劇場公開日 2025年2月7日

「驚くほどの完成度と精度の、美しい映像美。」野生の島のロズ 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0驚くほどの完成度と精度の、美しい映像美。

2025年2月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本当に映像は最高に美しい。
色彩が鮮やかでアートのよう。
音楽もボリューム感があって心地良い。
(普通の吹き替えで観ました)
ドルビーシネマやドルビーアトムズで観たら、
きっともっと良かったと思います。

無人島に漂着した人間のサポート・ロボットのロズ(声=綾瀬はるか)が
自我を持ち始める話し。
親からはぐれた雁の雛のキラリ(大人になった声=鈴木福)の
孵化を手伝うロズ。
鳥は最初に見た物体を親だと思い込む習性通りに、
赤ちゃんのキラリ(声=濱崎司・・・めちゃ可愛い)が
ロズに額をピターッとくっつけるシーンは、ホントにキューンとなった。
癒されました。
成長したキラリの福ちゃんの声は太くてやや違和感でしたね(笑)
ロズが母性に目覚めるのもそりぁ無理ないなぁ、と実感します。

捻くれ者のキツネのチャッカリ(柄本佑)。
柄本佑はもうひと暴れを期待したけれど、案外あっさりと
素直になるのでやや拍子抜けしました。

私は雁のリーダーのクビナガ(千葉繁)の一言、
《渡り、がいかに大変なことか》を語りキラリを訓練するシーンは
正直言って興味津々でした。
例えば、体の大きくて重い鳥は、2000キロ~3000キロ。
(白鳥や鶴)も渡る。
例えば小さな鳥は軽いから1万キロ(例=アジサシ)を渡り
飛ぶ期間は最長で9日間、
水も飲まず、何も食べずに飛び続けて、熟睡しながら飛ぶそうです。
その謎を知りたかったけれど、雁たちはあっさりトウモロコシ畑に
降りて台風を避けようとする。
そして見た目がロズそっくりのロボットを見かけて、
キラリがロズのように人間に害を与えないからと、声をかけて
・・・ところが怖いロボで大騒動になる。
本来サポート・ロボットは、お客さまに絶対服従するように
プログラミングされている・・・だよね。
カスタマーの依頼は絶対に断らないロズ。
最初の頃のシーンは笑いました。
ロズの口調が、“のんびりキャラ“の綾瀬はるかと
とてもマッチングするので、楽しい。

ストーリーには動物界の習性とそぐわないシーンが多い。
渡りをあっさりやめたり、
寒さで冬眠の穴から抜け出した熊や海の生き物アザラシまでいて、
ロズの炊いた薪の炎にみんなして温まるシーン、
自然科学ではなくて、ファンタジーなのですねー。

そのあたり(熊がネズミやキツネやウサギを食べない理由)
美しいけれど、ストーリー的には 深みは足りてない
気がするのでした。
ラストだって廃棄処分になって当然のロズが、抵抗して
動物たちも団結して《野生の島と生息する動物たち》を守るのだけど
ラストであっさりと修理された元の姿で、
しかもロズはキラリの記憶を失っていない。
(ややご都合主義的・・・なんだと、感じちゃうのです)
較べるのは変かもしれないけれど「トイストーリー」にある、
子供に振り向かれなくなる《不用品のオモチャ》の切なさが
込み上げてこないのも、正直なところなのです。
結局のところ、ロボット(AI)は何度も再生して、動物界との
共存が可能である。
そう言いたかったのかな。
それにしてもロズを迎えにきた宇宙船には、とても不気味な
怖さがある。

絵がメチャ美しくロズもめちゃめちゃ愛しいし、音楽も綺麗。
ストーリーに深みがないなどとと言うのは、
感受性の欠けた自分が、子供の心を失ったから・・・
そう思います。

琥珀糖
しろくろぱんださんのコメント
2025年2月15日

スゴくよかったです。
高機能AIロボットからプロミングを超え心をもったロズが人間のようになって(身体に苔や草が映えて野生化した所は)いく様は見応えありました。
どうぶつの弱肉強食のところはズートピアを思い起こす所がありました。(ズートピアは怖い描写がありましたが)声はロズの綾瀬さんは受け入れられましたが他二人はちょっと違和感あったかな。
この作品はロズの成長と
映像の美しさと音楽に魅了されました。

しろくろぱんだ
あんちゃんさんのコメント
2025年2月15日

共感ありがとうございます。いや、深みが足りないというのはまともな感覚だと思います。映像はあまりにも素晴らしいのですがストーリーだけ取り出してみればと。

あんちゃん