「強さの奥にあるものは、3つの戦いの中で徐々にブラッシュアップされていく」劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
強さの奥にあるものは、3つの戦いの中で徐々にブラッシュアップされていく
2025.7.18 イオンシネマ久御山
2025年の日本のアニメーション映画(155分、PG12)
原作は吾峠呼世晴の同名漫画
TVシリーズ「柱稽古編」の続編
無限城にて、上弦の鬼と相対する鬼殺隊の剣士を描いたアクション映画
総監督は近藤光
監督は外崎春雄
脚本は近藤光&ufotable
キャラクターデザインは松島晃
アニメーション制作はufotable
物語は、「柱稽古編」にてお館様(森川智之)の元に現れた鬼舞辻無残(関俊彦)が無限城を作り出して、鬼殺隊の剣士を落とし込むところから紡がれる
無限城に落ちた炭治郎(花江夏樹)たちは散り散りになってしまうのだが、炭次郎は辛うじて義勇(櫻井孝宏)と合流することができた
一方その頃、単独行動を余儀なくされたしのぶ(早見沙織)は姉・カナエ(芽野愛衣)の仇・童磨(宮野真守)と相対することになり、善逸(下野紘)もまた兄弟子から鬼になった獪岳(細谷佳正)と戦うことになった
しのぶは単独で上弦の弐と戦い、自身の弱さに直面する
善逸は兄弟子との交わらない想いを確信し、その強さを発揮する
公開直後なのでガッツリネタバレは避けるものの、それぞれの因果が絡む中で成長していく様子が描かれていく
その後、炭治郎と義勇は猗窩座(石田彰)と激突するのだが、本気を出した義勇と互角以上で、炭治郎が応戦しても敵わない
だが、炭治郎はこれまでの教えを想起し、その中で「父親(小山力也)が最期に見せてくれたもの」を思い出していく
そして、それが猗窩座を倒すための突破口へと繋がっていくのである
映画は、原作準拠だと思うのだが「いつもの回想録マシマシ」の展開を迎えていく
その度にテンポは悪くなるが、ほぼ必要な情報なので避けて通れないと思う
本作では、主要キャラの過去譚はだいたい既出で、新たな敵や柱たちの過去が掘り起こされていく
それらは「戦う理由」であったり、「攻略へヒント」なので、それによって次の展開を迎えるので苦にはならない
それよりも、相変わらず全てセリフで説明するんだなあというところも変わらず、ほぼオーディオブックなみのセリフ量になっていると思った
本作は3つの戦いが描かれるが、基本的に「強さの本質」について描かれていると思う
しのぶの戦いでは姉と比べる彼女が描かれ、足りないものへの渇望というものが示される
善逸の戦いでは本気になるために必要なことが描かれ、兄弟子を倒す決意の変遷をみせていく
そして、炭治郎の戦いでは、父親が残した強さの秘密に近づく様子が描かれ、強さに固執する猗窩座を打ちのめす流れが描かれていた
この一連の戦いすべてに連鎖的な意味があるので、3つの戦いは別の場所で行われていて、それぞれの戦いに対する思いは違うものの、一貫しているものがあると感じた
強さを追い求める先にある脱力というのは、奥義を超えたところにあり、猗窩座が相手を捉えるセンサーを無効にしていく
炭治郎をはじめとした剣士たちがどうして勝てるのかというところに説得力があるので、それが本シリーズの特徴であるように思えた
いずれにせよ、映画館はかなり込むので「当日に現場でチケット」はほぼ不可能に近いと思う
コンセッションの混雑も凄いが、当日の日中にネットで予約も回線が込み合うのでやめた方が良い
私はイオンシネマで鑑賞したが、最近新システムを導入した手前上、高齢者が対応できない例が続出し、チケット売り場は阿鼻叫喚という感じになっている
さらにネットで前売りを買っても、その電子チケットを表示させるのに時間が掛かってしまうので、色々と対策をしていった方が良い
とは言え、一番必要なのは「柱稽古編」の視聴なので、それが叶わなかった人は「本作に突入する前提条件」としての「無残をお館様が罠にハメて、それで無限城が出現して全面戦争に突入している」ということさえ頭に入れておけば良いだろう
そして、本作のメインは猗窩座との戦いなので、「遊郭編」「刀鍛冶編」「柱稽古編」よりは「無限列車編の後半の情報が必要」なので、そこだけでも頭に入れて臨めれば大丈夫だと思う
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