野生の島のロズのレビュー・感想・評価
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様々なメッセージを伝えてくれる良質な作品
無人島に漂着してしまったアシストロボットのロズが、島の動物たちとの交流を経て、プログラムを越えた感情を手に入れる。あらすじだけ聞くと、ロボットが心を持つという展開は、王道と言えば王道だし、珍しい話ではない。
けれどこの作品は、そこに至るまでの過程と描写がめちゃくちゃ良い。
ロズや周りの動物たちの変化や成長が、とてもとても丁寧に描かれている。なので雑念が入らず最後まで没頭して見ることができた。
また単純に心が芽生えるだけではなくて、他にも様々なメッセージを感じられたのも良かった。
弱肉強食で生きる動物たちと、冬を乗り越える際に語りかけたロズの言葉は、今の世界情勢へのメッセージにも聞こえたし、正解が無いものへ挑んでいくロズの姿は、これから新しいことにチャレンジする人の背中を押してくれる。
島で嫌われ者のチャッカリ、化け物と恐れられるロズ、身体が小さく仲間はずれにされたキラリ、そんなはみ出し者の3人が成長する姿は、今孤独だと思っている人たちに希望を与えてくれるだろう。
そんなたくさんのキラキラとしたメッセージを彼らからもらって、最後は涙が自然と溢れ、胸がいっぱいになる素敵な作品だった。
人の存在が希薄な世界で
ロボットに魂や心は宿るのかという、SFの古典的な問いを、動物たちとの絆の中に描いたのが新鮮だった。人に奉仕するために作られたロボットが野性の島に不時着して渡り鳥の子どもを世話をする。そうしていく中で、ロボットのロズはプログラム以上の何かを獲得していく。このプロセスが疑似親子の絆ものとして、とてもよく練られていて、率直に言って泣ける。物語の構成としては、通常なら鳥が一人前になり、島を渡っていく別れがクライマックスになるところ、本作はそこをプロットポイントにして、さらなる展開を加えているのが見事。
人間は、ここではそうしたロボットの逸脱を許さない存在として登場する。非人間の動物たちと非人間のロボットが絆を育み、人は限られた場所でしか生きられなくなっている。ポストアポカリプスものとして、人間以降の時代に想いを馳せている点もユニークだった。
ルックもすごく美しい。イラストルックも取り入れたCG作品は、アメリカでも主流になりつつあるようだが、本作はその中でもとりわけ美しい背景が魅力的だし、画面がすっきりしていて見やすかった。
野生×最新鋭ロボットという物語の設定に斬新さがあり、それを表現した作画のテンポや動きも良い秀作。
本作はベースとなる、大自然に覆われた無人島と最新鋭のロボットという組合せが斬新で面白く、児童文学書の映像化は正しい判断でしょう。
そして、それを表現した作画は「ロズ」と「動物たち」のテンポや動きが絶妙で、特に前半の満足度は非常に高かったです。
ただ、中盤から後半にかけて「ロズ」と「キラリ」などのテーマに移ると、前半の斬新さを踏まえると普通になっていき、前半の面白さを維持できず、やや失速した感もあります。
とは言え、それだけ作品のつかみがしっかりしている妙とも言え、アカデミー賞の長編アニメーション部門ノミネートは納得の「質の高い、見るべきアニメーション映画」の1作であるのは間違いないと思います。
素晴らしい映像と音楽、是非映画館で!
ここのところ大活躍の河合優実さんの作品を鑑賞してきて彼女の演技の素晴らしさを実感しながら、しかし作品のテーマの重さに気持ちを押し潰されてましたが、今日この作品の鑑賞でやわらかい気持ちになれました。
もともと綾瀬はるかさんのファンということもあるのですが、彼女が吹き替えたロズがだんだん感情を持ち始め、キラリとの心のつながりや動物たちが協力し合う姿には心洗われました。それにもまして非常に美しい映像と音楽に、それだけでも観てよかったと感じる作品でした。
それほど斬新なストーリー・展開ではないのですがゆったりと暖かい気持ちになれる素敵な映画だと思いました。正直綾瀬はるかさんが吹き替えたこと以外はあまり興味を持ってなくて割とノーマーク状態、今日も定時後自分の都合だけで時間のロスなく観られる作品という理由で選んだのですが、大正解でした。
心のデトックスになったいい時間でした!
飛行機で
王道にして、新鮮な切り口
この手の作品にハズレなし
美しい映像で、ストーリーも感動
始めは動物達から怪物扱いされていたロボット・ロズが、ひょんなことか...
ロボットが致命的にかわいくない
あんまり面白くなかった。
そもそもこのロボットに愛着がわかなかった。
デカくてゴツい。動き方も不気味。母親らしさをみじんにも感じない。
息子の鳥もアホみたいだった。観ているこっちがアホになりそう。
親もアホだからもう訳がわからない。
さらにはこの親もどき、息子という名の鳥の兄弟姉妹たちを卵から潰して抹殺しているのである。
息子たちが卵の時に、巣を潰してしまい潰れなかった一つを育てたという状況。
いっそのこともう潰してよくね?
そこで潰してしまえばこんなストーリーなんてできなかったのに。
自分を「超えていく」物語。
老若男女誰でも楽しめる映画である。ロズとキラリの(疑似母子)愛情物語に感動するのも大切であるし、ユーモラスな弱肉強食の動物世界を楽しむこともできる。プログラムされたことしかしないロボットが、動物しかいない世界に放り込まれて悪戦苦闘しながら自分の役割を果たしていくのも面白い。文明を進化させた人間と本能のままに生きる野生の動物とどちらが幸せなのかという事も考えさせられる。人によっていろんな楽しみ方ができる奥深い作品になっていると言えるかもしれない。
ロボットが感情を持つという話はよくあるが、普通は人間とロボットの間に成立する話である。この映画は、野生の動物とロボットとの交流の話である点が重要なポイントになっている。本来あり得ないことが起きているという意味で「ファンタジー映画」と呼ぶことができるだろう。ロボットが感情を持つという事と、動物が感情豊かで話すこともできるという事で、二重のファンタジーになっている。冒頭からこの巧みな想像の世界に引き込まれてなぜかしら心が動かされる。人間の話ならよくあることかもしれないが、ロボットと野生の動物の話であることが、返って真実味を感じさせる効果があるのかもしれない。
この映画の魅力の中心にあるのは、登場人物(人ではないが)が自分を超えていく所にある。ロズは、命令されて「仕事」をするプログラムを超えて、相手のためを思って寄り添う「心」を育てていく。キラリやチャッカリは、孤独感を超えてリーダー的な役割を果たす。他の動物たちも、狩るものと狩られるものとの本能を超えて、一致団結を示す。知らず知らず、何かしら勇気づけられるものをもらうことができる作品になりました。
生態学を知らな過ぎる映画
本作は、DreamWorks制作のお子様向けのファンタジーなので、堅苦しい批判は相応しくないのは自覚している。ただ序盤から設定の不備と、本作の動物描写が招きうる生態学的な誤解は誰かが指摘しておくべきである。
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1. 高性能なのに人と動物を区別できない?
序盤、ロズは顧客探しに奔走するが、ロズが人間の生活をアシストする為に開発されているなら、相手がヒトかそれ以外の生物かくらい認識するのは最低限の機能。都市部では野生の島ほど野生動物に遭遇しにくとしても、リスやハヤブサが生息する事を自慢するNYで、リスに話しかけてるようじゃ仕事は進まない。なのでロズが、ドラえもんのような出来損ないなハズレ個体というなら別だが、優秀な最先端機器という触れ込みには矛盾を感じる。
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2. 野生動物の言葉を短期間に学べ過ぎ
そもそも野生動物に言語があるのか? 無論、鳥やクジラのように音声コミュニケーションする種は実在する。音声じゃないが、ミツバチの8の字ダンスの事例もある。ただ、ヒト程複雑な概念を認識していたり議論できたりするのかは疑問である。仮に、AI技術が進めば映画同様短時間で野生動物の「言葉」を学習できるようになるかもしれないが、では何故標準装備されていない。ヒトの生活を助ける最先端ロボットなら、愛玩動物の犬猫、家畜の牛・山羊・鶏や、人里にも居るリス・熊などの「言語」は予め学習して標準装備しておくべきな気がする。ただ現実世界で、動物と話せるAIなど存在しない。犬や馬がヒトの意志を忖度して行動する例はあるが(ハンスの馬)、研究が進んでいるチンパンジーの「言語」する完全に理解されている訳では無い。
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3. 異種の野生動物どうしが話すなんてもっとあり得ない
ヒト程賢い生物ですら、ヒト以外の生物と流暢に会話できないのに、犬と猫が、アカギツネイ(チャッカリ, Fink)とカナダガン(キラリ, Brightbill)が、何の道具の助けも借りずに話せるなんて思わない方がいい。
特に、食う食われるの関係で、異種間コミニュケーションが共進化するのは難しい。被食者は逃げる為に捕食者の意図を必死で読み取ろうとしたとしても、捕食者は餌に意図を読み取られない方が餌を捕まえやすいので、餌に自分の意図を伝えるシグナルは進化し難い。
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4. 食物連鎖は「悪」の連鎖ではない
本作は、寒すぎる厳冬が訪れた際に、島の動物が暖をとれる場所に集まり、食う食われるの関係を保留する事を「平和」と呼ぶが、捕食被食関係を「悪」と捉えるのは無理がある。動物を殺して食べる事自体を悪という人は、今から菜食主義になるべきなのか? ただ、菜食主義者も植物を傷つけたり殺したりして食べている。植物は葉を齧られると、他の葉や周辺の植物等にその情報を伝え、植食者に備えている事はよく知られている。なので、生物学に詳しくなればなるほど、誰も傷つけずに食べる事なんてできないと自覚できるだろう。
光合成などを通じて、自身で有機物を生産する生物や、多種の排泄物を利用する分解者、他種のエネルギーを横取りする寄生者以外は、他種を食べて生きていくしかない。それを悪い事の様に捉える考え方の方が歪んでいるし、一種の精神疾患ですらあるかもしれない。少なくとも進化生態学的には、非適応的(maladaptive)な事は間違いない。
ロボット✖️自然の組合せで「設定」を超える
遅ればせながら、予告編が楽しそうな物語だったなぁと思い出して鑑賞。
そこまで期待してなかったこともあり、結果ボロ泣きでした。
自然の弱肉強食の世界と、ロボットがいるハイテクノロジーな世界が組み合わさっていますが、難しくなく、楽しく温かく見られます。
たくさんの動物が出てきて画面がわちゃわちゃして可愛かったし、クスッと笑うシーンも数多くありました。
それぞれの世界は違うけれど、どちらにも当たり前の「設定」があり、それらをどちらも超えるシーンは感動的でした。
あそこのシーンをもう一度見たいなと思います。
最後の終わり方もよかったです。
子供と一緒に見てもよかったなぁと思います。
吹替の綾瀬はるかさんの声で見る予定が、間違って字幕版で購入。
でも字幕が下だったので見やすくてよかったです。
(字幕が右に縦に出るものは私の中では見づらい)
気持ちよく見られます
すごーーーくおもしろい!という評価を見聞きして、期待して映画館へ。
結果、すごくおもしろい!と思いました。
いや充分おもしろかったんですが、事前に高評価を仕入れた弊害と言いましょうか、あらかじめの期待値が高すぎたんですね。もっと何かあると思ってしまいました。
無機質なはずのロボットが心を宿していくというのは目新しい設定ではないけれど、それが野生の島でひな鳥の子育てを通じてというのは新鮮でした。
秋が来てキラリが島を飛び立ち、越冬してロズの元に戻ってきた時が私の中で最高潮。
ハンカチを取り出して泣きつつ、え、上演時間短くね?もうそんなに時間が経った?
と思ったらここから話を変えて後半へ。
まあね、感情が芽生えたロボットを制作会社が放っておくはずもなく、そっちの決着もつけなきゃならないのは、わかる。
けど個人的には、ロボットが宿した母性だったり、親の愛を受けた子の強さや信じる気持ちだったり、そっちに終始した方が、ハンカチの枚数は増えたと思う。
でも、最後まで見て、無難にきれいにまとまったとは思います。(エラそうだな)
過去のデータを消去されたロズが、訪ねてきたキラリと微笑みあうラストで、すっきり気持ちよく映画館を出ることができました。
頭の中のデータは制作会社が消せても胸の中の思い出は何ものにも消すことはできない。
幼い頃に読んだ、清水玲子さんのマンガを読み返したくなりました。
今の時代言うまでもないですが、映像の美しさはすばらしいです。
チャッカリのモフモフ感が手に取るように。ここまできたのね。
昭和時代のベタ塗りアニメを思い出して苦笑しましたよ。
関係ないけれど、我が家では文鳥を飼っています。
はじめて目を開けた時に見たものを親だと思う、というほど厳密じゃなくてもそれに近くて、ひな鳥の頃から人間に育てられたので自分を人間だと思ってるふしがあります笑
動物ってひたむきでいいですよね。いつも掛け値なしでまっすぐ。
今回は舞台が野生の島だったから物語が成り立ったんでしょうね。
これが、ロズが紛れ込んだのが現代の人間社会だったら・・・心温まる物語とは程遠くなりそう。
ノーマーク大傑作
いいとこ取りだが絶妙に悪くない
期待をAlwayS超えてくる、素晴らしい配給会社。AlwayAさえ流れれば…
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