ぼくとパパ、約束の週末のレビュー・感想・評価
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「普通」じゃない大変さ、受容することの大変さ
いやーこれは、親も本人も大変だ。特に、いろいろあってサッカー観戦行脚を始めるまでの序盤は、見ていて正直つらくなってしまった。悪意のある人間が誰もいないのにぎすぎすした雰囲気になっているのが余計にきつい。自閉スペクトラム症の大変さへの理解は確実に深まる作品。
最初、母親のファティメはバス停で「自分の」席に座りたいというジェイソンのために老婆と喧嘩したりしていた。彼女だって一生懸命に、ジェイソンのことを思ってそうしたのはわかる(何年も日々何度となくああいう場面に遭遇するうち彼女のアプローチはああなってしまったのだろう。前振りとして、あまりよくない庇護の姿を描いているのだと思った。お婆ちゃんの言い分もわかる……)。
ただ結果的には、上手いタイミングでジェイソンのやる気を掬い上げ、スタジアム巡りという形で見知らぬ他人と間近に過ごす機会を作ったことが彼をめざましく成長させた。一番やりたいことができたことで、自分が作ってきたルールに少しずつ優先順位をつけることができるようになった。「可愛い子には旅をさせよ」とはよく言ったものだ。
ジェイソンと週末遠征を重ねるうち、それまでは仕事が忙しくて息子の面倒をファティメに任せがちだったミルコは妻の苦労を知り、ジェイソンのパニックや成長に向き合う。
出張ついでにスタジアムに行こうというジェイソンの提案をのんで出かけた先では、ジェイソンの教えてくれたオーロラに見惚れて荷物を失くし、息子の面倒を見るより仕事の方が楽だとつい本音を言ってジェイソンに当たってしまう。
この時のミルコの気持ちがとても切ない。家庭事情への上司の配慮で割り振られた仕事を飛ばしてしまえば、そりゃ感情的にもなる(もっとも根本原因はミルコの荷物管理がおろそかで置き引きにあったためで、ジェイソンの主張に足を引っ張られて列車に乗れなかったのはダメ押しに過ぎないのだが)。お父さんも大変だもの、時に失敗もするし感情的にもなるよ……。
ただ、ジェイソン自身は「仕事の方が楽ならパパが仕事を選ぶのは当たり前、それより試合を見られなかったのが許せない」というドライなスタンスで、意外な形でミルコのぶっちゃけが救われたのがちょっと面白かった。
週末遠征が定着するにつれ明るさを取り戻すジェイソンの家族。そんな中、ジェイソンはかねて関心のあった宇宙物理学の教授に会って、自分の才能で社会とつながる端緒を開く。学校では自分の特性を壇上で説明し理解を求め、自分の力で少しでも生きにくさを解消していこうとする。自立の芽が見えて、希望を感じるエンディングだった。
ジェイソン役のセシリオ・アンドレセンが上手すぎてうなった。2011年生まれということで、撮影時には物語のジェイソンと同じ10歳そこそこだったはず。自閉スペクトラム症当事者というわけでもないのに、多分再現度がかなり高い。モデルになったミルコ・ジェイソン父子のインタビューを読んだが、列車内での食事シーンなどはあまりにも現実と同じで、ジェイソン本人が恥ずかしくなってしまうほどだったそうだ。
(やたらサスティナビリティにこだわりを見せるくだりは、グレタ・トゥーンベリ氏を思い出してしまった。彼女もジェイソンと同じ特性の持ち主だが、サスティナビリティの思想と自閉スペクトラムの思考回路は何か親和性があるのだろうか)
現在のジェイソンはチューリッヒの大学で宇宙物理学を学んでいるとのこと。好きなことで居場所を見つけられてよかったね。
ドイツの様々なスタジアムと現地の熱狂的なファンの応援風景も見応えがある。私は欧州サッカーのことはほとんど知らないが、それでも観客席の熱量と一体感の特別な感じは伝わってきた。サッカー好きの人なら、次々映し出される現地スタジアムの風景も大きな見どころになるのではないだろうか。
ちなみに、ある観戦シーンに本物の方のミルコ・ジェイソン親子が出演していて、父ミルコは後ろから主人公親子に話しかけている。
世間の「普通」の感覚とのギャップ、そして自分の中で氾濫する発想の渦と闘いながら生きるジェイソンの大変さはよくわかったが、彼らには恵まれている側面もある。
一番驚いたのは、父ミルコの上司の寛容さだ。これはどこまで事実通りなのかと穿った見方をしたくなるほど理想的な職場。あの上司の采配がなければジェイソンたちはスタジアム巡り自体できなかった。あそこまで職場に恵まれずに、作品序盤のような余裕のないやり取りが延々と続く当事者家庭も少なくないのではと想像した。
もうひとつ、ジェイソンには物理学の才能があり、社会でもリスペクトされるその才能を育もうとしてくれる両親がいた。そのことが、彼の自立を助けてくれるだろう。
でも一般的には自閉スペクトラムだからといって、必ずわかりやすい何かに秀でているとは限らないのではないだろうか。作中で、家族は特殊学級について否定的だったが、自立して生きるという教育の最終目標のために、特殊学級が適する当事者もいるのではと思う。
ジェイソンの物語は個別の一例に過ぎず、神経発達症(発達障害)当事者にはさまざまな特性の人たちがいる。そこが第三者の理解を難しくする部分でもあるが、まずその事実を知り家族の気持ちを想像する人間が増えるだけでも、少しずつ何かが変わっていくのではないだろうか。
自分を知り相手を理解し成長していく姿に感動した
こういう映画体験ができるから、映画鑑賞はやめられない。
まるで宝石を掘り当てたかのような気持ちで、映画館を後にできた。
幼い自閉症の息子をもった家族の話しは、過去幾度となく見てきたけれど、基本は周りの理解や、受け入れる側に視点を向けたものが多かったが、今作は自閉症のジェイソン自身の成長も描かれている点がすごく良かった。
自分がなぜパニックになってしまうのか。
なにが苦手でどういう行動が不快なのか。
周りに理解してもらうには、まずは自分が自分を理解して、それを相手に伝えられるようにならないといけない。
これはジェイソンに限らず、すべての人に言えることだと思った。
ジェイソンが自分で決めたルールにがんじがらめになり、パニックになるのも、ルールを簡単に曲げられて臨機応変に動ける人にとっては理解し難いし、面倒くさいと思ってしまう。
けれど、彼の頭の中で起こっている戦争を理解し、寄り添い、寛容してあげることで、お互いがポジティブな関係になれる。
ジェイソンと共に週末にサッカースタジアムを巡るお父さん自身も、息子を理解し、妻の大変さを理解し、自分のことを理解できた。親子だけれどひとりの人間と人間だ。お互いが旅を通してぶつかりながらも成長していく姿は、本当に胸を打つものがあった。
ジェイソン親子は今もスタジアムを回っていて、ジェイソンは今チューリッヒの大学で物理学を学んでいるとのこと。
本当に素敵な家族の形を見せてもらった。
予告を見て、直感的に響くものがあったら、それを信じて見に行ってほしい。
両親の無上の愛に感動
10歳の自閉症の少年が、推しのサッカーチームを実際に見てみつけるために、
週末の旅にパパと旅をするという話ですが、
とにかく両親の少年への無上の愛をビシビシ感じる作品で、猛烈に感動しました。
主人公ジェイソンのマイルールについていくのは本当に大変だと思います。
そりゃあ全く知らない赤の他人は、ヤバい子だと思っても致し方ないと思います。
でも、赤の他人に理解をしてもらおうと努力する両親、
そこに真摯に向かいあうご両親の愛情であり、もうリスペクトしかありませんし心を打たれました。
旅のさなかパパがキレてしまってジェイソンにキツイことを言いますが、
それもわかります。完璧ではいられないですよ。人間なんてそんなもんですよ。
でも、ちゃんと自分で反省をしてジェイソンと向かいあう姿には心が震えましたね。
ラスト近くでジェイソンが小学校のクラスで、
自分の強み・弱みをみんなの前で発表して、自分を理解してほしいと話す場面が
成長しているジェイソンを見事に表現していて、素晴らしいと思いましたね。
というわけで、事実をベースにしている話だということを
エンドロールであらためて噛み締めるわけですが、
こういう作品は多くの方に観てもらい、優しい気持ちの人が多い世界になって欲しいと思います。
よく練られた実話ベースの物語
本年、劇場鑑賞一本目。
自閉スペクトラム症の本人と、家族と、周囲の反応がとてもリアルで、よく練られているなぁと思ったら、エンディングで実話ベースの話だとわかり納得。本人の言葉の一つ一つになるほどと思わされ、父の関わり方、母の関わり方、それぞれから学ぶところが多かった。
劇的な変化は起きないのだが、ジェイソンが段々と自分のトリセツを周囲に伝えられるようになったり、こだわりを新たな考え方で置き換えられるようになったりしていくところがジーンとくるし、すれ違いながらも親子の絆を深めていく様子は素直に心温まる。また、祖父の関わり方も、その距離感を含めて、とてもよかった。
サッカーについては、スタジアム観戦の経験もなく詳しくないのだが、推しチーム探しの旅は、とても楽しそうで、ドイツの鉄道もとても魅力的だった。
<以下、この映画をきっかけに考えたこと>
*ちょっとだけネタバレ含みます。
本編から少し離れるかもしれないが、自分は、バス停での老婆に対する母のセリフが、一番考えさせられた。
何かしらの権威や立場を笠に着て、相手を屈服させようとする態度は、多くの人がNOと答えると思う。
そういう面で言うと、バス停での場面は、老婆が「年齢の差」からくる優位性を無言で笠に着てジェイソンや母に屈服を求めたと言える。
それに対して、見方によっては、母も、ジェイソンの「障害」を笠に着て、老婆をねじ伏せたようにも見える。
自分自身も、最初は、老婆に怒り続ける母の態度にちょっと引き、なぜそこまで強く主張できるのかという思いだった。
だが、母が老婆に投げかけた「そっちこそ何様?」の言葉にハッとさせられた。
自分も老婆同様に、譲れないジェイソンに対して「それはわがまま」と思っていなかったかと突きつけられた気がしたからだ。
母の言動に対する最初の違和感の原因は、自分が画面上から、自動的に「老婆=弱者」ととらえ、その立場から一連のやり取りをみていたためだろう。
ただ老婆は、身体の動く若い人たちに比べるとマイノリティだが、彼女自身は、こだわりなく席を譲ることが可能(自閉症的な特性はない)という点ではマジョリティでもある。
その点からすると、母の主張は、「その人自身にはどうにもならないことに関わるマイノリティの立場の者の訴え」であって、何ら非難を受けるいわれはない。
物事をみる側が、今回の自分のように「老人は大切にすべき」のようなわかりやすい一方的な見方のみに立っていると、母の言動のような非難を受けるいわれのない行為も、マジョリティ側が優位性を笠に着ている行為と同様に見えてしまう。
わかったつもりになっている自分も、よくよく気をつけないと、頭が硬くなってヤバいなということを感じさせられた。
まあ、母もあそこまで叫ばなくてもいいかもしれないが、自分もあの立場だったら、余裕を失って叫んでるかもしれないし…。
周りの人がみんな優しい
列車の食堂車で「躾しなさいよ」と
嫌味を言うおばさんが居たけど
口にしなくても
自分も思ってたりした。
自閉症と言うものが
こんなにも壮絶なものとは知らなかった。
理解ある職場の上司、祖父母の協力
両親の深い愛情の素晴らしさに感動する。
自分で作ったルールを少しづつ自分で
改変して行く事で、ジェイソンが成長していく姿も
微笑ましく、嬉しくなった。
推しチーム、見つけられたかなぁ⚽️
自閉症を個性と捉えれるか
幼い頃に自閉症と診断された10歳のジェイソンには、独自のルールがあり、それが守れなくなるとパニックを起こしていた。ある日、クラスメイトから好きなサッカーチームを聞かれたが、サッカーチームのことを知らず答えることができなかった。そこで、ドイツ国内のプロチーム1部から3部の計56チームを全て主催地で自分の目で見てから好きなチームを決めたいと言った。父ミルコは息子の願いをかなえようと、週末になると、ドイツ中のスタジアムを一緒に巡ることを約束し、多忙な仕事の合間を縫って列車の旅をしていく、という実話に基づく話。
自閉症は100人に1人の割合らしく、そう考えると、3クラスに1人くらいは居る計算になり、珍しい病気じゃ無いんだと改めて認識した。
これが実話に基づく話とは、そして現在19歳のジェイソンとまだサッカースタジアムを巡る旅を続けているとは、10年近くかけていくつのスタジアムを回ったのだろう?
ブンデスリーグの4部以下はアマチュアらしいので、プロ56チームを全て観た後は.4部103、5部245、6部599チーム全て行ったのだろうか?それともフランスやイタリアへも遠征してるのだろうか?興味ある。
お父さん役もお母さん役も素晴らしかったし、ジェイソン役の子も本当の自閉症かと思えるような熱演で素晴らしかった。
満員の劇場でなんとか観れて満足でした。
PKは自分で
自閉症の息子を持つ父親が、学校や夫婦間で様々な問題を抱えながらも、何かのキッカケになればと息子の推しチームを探すために旅に出る物語。
シリアスな雰囲気を見せながらも、コメディタッチな部分や明るいBGMが悲壮感を和らげてくれる。
ジェイソンの苦しみはよくわかる…なんて言葉で言うのは簡単だが、彼には彼にしか見えない世界があるのでしょう。席を簡単には譲らないお婆さんや注意してくる乗客達にも罪は無いわけで…。
改めて相互理解が大切だと、月並みな感想にはなってしまうが思わされた。
そんな中でも、スタジアムという自分の苦手がいっぱいな環境の中でも、やると決めたらとことん闘い続けるジェイソンの姿は逞しく見えたし、笑顔が増えていく様には見ていて嬉しくなった。
お父さん、よく頑張りました。そりゃあミルコだって人間だもの、悪態の1つも出るでしょう。それこそ、ミルコの置かれた世界も私達が中々に知り得ないものなのだから。
そして上司さん…あなた良い人過ぎだよ。。
俺もこんな上司の家族になりたいな…。
涙が出たり大きな笑いがあったりする作品でもなかったけど、色んなことがありつつも、ミルコ一家にしか見つけられない幸せを今後も手にしていって欲しいと思った作品だった。
親子両方の成長記
・父親は悪い奴ではないが不器用、接し方が下手で子供から逃げて、仕事に走っている。そんな父親が子供のために、動く、そして成長していく。常に正しい選択をできる人間ではないし、息子に酷いこともしてしまう時もあるが、それでも良い父親であることは間違いない。
・自閉症の方が感じ取っている世界が体験できる。音・光・接触をどのように感じ取っているのか分かりやすい。よく知らない人でも自閉症について簡単に理解できる。
・ところどころ笑いどころがあり、緩急がついていて良い。
・試合中はそれぞれのチームのファンの応援が主に映し出され、各応援の個性を楽しむことができる。サッカーをよく知らなくても、このスポーツ自体には詳しく触れないので大丈夫。
・最後に本人の写真や映像を見ることができる。いい笑顔でこちらにも幸せが伝わってくる。
ドイツのサッカースタジアムの臨場感にワクワク
ドイツのサッカーリーグにあんなにたくさんのチームがあるとは知りませんでした。
色んなサッカースタジアムの歓声や応援が映画館の大画面いっぱいで、なんだかワクワクしました。
にしても、毎週末スタジアムに同伴するパパの苦労は大変なもの。ゾッとするくらい汚いトイレで「解決して!」と言われても困ってしまう。パパ心身共にボロボロになって、それでも大事に息子を抱えて自宅のベッドにそっと戻すシーンには頭が下がります。
祖父の言葉も温かいし、ママもパパも深い愛情を持って息子を育てていることに感動しました。愛を感じられる映画は後味がいいですね。
ドイツでは錦鯉の人気が高いらしく、よく見ると、寝室の壁紙がブループリントの錦鯉!面白いなーと思いました。
親目線で見てしまう
アスペルガーの息子を育てる親の思いが痛いほど伝わってくる。
息子のこだわり、音や接触に敏感なところの表現がリアル。子役の演技が素晴らしい。小学生と接する仕事をしてきたので、ここまでではなくともこのような子は、クラスに1人はいる感覚だ。本人の苦しみも良く表現されていた。
周りの反応も無知からくるものが多く、どの国も似たり寄ったりなのだなと痛感。
観ていて涙がにじんだ。
それでも、ラストでは自分のことを客観的にみることができ、クラスの人たちに伝えることができた。
ドイツ中のスタジアムを巡るのだが、ちょっとした旅行気分を味わった。様々な列車、スタジアムの形状、ファンの応援の様子…圧巻だった。また、トイレについては、知ってはいたのだが、あんなに酷いとは!日本は、衛生的な国だとつくづく感じた。
ヨーロッパのサッカー熱の迫力
World
自閉症を持っている息子ジェイソンと父親ミルコが推しのサッカーチームを見つけるために各地を奔走するという触れ込みに惹かれての鑑賞。
中々にズッシリとくる作品でした。
自分が小学校や中学校の時までは自閉症を持っている友人と一緒に生活していましたが、高校生になってからはパッタリ触れることも出会う事も無くなったなと思っていたことを思い出しましたし、自閉症を持つ本人の気苦労、周りから理解されない苦しみと理解ができない周り、さらには親目線で映される自閉症の息子というのも本当に興味深くて、かつリアルだからこそ観ている途中の体は重かったです。
自分も接客がメインの仕事をやっているので自閉症らしき方と接客する事もありますし、その行動が理解できないという事も全然あるので、これを仕事として長くて5分ほどの触れ合うだけの自分と年中接する親となるとその苦労は計り知れないものがあるなと思いました。
ジェイソンの行動はやはり自分勝手かつ相手のことを考えていないようにしか見えず、自分のルーティンが崩されると激昂するし、同級生だろうと先生だろうと知らない人だろうとエゲツないくらい暴言を吐きまくるので初見の人からすると「なんやこのクソガキは」と見えるのは致し方ないですし、慣れた同級生からしたらからかいがいのある遊び道具に思われてしまいますし、先生からすると扱いにくくてしょうがない存在だと思うのでこの時点で誰も悪意がないのに雰囲気がよろしくないというのもリアルだなと思いました。
ふとしたきっかけでサッカーチーム探しに動き出したジェイソンとミルコですが、旅の始まりから大波乱起きまくりで本当に大変そうでした。
解決の糸口が全く見つからないジェイソンの行動に加えて、ジェイソンの症状を知らない他人から心無い言葉もあって挟まれたミルコの表情は辛そうでした。
いざサッカースタジアムに着いてからも大変そうで家族以外から触れられるのが苦手なジェイソンがサポーターが熱狂的な現場に行ったらそりゃ触れられまくり、歓声も大きいからびくりまくりでそれを守るミルコは試合を楽しめたもんじゃないですし、ジェイソンは細かい事が気になるのも拍車をかけて危険の連続ですがジェイソンはなんかスッキリしてるので気苦労の連発だと思います。
少しずつミルコが奥さんの苦労が分かってきてからは真摯にジェイソンと向き合って、2人だけの旅を楽しんでいる姿は親子の絆が感じられて素敵でした。
ミルコがジェイソンにぶっちゃけて怒ってしまうところも分かるけど、分かるけど言っちゃダメだよーとなったのと同時に、ミルコ自身のミスがあるとはいえジェイソンが意固地になってるからそりゃ頭に来るものもあるよ…とどちらかというとミルコ側に感情移入してしまいました。
終盤の展開も予想外の連発でミルコももう吹っ切れてジェイソンと共に駆け回っている姿は清々しかったですし、ただでは終わらないジェイソンもジェイソンで一貫してるわと感心してしまいました。
にしてもジェイソンの条件に見合うサッカーチームってこの世のどこかにいるんだろうか…。
レビューを書いてる途中で思い出したのですが、自分も昔は掃除機の音が極度に苦手で、とにかく嫌がっていたそうで母親が自閉症なんじゃ?と思っていた時期があったそうです。
徐々に慣れてきて掃除機にも反応しなくなったみたいなんですが、そういう兆候があるとやっぱり苦労したみたいでどうやって育てていこうと悩んだみたいです。
今では真っ暗な映画館で爆音上映を楽しむ子供に育ったので安心してくださいな。
今もまだ続いている推しサッカーチーム探し、どこかで運命のチームに出会えるといいなと願うことしかできませんが、父親とそうやって旅ができるっていうのも少し羨ましいところがあります。
この旅が成長にガンガン繋がっていってくれればなと遠い日本から願っています。
鑑賞日 11/28
鑑賞時間 18:05〜20:05
座席 D-7
上司が最高✨
素晴らしい作品です
既存の障がい児を巡る作品との共通性と独自性、そして疑問点
確かにテレビドラマ『ライオンの隠れ家』の自閉症者と同様に、自分のこだわりだけでなく、同伴者の言い分を受入れ、共に歩もうと成長する姿がみられるのが良いところであると感じた。『レインマン』にまつわる冗談や、ボディチェックでの係員の冗談も、少し可笑しみがあった。テンプル・グランディン氏も自分のルールをつくっていたが、本作の息子がつくったルールは窮屈な感じだった。
バス停や電車内で、親の躾がなっていないと非難する周囲の人々の姿は、日本ではそれほどみうけられなくなったような気がするけれども、ドイツではまだまだみられるのだろうか。それはそれで奇特である。
息子の相手をするために父親が勤務形態を変更することを上司に交渉したり、馘を覚悟で仕事を選ぼうとしたりしたところは、『どんぐりの家』に出てくる清の母親の姿勢とも通じる気がした。本作の父親は、妻も同じような苦労をしてきたことに思い到り、感謝しており、『クレーマー、クレーマー』等のように、妻から責任を丸投げされた夫とは違う。家族愛を尊重するような上司で良かったと思った。
家族や支援者が障がい者に対して堪忍袋の緒が切れ、怒鳴り散らし、やがて悔いる姿をみせる作品では、『ケニー』、『ギルバート・グレイプ』、『学校Ⅱ』も秀逸だった。
各競技場でのサポーターの熱狂的な応援や、鉄道旅の様子、オーロラの美しさもまたみどころであった。
疑問に感じたこととしては、生後1歳か2歳くらいの誕生日に電車模型をプレゼントに与え、興味を示さず、上体揺らしの常同行動を取ったことで、「アスペルガー症候群」の疑いをもたれたことが一つ。自閉症の判定基準の一つに、生後3歳くらいまでに発現するというのがあるが、「アスペルガー症候群」は、言語の遅れがないものが該当するはずなので、その年齢時点でのその判定はおかしいのではないか。また、発見者のアスペルガー氏はドイツ語圏のオーストリア人で、論文をドイツ語で発表したため、第2次大戦後もなかなか英米圏に広まることはなかったといわれるけれども、21世紀になったドイツ国内でさえ、その症状の子どもたちへの対応は、移民の子どもの受入れが進んでいたと思われる通常学校では行われず、分離制学校に委ねられることが多々あり、その学校に進学すると、大学教育への途は閉ざされているようである。恩師は、1990年代のドイツ国内の障がい児の学校インテグレーションが漸進的であると評していたが、本作を観た限りでは、日本の現状と比べても、かなり進展が遅れているように思えた。本作のパンフレットでもあれば、解説がなされていたかもしれない。最新の実態の詳細な研究成果が発表されることを期待したい。
心無い人と優しい人
今や自閉症の人が登場する映画は珍しくなくなった。まだまだ彼らに対する理解が深まっているとは言えないが、様々な描き方がされるようになった。本作では、ジェイソンが感じるもの(どう見えて、どう聞こえて、どう考えるのか)に焦点を当てている描写が印象的だった。マイルールが破られたときに取り乱す様も、そんなことを踏まえると受け入れやすくなりそうだ。本作でたびたび登場する、ジェイソンを拒絶する人たちの言動もわからないではない。自分たちが想像できる範囲内で物を言えばそうなってしまう。そんな現状をうまく表現したシーンだった。完全には理解できなくても、ジェイソンがそのままでいることを拒否しない、心優しい人たちがたくさんいたことも印象に残る。
ジェイソンが推しのサッカーチームを選ぶための基準が独特なのも面白いところ。変なキャラがいないチームなんて果たしてあるのだろうか。キャラもいて、鳴り物が大音量で響く日本のスタジアムは、ジェイソンにどこまで受け入れてもらえるのだろうか、なんてことを考えてしまった。
推しのサッカーチームを見つける週末旅行の話だが、ドイツサッカーのことを知っていても、まったく知らなくても問題ない。サッカーのことはほとんど関係ないから。彼ら親子の関係性が深まる過程をとても愛おしく感じられればそれでいい。ただ、クライマックスに泣けるような大きな出来事が起こるわけではない。穏やかに温かみを感じる終わり方だった。そんな映画もありだ。
自閉症の少年が父親とサッカー観戦する事で徐々に自分の殻を破って行く感じのドイツ映画。 本年度ベスト!!
自分が年間20試合程度サッカー観戦しているので興味があり鑑賞。
ドイツの色んなスタジアムが見られてテンションが上がっぱなしだった(笑)
自閉症のジェイソン。
日常生活で様々な障害がある中、自分が推せるサッカークラブを探す為、父親と2人でドイツの1部から3部リーグ全56クラブのホームスタジアムで試合を観戦するストーリー。
ラストで本作は実話ベースと言う事に驚くけどジェイソンの為に試合に連れて行く父親、ミルコの行動力が素晴らしかった。
ジェイソンとミルコが訪れるサッカースタジアムが全て美しい!
各クラブのサポーターが歌う歌も様々で迫力満点!
特にドルトムントのサポーターが歌う「You'll Never Walk Alone」の迫力が凄かった!
自分が推しているJリーグのクラブでもこの歌をサポーターが試合前に歌うけど迫力が全く違った!
ミルコが働くハンバーガーチェーンもミルコに対する優しい対応が素晴らしかった。
あんな会社で働きたい(笑)
深夜、サッカースタジアムのピッチで寝転びながら夜空に出現するオーロラの美しさが印象に残る。
あんな体験が出来るのが羨ましい。
親子や学校との衝突がある中、ミルコファミリーが諦める事無くジェイソンと共に成長する姿が素晴らしかった!
鑑賞後、近くの人が「サッカー生で見てみたい」って言った言葉が何故か嬉しくなった!
自閉症のジェイソンを演じたセシリオ・アンドレセン君が素晴らしい演技が印象に残る。
個人的には主演男優賞を差し上げたいです( ´∀`)
自分じゃあんなできない…
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