「三部作の最終話なので予習は必須、パンフレットに時系列ネタバレがあるけど途中で読み止めてね」MaXXXine マキシーン Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
三部作の最終話なので予習は必須、パンフレットに時系列ネタバレがあるけど途中で読み止めてね
2025.6.11 字幕 T・JOY京都
2024年のアメリカ映画(103分、R15+)
『X エックス』『Pearl パール』に続く女優を目指す女を描いたミステリー&ゴアホラー映画
監督&脚本はタイ・ウェスト
物語の舞台は、1985年のアメリカ・ロサンゼルス
映画『ピューリタン』のヒットを受けて、監督のベス(エリザベス・デビッキ)は次回作のオーディションを行なっていた
そこに颯爽と現れたマキシーン・ミンクス(ミア・ゴス)は、要望に応えてワンシーンを演じ切り、見事に主役の座を射止めた
一方その頃、街では猟奇的な殺人事件が続いていて、被害者には悪魔崇拝を思わせるような焼印が押されていた
また、スタジオの近くでは『ピョーリタン2』の制作中止デモが起こっていて、表現の自由を弾圧しようとする団体なども現れていた
映画は、マキシーンが映画界で成り上がろうとする決意を描きつつ、友人たちが殺人鬼の犠牲になっていく様子が描かれていく
ショービズ仲間のアンバー(クロエ・ファーンワース)、タビー(ホールジー)に加え、気心の知れた親友レオン(モーゼス・サムニー)まで殺されてしまう
また、彼女を執拗に追う私立探偵のジョン・ラバト(ケヴィン・ベーコン)なども登場し、マキシーンが復讐の炎を燻らせていくことになった
ベスから「映画にトラブルは持ち込まないで」と言われ、「どんなことをしても」と念を押される
そこでマキシーンはエージェントのテディ(ジャンカルロ・エスジポート)とポルノ映画監督のジェパード(ウリ・ラトゥケフ
)たちの力を借りて、トラブル排除に動き出すのである
物語はざっくりとした単純なもので、構造に関しては解釈が分かれるような作りになっている
エンディング間近にて犯人を追い詰めることになったマキシーンは、ヘリからの呼びかけに応じ、逮捕のお膳立てをする様子が描かれる
だが、それは彼女の妄想であり、ショットガンで頭を撃ち抜くのが現実のように描かれている
それでも、その後普通に生活をしていたり、スターになって伝記映画の撮影に差し掛かっていたりするので、殺人の罪に問われなかったのは不思議に思えた
おそらくは、これら全てがひとつの作品であり、父・アーネスト(サイモン・プラスト)との幼少期(Charley Rowan McCain)の約束を守ったように思えた
ラストは「これが一本のホラー映画でした」というメタ構造になっているのだが、色々とおかしなところの辻褄合わせをすると「撮影された古めかしいホラー映画が発掘された」というテイストになっているのかな、と感じた
いずれにせよ、これでシリーズが終了なので一連の三部作全てが壮大な「マキシーンの自伝」であり、「父との約束を果たした物語」のようにも思える
自分らしく生きることを目指していたマキシーンの葛藤が父親殺しという試練として登場するのはエグいものだが、彼女自身はその映画内で「自分らしく」の方を貫いている
その後のハリウッドの生活というものも「妄想の一部」とも考えられるので、そう言ったことをアレコレ考えながら観るのが良いのかな、と思った