劇場公開日 2024年9月20日

「フィヨルドのこの風景をいつまで見る事が出来るのだろう?」SONG OF EARTH ソング・オブ・アース Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0フィヨルドのこの風景をいつまで見る事が出来るのだろう?

2024年10月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

10月3日(木)
第96回アカデミー賞国際長編映画賞ノルウェー代表作品の「SONG OF EARTH ソング・オブ・アース」をTOHOシネマズシャンテで。

女性監督マルグリート・オリンが、ノルウェー西部の山岳地帯オルダデレーンに暮らす両親とフィヨルドの四季を捉えたドキュメンタリー。製作総指揮はヴィム・ヴェンダースとリブ・ウルマン。
登場人物は老夫婦の監督の両親二人のみ(監督は声だけ)。ひたすらにフィヨルドの四季の風景を映し出す。滝の上からや上空からのカメラ、フィヨルドのこの風景を撮影するドローンの効果は絶大だ。
昨日レビューした「スパイ・ゲーム」でも屋上のレッドフォードとブラピが会うシーンをトニー・スコット監督は空撮で撮っていた。20年前にドローンがあればもっとスタイリッシュに撮っていただろう。ヘリとドローンでは機動性が段違いだ。

1年に渡り、春、夏、秋、冬と姿を変えるフィヨルドの水、氷、雪、風、雲、水面、山、陽光、といった壮大な風景が映し出される。そして動物たちの姿。犬、テン、フクロウ、ワシ、カラス、トナカイ、馬、そして蛾。
120年以上前に曾祖父が植え渓谷を見下ろすような巨木となったトウヒの根元に父親はクリスマスに発電機をもって行き、渓谷の集落から見上げるクリスマスツリーのように電飾を灯すのだ。
惜しむらくはオルダデレーンの他の住人が全く登場しない事。両親と自然を映すのが主題だとしても、そこの集落で生活している人の姿と暮らしをみて見たかった。

崩れ落ちる氷河。「昔はもっと渓谷の手前まで氷河があった。」と父親が言い、氷河から流れ落ちる滝に「こんなに滝の水の量が多いのは初めて」と母親が言う。地球温暖化が確実に進んでいる。フィヨルドのこの風景をいつまで見ることができるのだろうか。

Mr.C.B.2