「前回と同じ内容という馬鹿げた批判」グラディエーターII 英雄を呼ぶ声 SHIMIさんの映画レビュー(感想・評価)
前回と同じ内容という馬鹿げた批判
リドリー・スコットの反骨精神が輝いた傑作。前回と同じ境遇の主人公が奴隷となり、ローマを是正する物語。これだけ見れば確かに前作と同じだ。しかし、それをつまらないと断定してしまうのは自身のミニマム脳みそと節穴アイをメガホンで吹聴しているようなものだ。
本作は前回と同様の設定にすることでその違いを明確にさせている。その違いとはなにか。前作は「個と個」「善と悪」という単純なぶつかり合いだったが、本作では人間たちの私利私欲が複雑に絡む「戦争」をテーマにしている。唐突に戦争がテーマだと伝えてしまえば、片意地張って観てしまうが、アクション性をふんだんに取り込み、前作と同様の設定にすることで分かりやすくその内政的恐怖を観客に伝えている。この説明を聴けば、より裏でローマを支配しようとするマクリヌス、デンゼル・ワシントンの怪演の凄まじさがわかるだろう。それでもこの映画が「二番煎じ」というならば、一生マスメディアに騙され続け戦争の奴隷になってしまえば良いとさえ思う。ちなみに私はお茶なら二番煎じが一番好きだ。そして御年90歳近いリドリーの茶目っ気も健在である。
「とりあえず戦争テーマにしたらバカはわからねーし興味もたねーからやつらが大好きなサメでも入れて興奮させておけば良いだろ。」という、半ば投げやりなブラックジョークがこの映画の最大の"笑点"である。
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