劇場公開日 2024年10月18日

「映像美に包まれながら、それぞれの葛藤を強く感じる映画」ジョイランド わたしの願い Toruさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映像美に包まれながら、それぞれの葛藤を強く感じる映画

2024年10月24日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

舞台はパキスタンの大都市ラホール。トランスジェンダーのダンサーに恋する、自分に自信のない夫、自立心があり外で働くことを望む妻。そして、差別の中にいるダンサー。

そんな主人公のハイダル、妻のムムターズ、ダンサーのビバそれぞれの葛藤を描いている。

大都市の喧騒をあえて感じさせない撮り方、現代のパキスタンにおいても今なお残る、古くからの価値感、男尊女卑、家父長制を強く感じさせる造り。

家の中の閉塞感と外界の開放感をコントラストよく演出している点、脚本は見事というしかない。

切なくそして悲しいストーリーながら、役者たちの素晴らしい演技とともに終始繊細に描かれており、何よりその映像の美しさに圧倒される。

パキスタン本国では、保守層の反対により、一旦上映禁止となるも、ノーベル平和賞受賞のマララ・ユスフザイらの支援などにより、上映が実現したことからも、パキスタンに今なお残る人々の思想や価値観について、考えさせられる。

2時間あまりの作品ながら、集中を切らすことなく没入。

Toru