劇場公開日 2024年11月15日

「君の名は」グラディエーターII 英雄を呼ぶ声 ストレンジラヴさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0君の名は

2024年11月16日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

難しい

「地獄への門は常に開かれている。地獄への下り坂は平坦だが、地獄から青空をうかがうために登る坂は苦難に満ちている」

最後の五賢帝マルクス・アウレリウス帝の死から20年経った西暦200年。ローマ帝国は双子の皇帝ゲタとカラカラの支配下となり政治は腐敗しきっていた。そんな中、北アフリカ・ヌミディアの地で青年ハンノ(演:ポール・メスカル)は妻アリサットと幸せに暮らしていたが、アカシウス将軍(演:ペドロ・パスカル)率いるローマ軍の侵攻によって妻を喪う。捕虜となったハンノは商人マクリヌス(演:デンゼル・ワシントン)に見込まれてグラディエーターとなる。マルクス・アウレリウス帝の娘にして、現在はアカシウス将軍の妻となったルッシラ(演:コニー・ニールセン)はコロッセオの闘技でハンノを目に留める。ハンノこそがかつてコモドゥス帝の死後に匿われ生き別れとなったルッシラの実子ルシアスだった。
前作ではサラサラヘアーの金髪草食系男子だったルシアスがゴリマッチョな主人公となって登場。亡き英雄マクシマスの遺志を継ぎローマの腐敗に立ち向かう。サラサラの金髪が茶髪の癖毛になっていたり、サルなんだかイヌなんだかよく分からない動物が出てきたり、コロッセオの格言が英語で刻まれていたり、ハンノの設定が「少し無理あるんじゃねーの?」と細かい点は幾つか気になった。また、権謀術数が渦巻く中で話が二転三転して「長いなぁ」と感じたのも認める。が、エンタメとして観る分にはとても面白かった。前作から変わらずの闘技のシーンや、今回はコロッセオを水で満たしての水上戦もあって画面の迫力と製作費のかけ方はさすがハリウッドといったところか。前作が凄過ぎたのでそれと比べると物足りない感じはあるが、それでも作品単体では良かったと思う。個人的に気に入ったのはゲタとカラカラのクズ皇帝兄弟で、特にゲタのはっちゃけぶりはクズなんだけどいい味を出していたと思う。で、デンゼル・ワシントンの怖いこと怖いこと。ただ彼もまた別の意味ではローマ統治による被害者でもあり、その点では昨今僕が嫌で嫌で仕方がない所謂「ポリティカル・コレクトネス」をローマ帝国という舞台でリドリー・スコット監督が実に上手くカモフラージュさせていたと感じた。
ぶっちぎりではないが、期待通り。

ストレンジラヴ