニコラスのゾーンは続くなぁw
個人的には新しいホラーキャラ誕生したわ。
マイカ・モンローのハァハァ感の演技が緊張感出してて良かったね。
映像と音もこだわりを感じた。
赤と白のコントラストをメインだったが、赤から白に変わるところの表現がホワイトバランスがうまく切り替わらないのを利用して色での恐怖を表現するとか、比較的、一人でいるシーンは音が大きめ且つホラー的な音づくりしてたところとか。
作り的にできが良いが、B級感もどことなく感じる。
評価低めになる人もいるだろうが、個人的には思いの外オーソドックスにブラッシュアップした映画作りを感じ、良作だと思うので高評価。
(個人的評価7点/10点中)
彼は「地下世界のダンディ」
「シリアルキラー」×「(女性の)FBI捜査官」とくれば、
誰もが想起する〔羊たちの沈黙〕。
{サイコ・スリラー}であり、
{ミステリー}や{ホラー}でないのがミソ。
本作は事前の煽りで
「(同作以来)最高の連続殺人鬼映画」とされていたことに期待し
劇場へと足を運んだわけだが、
{オカルト}や{ホラー}の要素が色濃く
事前期待をあっさりと裏切ってくれる。
1970年代半ばに始まった連続殺人は
二十年を経て両手の数を超える家族が惨殺されても未解決。
犯人は中年の白人男性とのプロファイリングはあり、
幾つかの手がかりは残され、事件には共通項があるものの。
新たに捜査陣に編入された『リー・ハーカー(マイカ・モンロー)』は
新人ながら超常的な能力を持つよう
(ここら辺から物語りのトーンが変わり、
{オカルト}のテイストが色濃くなる)。
『リー』は持ち前の能力を早速発揮、
過去には気づかれなかった点を早々に指摘するにとどまらず、
犯人が現場に残した暗号文もあっさりと解読する。
これを代表例に、全体として謎解きの要素はほぼ無く、
過程を見るカタルシスは得られない。
終幕に向け{オカルト}要素は更に強めに。
〔オーメン(1976年)〕や
〔エンゼル・ハート(1987年)〕を想起するのだが
ここでの語り口はより直截的。
先作の劣化版にも見え、
ましてや『ルイ・サイファー』との名前に込められた意味を解くような
知的楽しみも無い。
加えて「ヨハネの黙示録」の一節が繰り返し引用されるように、
聖書由来の畏怖は、日本人にはピンと来ない側面もあり。
伏線らしきものは張られ、
最後は全てが回収されたようにも見える。
それなりの理由付けはなされている、と。
とは言え、始まりの事件の不可解さと、
全てを超常的な力に寄せる脚本には疑問が残る。
「連続殺人鬼」ではなく
単に「サタニスト」の映画に変容させている。
手柄を一つ挙げるとすれば、
楽曲に使われた「T.レックス」か。
『マーク・ボラン』は三十歳の誕生日の二週間前に
自動車事故で死去。
予てから自身が三十歳までは生きられないと恐れ、
オカルトに傾倒していたと言う。
「シリアルキラー」を怪演した『ニコラス・ケイジ』は
過去に「アカデミー主演男優賞」受賞も
〔アダプテーション(2020年)〕でのノミネート以降は
毎年のように「ゴールデンラズベリー賞」に名が挙がる。
どうした出演作の選択基準なのかと訝ってしまうが、
制作も兼ねた本作でもそれは変わらず。
セブンじゃなくてエクソシスト
この映画の宣伝に、“セブン”や“羊たちの沈黙”の名前を使った奴、出てこい。
この二つの名前を出されて、誰があのオチだと思う?
どうしても名作の名前を出して耳目を引きたいのなら、“エクソシスト”や“ヘレディタリー/継承”辺りにすれば良かったのに。
ちなみに“ニコラスケイジがキャリア初の凶悪なシリアルキラー”という触れ込み、これもいかがなものかと。
彼、誰も殺してなくない…??
途中までは結構面白かった。
どうやって殺したのか。どうやって捕まえるのか。
ストーリー展開をワクワクして待っていたのに…
サタン万歳ってなんだよ…。
人と人とのぶつかり合いを期待していったら、サタン出て来ちゃったよ…。
そりゃなんでもできるよ。サタンだもの。
サタン万歳。
ホラー≠ミステリー×オカルトスリラー
ホラー的な驚かせ方はするものの、
私はホラーではないと思った。
以下、ネタバレ全開で書きます。
レビューというより、自分の振り返り含め。
冒頭から映像も音響も不気味さ満点で
ロングレッグス(ニコラス・ケイジ)もすぐに出てきて、
超気持ち悪くて期待度が上昇した。
ロングレッグスがリー(マイカ・モンロー)の家に侵入
しているところから、あれ!?なんで!?と思い、
そこからはミステリーで謎を解明する方向性へ。
ロングレッグスが残した暗号が解けてくると、
俄然、オカルト色が濃くなり、悪魔崇拝かよっ!!と。
それをすぐ解けてしまうリーにも何者!?と思うし。
家庭環境からその素養があったのかもなと後に気づく。
殺しているのは、14日の誕生日の娘がいる家族。
そして父親が全員殺して自分は自殺するというのが
共通項。そして鍵になるのが不気味な人形。
ロングレッグスは人形技師で、
謎の呪いの人形をつくって、
それで父親をマインドコントロールして事件を起こす。
というまあ、これがオカルト過ぎてちょっと説得力には
欠いた気がした。
そしてリーの母親(アリシア・ウィット)が共犯だった
というのは、途中から何となく気づいた。
しかもカーター捜査官(ブレア・アンダーウッド)家族が
狙われるのも前半でその示唆はあったので、やはり…と。
それにしてもラストにカーターも母親も撃ち殺さざるを
得ないリーはせつない。
幼少時に出会った全部ロングレッグスのせい。
その悪夢にこれからも苦しむだろうリーを思うと
全然ハッピーなエンディングじゃなかったな。
私は『セブン』的な作品を期待したいたけれど全く違う。
ニコラス・ケイジ出演作は2週前に観たばかりだが、
全く趣が異なり、しかもこっちはニコラス・ケイジとは
パッと見わからなかったので、飽きはしなかった。
パンフは外見が実に凝ったつくりで面白い。
本作を気に入った方には是非オススメしたい。
『羊たちの沈黙』を期待していくと、がっかり感しか残らない
◇解体されながら継承されたスリラー
オカルト的な連続殺人事件に挑む新人女性FBI捜査官といえば、羊たちの沈黙(1991)のクラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)を思い浮かべます。物語の舞台 は1990年代のオレゴン州。どことなく淋しげで陰鬱な町です。
題材となる殺人事件の特徴は、家族を皆殺しして自死する父親たち。事件の鍵となる家族の娘の誕生日と送り込まれる人形。謎解きの楽しみ以上に、「家族」という形そのものに対する嫉みや妬みを漂わせています。
この作品の監督であるオズグッド・パーキンスと音楽担当であるエルビス・パーキンズの兄弟は、アンソニー・パーキンスの息子たちです。まさに、承継されたサイコホラーのスタイルが自己批評的な形で家族というテーマに基づいて再構成されています。そして、考えてみれば怪優ニコラス・ケイジもコッポラ一家の出自。芸能一家に生まれることへの怨嗟を歪な形で構築している作品だと考えると怖さが底知れなく感じられてきます。
#Tレックス #TRex
♪Jewel
♪ Planet Queen
♪ Bang a Gong (Get It On)
享楽的で自己破滅的なグラムロックの世界観も私好みでした。
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