「触らぬ神に祟りなし」破墓 パミョ U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
触らぬ神に祟りなし
途中までは面白かった。
が…鬼が出てきてからちぃと理解が追いつかない。
韓国では大ヒットのようで、ひょっとしたら韓国の伝承とかに詳しければめちゃくちゃ怖いのかもしれない。
破墓という文化があるかどうかも分からないが、現在も活かされている文化だとした時に非常に興味深い。
埋葬されている遺体、ここでは土葬されている遺体を指すのだけれど、その居心地が悪いのだとか。
で、その居心地の悪さを訴える為に血族に霊障って形で干渉してくる。
まず、この設定を飲み込むのに骨が折れる。
で、地相やら風水やらを駆使して埋葬するに最適な土地を探す「地官」と呼ばれる職業が存在する。
ほうほう。
文化は違えど先祖の霊っていう価値観は分かる。
で、その霊を鎮めるのがこの物語の核ではあるのだけれど…今回の依頼は規格外であったみたいだ。
雰囲気とかは流石であって…墓を掘り起こすって事自体もそうだし、儀式的なものや、陰陽師の女性の雰囲気とかも抜群だ。
縦に埋められてる棺なんか、それだけでいわくありげで悍ましい。その棺が担ぎこまれる田舎の寺とかさ、その物置のライティングとか、いいのよ。
鬼火のエフェクトとかも素晴らしいし、人に落とす影が回る演出も凄い好き。
「鬼」って存在も分かりはするんだけれど…どうも細部で齟齬があるような感じ。
だから、巷に伝わる民間伝承をベースに視覚化したのが本作なのかなぁと。
そもそも2mを越す大男の武士なんて居るわけがないし、それについての説明もない。
が、民間伝承って下地があって、「日本の陰陽師が屍を繋ぎ合わせ、大鎧に身を包んだ式神を造った」なんて言い伝えがあれば、そこから派生するものは多くを語らなくても済む。その説話なり逸話を聞く人には周知の物語であるからだ。
なので、そもそも韓国以外では、怖いと思えるポイントがズレているのかなぁなんて考える。
鬼である鎧武者が忠義立てする「殿」が何を指すのかも分かんないし、その忠義の内容もよく分からない。
他の国なら疑問も抱かないのかもしれないけれど、殿とか侍とかを比較的身近に感じる文化のある日本にとっては、違和感が残る。
故に、この物語の本質までは行きつかない感じがもどかしい。
そもそも、侍の案件は最初の件とは別案件だ。
本質からして違う。
女性の顔した蛇も、何かの前触れだったり意味のある存在なんだろうけど、ピンとこないし。
って事で、本作は韓国の人達にとっては格別に悍ましい話なんだろうと思う。
100%楽しめなくて残念だった。