劇場公開日 2025年2月7日

「喋る動物」野生の島のロズ TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5喋る動物

2025年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

普段の私なら劇場鑑賞候補から外す可能性が高かった本作ですが、第97回アカデミー賞にて長編アニメーション賞など3部門にノミネートされていることもあり劇場へ。本来は音響賞、作曲賞候補のことを鑑みて「Dolby-ATOMSアップグレード」が推奨なのかもしれませんが、今回はケチって字幕"通常"版で鑑賞です。サービスデイのTOHOシネマズ日本橋は、そもそも字幕版の枠が少ないこともあってかほどほどの客入りです。
本作、原作である『野生のロボット(未読)』は対象年齢「小学中学年から」という児童書ということもあり、映画のストーリーも全容としては古典的で解りやすく、愛に溢れた内容となっています。とは言え、生物同士の捕食・被食の関係性や過酷な気象現象など自然界における生存の厳しさもきちんと語られていて、その環境やキャラクターを「単なるメタファー」として消費したおとぎ話のレベルではありません。なお、アニメーション作品ならではの「喋る動物」設定(私、これ案外苦手なのですが)も、ロズというキャラクターを活かして無理を感じないアプローチで「喋りだす」ところは、オリジナリティがあって大変素面白いと思います。
また、滑らかで精細なCGアニメーションは観ていて驚きの連続です。まず冒頭から、海辺のシーンにおける光る水面や波の動きは一見、アニメーションとは思えないほどの美しさで目を疑います。そしてロズが動き出してからは、いろいろな動物たちの様々なスピード感や特徴的な動きを、殆ど切れ目なく連続的に出現させる目まぐるしさは情報量が物凄い。そして、可愛らしいキャラクター達は皆、個性も表情も豊か。どのキャラクターにもそれぞれにしっかりと見せ場があり、ただそこにいるだけで「多様性っぽく」見せるような雑な扱いがないところも素晴らしいです。
一点、後半のあるシーンに「今回のアカデミー賞」を意識しないわけにはいかない状況を想像しながら鑑賞しましたが、果たして結果は如何に?『Flow』の高い評判も聞きますが、、、兎も角、授賞式が楽しみです。

TWDera