劇場公開日 2025年3月7日

「200億円で2000億円稼ぐ」ウィキッド ふたりの魔女 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0200億円で2000億円稼ぐ

2025年3月17日
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【200億円のコストで2000億円稼ぐ】

まさにハリウッド映画の王道を踏襲しつつも、
その中に独自の魅力を詰め込んだ作品だ。

少し甘めのストーリー展開、
豪勢なビジュアル、
小さなボケも含めたキャラクター描写、
音楽はいうまでもない、
すべての要素が完成度の高いエンターテイメントとして結実している。

ストーリーは、観客にとって非常に親しみやすく、
既視感のある王道的な構造を採用しつつ、
ウィキッドという視点から新たな解釈が加わっている。

主要キャラクターであるグリンダとエルファバは、
友情と対立を織り交ぜながら、
心(ブリキマン)、知恵(かかし)、勇気(ライオン)、
そして愛(今作の視点)を求めて成長していく。

ヤギ先生やライオンの子がどうなったのか、
言及しないのも王道、
冒頭で小さく登場するブリキマン、
かかし、ライオンに後々絡んでいくのか、
少し気になる点もあるが、

次回作以降、
最終的には登場人物たちが物語の流れに自然に合流していくのだろう。

ビジネススキームも王道。

類推すると200億円程度の制作費だろう、
最終的に2000億円以上の利益を見込むという計算は、
まさにハリウッド大作映画にふさわしい規模だ。

近年、制作費の内訳が複雑になり、
特にコンプライアンス、リーガル関連のコストが嵩む中で、
映像にかける予算は削減されがちだが、
そんな状況でもコストパフォーマンスとしては、
非常に的確に使われており、
映像美と迫力のあるシーンに仕上がっている。

圧倒的なプロダクションとVFX(視覚効果)は素晴らしいが、
単にCG技術を駆使するだけではなく、
実写特撮風のエフェクトが多く取り入れられている点が印象的だ。

生の火や土埃、破片、羽毛など、
リアルな質感を追求した演出が、
観客を物語の世界に引き込む。

美術セットや小道具、
衣装のデザインは、
どれも素晴らしく、
特に衣装デザインのバラエティ豊かなアイデアは圧巻だ。

シズ大学の学生たちの服装がそれぞれ違ったデザインの鮮やかさなど、
細部にまで気を配った繊細で丁寧な作り込みが光っている。

こうした設定資料を見てみたいという気持ちに駆られるほど、
デザインには想像力と具現化する工夫が詰まっている。

ミュージカルシーンのアリアナ・グランデとシンシア・エリヴォのパフォーマンスは言うまでもなく素晴らしく、

特に感動的なのは、
無音に近い微量な音楽で、
観客の心を震わせるシーンだ。

歌がない場面でも、
感情が伝わってくる演技と表情に引き込まれる、
観客が物語とキャラクターに感情的に繋がる瞬間だ。

最近の映画観客の傾向として「映画離れ」とも言われるが、
「つまらない映画離れ」ではないだろうか、

むしろ、"つまらない映画"を避ける観客に対して、
この映画は確実に応えてくれる作品だ。

ディズニーがやらないのであれば、
ユニバーサルがやるよ、
という思いを強く感じさせる。

王道を踏襲しながらも、
新たな要素を加えてエンターテイメント性を最大化しており、
しっかりと数字に繋がるだろうと予想できる。

手間ひまをかけ、
高い技術力を駆使して作られた本作は、
観客の心をしっかりとつかむ力を持っている。

演出面において、
多少の疑問点があるものの、
それを差し引いても圧倒的な映像美やキャラクターの魅力、
音楽の素晴らしさなどが見事に融合しており、

誰もが楽しめる作品となっている。
王道的なエンターテイメントにしっかりとした新しい風を吹き込んだ「ウィキッド」は、まさに映画としての完成度が非常に高いと言えるだろう。

蛇足軒妖瀬布
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