「多様性を野生動物で表現する違和感」野生の島のロズ ジョリーさんの映画レビュー(感想・評価)
多様性を野生動物で表現する違和感
例えば『ズートピア』は動物を擬人化することで多様性社会を表現しているのに対して、本作に登場するのはあくまで野生動物なんです。前半では弱肉強食の「喰う喰われる」を確かに描いているにも関わらず、後半ではそれがいつの間にか「種族間の争い」に置き換わった上で「多様性って大事だよね、みんな仲良くしましょう」と語られてしまう。こうなってくると「だったら野生動物である必要はどこにあるのか?」と本筋とは関係の無い部分に意識が向いてしまい、徐々に映画との距離が離れてしまっていたというのが本音です。
とは言え、映像も音楽も美しく、さらに102分でテンポよく物語を転回させていくことで十分な楽しみを与えてくれるのは事実です。
ただそのテンポの良さも若干裏目に出ていて、多少上映時間を伸ばしてくれてもいいから、ロズやキラリ、さらにはその他の登場動物たちの変化・成長過程をもうちょっと説得力を持って描く場面があったらもっと良かったのになぁとは思いました。場面場面でホロリとさせられたところもあったので、何というか、もったいない…
ちなみに日本語吹き替え版は未鑑賞、字幕版のみ鑑賞済みです。なんですかあのやたら豪華な人選は。主演がルピタ・ニョンゴだということしか知らずに映画を観たのですが、ペドロ・パスカルにヴィング・レイムス、さらにはキャサリン・オハラにマーク・ハミル、そして御大ビル・ナイも!
次々と名優たちの名前が映し出されるエンドロールが一番心動かされたかも。。