「空腹と俺」劇映画 孤独のグルメ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
空腹と俺
年末年始のお供な孤独のグルメの劇場版。
劇場版でどんな事をするんだろうと思ったけど、ちょい規模が大きくなっただけで基本的にはいつも通りに近い感じで映画としては少し物足りないものの、まったりした感じはそのままだったので一安心。
序盤から海外に絵を届けるといった輸入を生業にしている五郎さんは海外でもモノローグでご飯探しをしてくれるのでほっこりしましたし、窓から美味しそうにロールキャベツを食べていたご主人を見てフラッとお店に入るってのもいつものやつでニンマリしていました。
オニオンスープはチーズがトロットロで美味しそうですし、飛行機で食べられなかったビーフシチュー的なやつも良い色合いで食欲がそそられました。
そこから絵画を届けた先のご主人から幼少期の頃に飲んだスープを再現してほしいという、輸入業の人に頼むもんではないものを頼むのでズッコケそうになりましたが、お人好しがすぎる五郎さんが押され押されで承諾してしまうのもらしさ全開でした。
五島列島に向かって食材探しをする中で立ち寄った定食屋でのちゃんぽんがこれまた美味しそうで、スープベースを聞くだけでもヨダレが出てきました。
ただここからが若干映画にするためにスケールを大きくしてしまったなというところで島に行くためのフェリーが無かったからちっちゃいゴムボートを借りて海に飛び出すといういくらなんでも焦りすぎててバカになっちゃってる五郎さんにちょっと引いていましたが、そこに綺麗に台風が直撃して見事遭難という、原作やドラマからは全く感じられない荒れ模様はこの作品に求めるものとはちょっと違うなーと苦笑いしながら観ていました。
遭難先での行動もなんだかバカに思えてしまい、調理道具がたまたまあったのも謎ですし、どうやって火をつけたのかも分からないですし、怪しいキノコなんて食べないほうが絶対いいのにムシャムシャ食べて案の定泡吹いて倒れたりとこの人本当に輸入業だよな?ってくらい突飛な行動を取るのでこの映画やばいかも…とこの段階では強く思っていました。
ただ遭難した島で出会った志穂さんとの交流から壮大だけど孤独のグルメらしさが徐々に出てきてホッと胸を撫で下ろしました。
島でしか作れない食材で作った料理を堪能したり、島の女性たちの交流だったりと優しさに溢れる展開が出てきたり、監視官がめっちゃフレンドリーに喋ってくれたりと良さが沁みていきました。
韓国の入国審査官と一緒に入った定食屋での小鉢がとても美味しそうですし、聞いたことのない料理もとっても美味しそうに食べるので審査官と一緒に前のめりになってしまいました。
そこから本格的にスープ作りをしていく中で志穂さんの旦那さんのラーメン屋にたまたま出会い、そこから物語の点と点がしっかり線になって繋がっていく展開はなかなかに胸熱でした。
ラーメン屋の復活だったり、これまでの登場人物がたくさん登場したり、孤高のグルメなるエンケンさんが出てくるサプライズもあったりと面白さ詰めまくりで最高でしたし、このラーメンとスープが本当に美味しそうで食べたくなりました。
スープのオチには再びズッコケそうになりましたが、このオチはこの作品らしいなというところで納得はいきましたし、お腹減ったでしょ?と問いかけてくる五郎さんに思わず腹減った〜と呼びかけたくなりました。
ドラマのテンポでやるのが向いている作品だと改めて思いましたが、ちょうどいい尺でちょうどいい物語を楽しめたので腹八分目で満足です。
鑑賞日 1/10
鑑賞時間 11:30〜13:35
座席 G-27