「「ひと粒で2度美味しい」お得さは味わえる」破墓 パミョ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
「ひと粒で2度美味しい」お得さは味わえる
除霊と改葬を同時に行うために結成された祈祷師と風水師と納棺師のチームの顔ぶれは面白いし、地相が悪いとか、雨の日に火葬してはならないとかといった土着の信仰も興味深い。
儀式そのものの段取りもさることながら、豚やら、鶏やら、馬の血やら、餅米やら、護符やら、体に書いたお経やらのアイテムやギミックが、悪霊と対決するための雰囲気を盛り上げる。
事件の真相としては、日韓併合の時代に、日本の風水師が、朝鮮半島の運気を弱めるために、その急所に当たる場所に、関ヶ原で敗れた武将を埋葬し直し、それを隠蔽するために、同じ場所に、親日派だった韓国人の官僚を埋葬したということなのだろうか?
だとしても、やはり、話が分かりづらいし、それを理解しようとするのに、相当、頭を使わなければならなかった。
何よりも、日本と日本人さえ「悪者」にしておけば、韓国の観客は納得するだろうという安易な姿勢には辟易するし、日本人として、決して気分の良いものではない。
その一方で、韓国人の怨霊と、鬼と化した日本人の武将との二段構えの対決は、「ひと粒で2度美味しい」お得さが味わえるし、実体のない霊は火葬で鎮め、実体化した鬼は風水で打ち負かすというところにも工夫の跡を感じ取ることができた。
先祖に祟られている割には、一族がアメリカで成功を収めているのはどうしてだろうとか、あれだけの死者が出てしまうのであれば、除霊や改葬などせずに、あのまま一族の跡取りが死に絶えるのを待った方が良かったのではないかといった疑問は残るものの、物語の展開には引き込まれたし、サスペンス・ホラーとしての見どころも多かったと思う。
ところで、川魚のアユを生のままガリガリ食べるというのが、日本人に対する韓国人のイメージなのだろうか?