「あぁ…幸せ」ウィキッド ふたりの魔女 ハルクマールさんの映画レビュー(感想・評価)
あぁ…幸せ
と、作品が終わってから思わず呟いてしまったほどのエンタメ100点映画。
ブロードウェイで20年にもわたるロングラン上演されているミュージカルを原作にしたミュージカル・ファンタジー映画。
今回は二部作の前半。ちなみにタイトルにPart 1とあるのを見て、初めて一話完結じゃないのを知ったぐらい予備知識を持たずに鑑賞スタート。
物語は有名な童話、オズの魔法使いをベースにしていて、ドロシー達が旅立つ前の世界が描かれているんだけど、オズの魔法使いの中では脇役として出てくる悪い魔女と良い魔女、二人の魔女の誕生の物語になっている。
ミュージカルの映画化だから、序盤から歌唱パートはふんだんに入ってくる。その一つ一つのレベルが激しく高い、しかもダンスもバッチリ入ってくる。
主人公エルファバを演じるシンシア・エリヴォは俳優としても歌手としても何度も賞を取っている超実力派、良い魔女グリンダを演じるのはアリアナ・グランデ。もう説明不要の歌姫だけど、スクリーンスターとしてのキャリアはまだ浅い。
この二人だから、エルファバ=シンシアに圧倒されるのかと思いきや、アリアナも流石の存在感、流石の歌唱力。
自意識過剰、自己顕示欲が強いお嬢さまのグリンダを、ウザさギリギリのところでチャーミングに演じている。
その二人ががっぷり四つに組んでのミュージカルシーンは圧巻だった。
もちろん主役のシンシアはもう序盤のシズ大学のシーンからその歌声だけでもう涙腺を刺激してくる圧巻の歌唱力。
この人無くしてこの作品は成り立たなかったと思う。
脇を固める俳優陣も一癖ある実力派揃い。
ミシェル・ヨーは凛とした佇まいがいかにも魔女、な感じだし、オズの魔法使いのジェフ・ゴールドブラムはもう出てくるだけで怪しい。しかし、お二人とも歌もお上手だった。
それに加えて、どのシーンも手抜きのない世界観の造り込みで目を楽しませてくれる。
冒頭のマンチキンの花畑からの街並み、シズ大学の外観や内装、エメラルドシティのキラキラした街並み、そのエメラルドシティに向かう電車の造型などなど。
実際のミュージカルでは味わえない映画ならではの楽しさがあっていい。
そこでミュージカルばりの歌とダンスが絶え間なく繰り広げられるので、もう目と耳が同時に幸せになる。
あ、これは全くの蛇足だけど、映画を観る前でも観た後でもいいけど、ぜひオズの魔法使いの物語をもう一度復習すると、この作品の背景がより鮮明に分かって面白い。
また、それぞれの登場人物がオズの魔法使いではどういう役割になっているのか、それぞれの関係性がウィキッドの世界からどんな過程を経てオズの魔法使いの世界で描かれていくのか、その間のストーリーに想いを馳せるのも楽しい。
ともかく、本作をもう一度楽しむために復習してみることをお勧めしたい。
エンタメってこういう映画の事よね。
2時間半を越える尺を全く感じさせない、あっという間にエンディングを迎える。
ここ暫く鑑賞した映画の中ではダントツのエンタメ度、つまり観る価値あり!
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